交通事故紛争処理センターを利用するメリットとデメリットを解説
交通事故紛争処理センターは、交通事故の損害賠償に関するトラブルについて、無料で相談などができる機関です。一定のメリットがある一方、対応してもらえない事故もあるなど、複数のデメリットがあります。
この記事で、メリット・デメリットの双方を把握して、交通事故紛争処理センターを利用すべきかどうかを判断しましょう。
1. 交通事故紛争処理センターとは
(1)交通事故紛争処理センターとは?
「交通事故紛争処理センター」とは、自動車事故の示談をめぐる紛争を解決するため、被害者と加害者との間に立って、法的な相談や和解のあっせんなどを行っている機関です。
全国11か所に設けられています。
交通事故紛争処理センターに相談することで、相談担当弁護士が公平・中立な立場から被害者の相談に応じてくれたり、保険会社との和解あっせんや審査手続きを行ってくれたりします。
(2)交通事故紛争処理センターの利用方法
交通事故紛争処理センターを利用する場合、まずは申請者(被害者)の住所あるいは事故現場を管轄するセンターを確認しましょう。
相談するセンターが決まり次第、事前にそのセンターへ電話で相談予約をとります。その際に事故の内容や相手方の保険会社、担当者の氏名など、具体的な相談内容の確認がなされます。
相談日時の予約が決まると、センターから自宅へ書類が郵送されるので、注意事項をよく読んでから「利用申込書」に記入し、必要書類を準備しましょう。主な必要資料は下記のとおりです。
【共通して必要なもの】
- 交通事故証明書…事故の発生を確認するために必要な書類
事故発生時に警察に事故届けをしていれば、「自動車安全運転センター」が発行を行っています。相手保険会社が取得済みであれば共有してもらえる場合もあります。 - 事故状況発生報告書…道路状況や双方の進行方向・ぶつかった位置等を記載したもの
- 相手方の確認資料…加害者の氏名や加入保険会社、事故担当者名または代理人の弁護士の氏名・連絡先がわかるもの
- 賠償金提示明細書…相手保険会社から提示される賠償額を記した書面
【けが、後遺障害がある場合】
- 診断書や診療報酬明細書・施術証明書など
- 支払った治療費、証明書取得費用、通院交通費、介護等による支出がわかる明細書・領収書など
- 後遺障害診断書、後遺障害認定結果が書かれた書面
- 収入減となった場合の休業損害証明書など
【死亡事故の場合】
- 死亡診断書・死体検案書
- 戸籍謄本(除籍謄本)
- 病院費用や葬儀費用がわかる領収書・明細書など
【物損事故の場合】
- 修理費の請求書、または修理工場の見積書など
- 車両の引き揚げや運搬費、代車利用費、代替車両の購入費用の請求書・見積書など
- 所有権を確認する自動車検査証など
予約の日時にセンターに行き、窓口で利用申込書や必要書類を提出します。
(3)解決までの流れ
交通事故紛争処理センターでは、以下のような流れで解決に向けた手続きを行います。
-
初回法律相談
相談担当弁護士と面会して、申立人の主張を聴いてもらい、事故の問題点を整理し助言をもらう
-
和解あっせん
相談担当弁護士が被害者と加害者(もしくは保険会社の担当者等代理人)から話を聞き、公平・中立な立場で和解のためのあっせん案(解決方法)をまとめ、当事者双方に提示する。双方の和解が成立すればここで終了
-
あっせん不調後の審査手続き
あっせん案に納得できない場合は、不調となった通知を受けた後14日以内に審査会に審査申し立てを行う
-
審査会での裁定
審査員が資料や当事者の意見を吟味して、一定の結論を下す
弁護士は初回相談から裁定まで変わらず、事件が終結するまで同じ弁護士に担当してもらえます。
2. 交通事故紛争処理センターを利用するメリットとデメリット
交通事故紛争処理センターは、交通事故における示談交渉を円滑に進めるための機関ですが、利用にはメリットとデメリットがあります。それぞれどのようなメリット・デメリットがあるか解説します。
(1)メリット
交通事故紛争処理センターを利用するメリットには、以下のようなものがあります。
-
費用がかからない
無料で利用できるため、弁護士事務所に依頼する場合と比べて、費用面での負担が少ない
-
平均3か月程度で解決できる
申し込みから和解あっせんまでの期間が平均3か月程度と短く、裁判よりも早く解決できる可能性がある
-
慰謝料を裁判基準額に近づけられる
交通事故紛争処理センターが算出する慰謝料は裁判所の基準と同じなので、裁判した場合と同等の金額を請求できる可能性がある
(2)デメリット
一方、交通事故紛争処理センターを利用するデメリットは、以下のようなものがあります。
-
治療終了までは利用ができない
治療中の相談などはできない
-
交通事故紛争処理センターの取り扱い対象とならない場合がある
たとえば、加害者が自動車以外の事故や、相手保険会社が不明な場合などは、交通事故紛争処理センターの利用対象外となる
-
書類の収集・作成などはやってもらえない
書類作成や証拠収集などは行わないため、自分で用意する必要がある
-
予約に時間がかかる場合もある
利用者が多いため、時期や場所によっては予約がとりにくい場合がある
-
都市部にしかない
全国に11か所しかなく、いずれも都市部なので、地方在住者は利用しにくい
-
解決しない場合がある
和解あっせん案を提示するだけで強制力はないため、双方の合意がとれなければ紛争が解決しない
3. 交通事故紛争処理センター以外の選択肢
以上のとおり、交通事故紛争処理センターを利用することにはメリットとデメリットがありますが、その他にも相談できるところはあります。
たとえば、日本弁護士連合会が運営する日弁連交通事故相談センターは全国に相談所があり、交通事故に関する法律相談を無料で受け付けています。
また、弁護士事務所で弁護士に直接依頼すると、書類作成や証拠収集、保険会社との交渉や裁判への対応などを代行してもらえます。費用はかかりますが、紛争を有利に進められます。
交通事故紛争処理センターと弁護士事務所を併用することもできます。たとえば、交通事故紛争処理センターでの手続きそのものを弁護士に代理人として委任するといった利用の仕方です。
交通事故に遭ったときには、自分の状況や希望に合わせて、相談先を選ぶことが大切です。相談のしやすさや、どのような解決を希望するかで、適切な相談先を選びましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2024年10月29日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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