お金を貸した相手が音信不通…! 警察より弁護士に相談すべき理由
お金を貸した相手が音信不通となったとき、対応を間違えると自分が罪に問われてしまう可能性もあります。
本コラムでは、債務者が音信不通になってしまった場合の対策を紹介します。民事不介入の原則やお金を回収する方法、債権の時効についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
1. お金を返さないのは犯罪になる?
金銭の貸し借りは民法における金銭消費貸借契約に該当するため、法律上、債務者は債権者に対して借りたお金を返済する義務が発生します。
やむを得ない事情がある場合を除き、約束通りの返済をしなければ「債務不履行」となり、債権者が損害を被った場合は民法415条1項(※1)に基づいて損害賠償を請求できます。しかし、原則として民事上の債務不履行は刑法上の責任を問われることはありません。
ただし、詐欺罪が成立する場合は例外です。刑法246条(※2)では「人を欺いて財物を交付させた者は10年以下の懲役に処する」と定められています。たとえば虚偽や欺瞞(ぎまん)に基づいて金銭の貸し借りを行い、最初から返済の意思がなかった場合は詐欺罪が成立する可能性があります。このようなケースは刑事罰の対象となり得ますが、民法上の債務不履行は原則として犯罪には該当しません。
※1出典:「民法|e-Gov法令検索」
※2出典:「刑法|e-Gov法令検索」
(1)警察ではなく弁護士に相談すべき理由
金銭トラブルを警察ではなく弁護士に相談すべき理由は「民事不介入の原則」があるためです。民事不介入の原則とは、警察は民事事件に介入できないとする原則を指します。詐欺罪に該当するケースを除き、金銭トラブルはあくまでも民事上の問題ですので、警察は介入してくれません。そのため、金銭トラブルで困った場合は弁護士に相談すべきといえます。
(2)間違った対応をすると逆に訴えられる可能性がある
債務者が音信不通になったとしても、返済の催告は慎重に行わなくてはなりません。たとえば債務者の勤務先に押しかけて催告すれば、威力業務妨害罪に問われる可能性があります。また第三者に話すと名誉毀損にあたる可能性があり、手紙やメールでの返済請求も攻撃的な文面は脅迫罪や恐喝罪に該当しかねません。
こうした対応によって債務者から逆に訴えられてしまう可能性があるため、債務者が音信不通になった場合は速やかに弁護士に相談すべきといえるでしょう。
2. お金を返してもらえない場合にまずやること
お金の貸し借りには時効が適用される点に注意しなくてはなりません。ただし催告があった場合は、6か月を経過するまでは時効は完成しないと民法150条(※3)で定められています。そのため、債務者が音信不通になった場合、まずは「内容証明郵便」を使って催告状を送付することが重要です。
内容証明郵便とは、送付した文書の内容を公的に証明する郵便です。主に契約の解除通知や未払い金の督促といった場面で利用される郵便であり、内容証明郵便の送付によって金銭の返済を請求した証となります。内容証明郵便の送付は必須事項ではありませんが、民事訴訟に発展した際に債務者に「時効によって返済義務はない」と主張されることを防止できます。
※3出典:「民法|e-Gov法令検索」
3. 貸したお金の回収方法
債務者が音信不通になった場合、お金を回収する主な方法として挙げられるのが「民事調停」「支払督促」「少額訴訟」「民事訴訟」の4つです。先述したように対応次第ではお金を貸した側が訴えられるリスクがあるため、弁護士と相談しながら債権の回収を進めることをおすすめします。
- 民事調停
調停委員と裁判官が仲介役となり、当事者同士の話し合いでトラブル解決を図る裁判所の手続き - 支払督促
金銭の支払いなどを求める場合に限り、簡易裁判所の書記官による書類審査だけで金銭の支払いなどを命じてもらうことができる略式の手続き - 少額訴訟
60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限り、1回の審理で簡易裁判所が判決を下す特別の訴訟手続き - 民事訴訟
裁判官が法的な問題について当事者の言い分を聞き、当事者が提出した証拠の確認を行った上で解決を図る手続き
4. お金の貸し借りは時効に注意!
お金の貸し借りで注意したいのが「債権の消滅時効」です。消滅時効とは一定の期間行使されなかった権利を消滅させる民法上の制度を指します。債権の時効は原則として5年です。民法166条(※4)では、債権の時効について以下のいずれか早く経過する期間と規定されています。
- 権利を行使できると知ったときから5年間
- 権利を行使できるときから10年間
消滅時効は2020年4月1日に改正されましたが、従来は借入先が貸金業者であれば5年、個人の場合は10年が時効と規定されていました。2020年3月31日以前の債権については改正前のルールが適用される点に注意が必要です。
債務不履行は刑法上の責任を問われることはなく、民事不介入の原則によって警察は基本的に金銭トラブルに関与できません。お金を貸した相手が音信不通になってしまった場合、債権回収に詳しい弁護士に相談しましょう。
※4出典:「民法|e-Gov法令検索」
- こちらに掲載されている情報は、2023年12月20日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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