- (更新:2024年12月04日)
- 交通事故
当て逃げされた! まず何をすればいい?
「車やバイクの運転中に別の車と接触したが、相手はそのまま逃げてしまった」「自宅のブロック塀が壊れていて、タイヤ跡があった」など、当て逃げ事故は頻繁に起きています。
では当て逃げの被害に遭った場合にはどう対処すればいいのでしょうか。事故直後の対応からご説明します。
1. 当て逃げされたら
運転中に当て逃げ事故の被害に遭った場合には、すぐに次のような対応を取りましょう。
(1)警察に通報
当て逃げをされたら、すぐに警察に通報しましょう。運転中の場合は安全な場所に車を止め、110番してください。
道路交通法(道交法)では、交通事故の当事者は警察に報告しなければならないと規定しています。この義務は事故の加害者だけでなく、被害者にも適用されます。違反すると「3か月以下の懲役または5万円以下の罰金」が科される可能性があります。
通報が早ければ早いほど警察も相手を追跡しやすくなるほか、証拠も集めやすくなるでしょう。
なお、逃げた相手をむやみに追いかけると、焦って別の車とぶつかったり、相手とケンカになり暴力をふるわれたりするおそれがあります。
それだけでなく、交通事故の当事者は、事故後直ちに車両を停止して道路における危険を防止する義務を負っているため、停車せずに相手を追いかけることはこの義務の違反となり、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科される可能性もあります。事故で頭に血が上ってしまうかもしれませんが、捜査は警察に任せましょう。
また、逃げた相手が判明した場合、相手が加入している自動車保険会社に対し、事故による損害の賠償金を請求できますが、その際、保険会社からは「交通事故証明書」の提出を求められます。
交通事故証明書は、警察からの資料をもとに各都道府県の自動車安全運転センターが発行しますが、警察に報告していない事故については交通事故証明書が発行されません。そのため、事故直後に通報できなかった場合でも、後日できるだけ早く警察に連絡してください。
(2)証拠の収集
当て逃げをした車のナンバーや特徴を覚えている場合は、忘れてしまう前にすぐにメモしましょう。相手が逃げていく際の写真や動画を撮影していれば、捜査に役立ちます。またドライブレコーダーをつけていた場合には、記録が上書きされないようにし、事故当時の動画を警察に見せましょう。
事故の目撃者がいた場合には、声をかけて警察が到着した際に事故の状況を説明してもらうようお願いしましょう。連絡先を聞いておけば、後日確認もできます。
(3)保険会社に通知
ご自分が加入している保険会社にも連絡をしてください。通常、事故で壊れた車の修理費用は加害者側が負担します。ですが、当て逃げ事故の場合には相手が特定できないこともあります。相手が特定できなければ、修理費用はご自分で払わなければいけませんが、保険によって修理費用分の補償が受けられる場合があります。
保険会社の事故問い合わせ専用ダイヤルなどに連絡し、事故の状況と補償の可否について確認しましょう。ただし、ご自分の保険を使うと、翌年の保険料が上がってしまうこともありますので、適用すべきかどうかは、修理費用と翌年以降支払う必要のある保険料を比較するなどしてよく検討してください。
2. 時間がたってから当て逃げに気づいた場合
「駐車場に止めていた車のバンパーが破損していた」「自宅の塀が壊れ、防犯カメラに車がぶつかる様子が映っていた」など、時間がたってから当て逃げの被害に気づくこともあるでしょう。その場合は次のように対処してください。
(1)警察に報告
当て逃げに遭った直後と同様、まずは警察に報告しましょう。事故から時間がたっていたとしても、当事者には警察に報告する義務があります。気づいた時点ですぐに通報してください。
「どうせ犯人はわからない」と諦めて泣き寝入りせず、警察に捜査してもらいましょう。
(2)すぐに修理や片付けはしない
事故現場には、事故に遭った車に付着した相手の車の塗料や、道路に残った相手の車のタイヤ跡など、犯人特定につながるさまざまな証拠が残されています。すぐに車を修理したり現場を片付けたりせず、警察に調べてもらってください。
また、被害に気づいた時点で、車の破損部分の写真を撮影したり、ドライブレコーダーの動画のバックアップをとったりして、できるだけ多くの証拠を残しておきましょう。
3. 犯人が捕まったら
交通事故でも、けが人がおらず、物が壊れただけですんだ場合は物損事故として扱われます。相手に飲酒運転や無免許などの事情がなく、警察に通報するなどきちんと対応すれば、通常は罪に問われることはありません。
ですが、警察に通報せずにその場からいなくなった場合には、当て逃げとして処理されます。警察の捜査により加害者が書類送検や逮捕をされれば、刑事罰を受けるでしょう。
加害者がわかり、被害者は安心かもしれませんが、警察は被害弁済まではサポートしてくれません。そのため、加害者が特定されたら、事故で壊れた車や塀の修理代、けがをしたような場合には慰謝料などを加害者に請求する必要があります。
相手が、強制加入の自賠責保険のほかに任意保険にも入っている場合には、原則として任意保険会社を通じて示談を進めます。ですが、保険会社が提示する賠償額は、必ずしも被害に見合った金額ではありません。
納得がいかない場合にはそのまま受け入れず、交通事故に詳しい弁護士に依頼しましょう。個人でかけあってもなかなか賠償額のアップは期待できませんが、弁護士が判例などの裏付けをもとに保険会社と交渉することで、適切な賠償額を得られる可能性が高まります。
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- こちらに掲載されている情報は、2024年12月04日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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