詐欺にあったらどうする? 被害を抑えるためにするべきこと

詐欺にあったらどうする? 被害を抑えるためにするべきこと

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

犯人が電話で話して被害者を信頼させ、指定した預貯金口座に振り込ませるなどの方法で、被害者から金銭等をだまし取る犯罪のことを特殊詐欺といいます。息子や家族を装うオレオレ詐欺や預貯金詐欺、架空料金請求詐欺などさまざまな手口があります。

警察庁の調べによると、令和2年中に全国で発生した特殊詐欺の被害総額は285億2335万9039円でした。

このとてつもない被害額のうち、大部分は被害者により銀行の口座振込やレターパックといった方法で送金され、犯人グループの手元に届いています。裏を返せば、詐欺被害にあったとしても、犯人グループの手元に届くまでに迅速に対策を講じれば、被害を抑えることが可能だといえるのです。

本記事では、特殊詐欺の被害にあった場合に取るべき行動と、その他の詐欺にあった場合にどうするべきかについて解説します。

1. 特殊詐欺に気が付いたら、すぐに金融機関へ連絡を

犯人にだまされて犯人に指定された口座にお金を振り込んでしまった場合は、直ちに振込先の金融機関へ連絡しましょう。

(1)疑わしい口座なら銀行判断で口座凍結が可能

一般社団法人 全国銀行協会では、平成20年に施行された振り込め詐欺救済法にあわせて全国の銀行に「事務取扱手続」を通達しています。この通達によると、被害者からの被害申告があり、振り込みが確認できている場合は、ほかの取引状況や口座名義人との連絡状況などから総合的に判断し、必要な場合は口座を凍結することが可能です。

金融機関の担当者が口座の履歴を確認したうえで、短期間に複数の個人から大金が振り込まれている、直近に生活や貯蓄などで使用されている状況がないといった詐欺の振込先口座にみられる特有の動きがあれば、口座が凍結され、以後の入出金ができなくなります。

また、金融機関の判断だけでは口座凍結が難しい場合でも、次のような場合は口座が凍結される可能性があります。

  • 警察・弁護士会・金融庁・消費生活センターなどの公的機関、弁護士・認定司法書士からの通報があった場合
  • 犯罪利用の情報提供があり、名義人に確認したところ口座を貸与・売却・紛失したなどが確認できた場合、名義人と連絡が取れない場合、または過去の履歴と比較して異常な入出金が発生している場合
  • 本人確認書類の偽造や変造が発覚した場合

(2)凍結口座の残金は被害者に分配される

振り込め詐欺などの犯罪に利用されている疑いがあり口座が凍結されると、預金保険機構のホームページに加害者の口座情報や口座名義人の氏名などが公開されます。その後60日以内に口座名義人から自己の権利行使を主張する届出等がない場合は、預金の権利が消滅し、被害者からの被害回復分配金支払申請の受付が始まります。そして支払申請期間中(運用上90日)に振込先の金融機関に申請をし、金融機関が支払該当者決定を行い、「被害回復分配金」の支払を受けることができます。

口座の残高が振込をした被害額よりも少ない場合、被害を回復できるのは被害額の一部となります。被害者が複数人いて、口座の残高が被害総額より少ない場合、分配金は被害額に応じて各被害者に案分されます。

そのため、多くの被害金がプールされていたり、被害者の人数が少なかったりする場合は、だまし取られたお金の大部分が返ってくる可能性が高いでしょう。

一方で、すでに被害金が犯人などにより引き出されており、口座を凍結しても残金がわずかであれば、分配金による被害回復は期待できません。

(3)レターパックの場合

特殊詐欺の送金は、口座振込ではなく、郵便のレターパックを指定されるケースも少なくありません。レターパックで現金を送付することは認められておらず郵便法違反です。それにもかかわらず犯人に騙されてレターパックでお金を発送してしまった場合は、直ちに郵便局に連絡して、レターパックの追跡番号を伝えたうえで配達をキャンセルしてもらいましょう。指定された住所に配達されるまでに手配できれば、全額を取り戻すことが可能です。

2. さまざまな詐欺被害の相談窓口

前述のように、特殊詐欺の被害にあった場合は、直ちに金融機関や郵便局に連絡することで、被害の回復が期待できます。では、ほかの手口の詐欺被害にあってしまった場合は、どこに相談すればよいのでしょうか?

(1)お住まいの地域を管轄する警察

詐欺被害について「犯人を捕まえて罰してほしい」と求めるなら、お住まいの地域を管轄する警察に相談しましょう。詳しく事情を伝えたうえで詐欺被害であると判断されれば、被害届や刑事告訴の受理によって捜査が始まり、必要に応じて犯人が逮捕されて刑罰が科せられます。

ただし、警察はあくまでも刑事事件として捜査する機関であるため、被害金を取り戻せるとは限らないという点は心得ておかなくてはなりません。

(2)国民生活センター

国民生活センターや地域の消費生活相談窓口では、詐欺被害に関する情報提供を実施しています。「本当に詐欺にあったのか判断できない」という悩みや不安がある場合の相談先としておすすめです。

しかし、国民生活センターは、主に消費生活に関する悩みやトラブルの相談に対応する機関であり、詐欺被害にあったお金を取り戻してくれるわけではありません。「誰かに相談したい」という場合に利用し、その後の対応はご自身で対応するか、別の相談先に任せることになるでしょう。

(3)弁護士

詐欺の手口は多岐にわたり、犯人を逮捕して罰するにも、被害金を取り戻すにも様々な法律が関わってきます。この場合、問題をスムーズに解決するために頼りになるのが弁護士です。

弁護士にサポートを依頼すれば、犯人の処罰を求めるための刑事告訴に必要な告訴状の作成や証拠集めを任せられるほか、警察への届け出やその後の対応も一任することができます。さらに、犯人に対して損害賠償を請求する際の訴訟手続きの代行、犯人側からの示談交渉における代理人としての対応も可能です。

詐欺事件として立件できるのか、だまし取られたお金を取り戻すことは可能なのかといった悩みにも適切なアドバイスを提供してくれるので、詐欺被害に気づいたらまずは弁護士に相談するのがよいといえるでしょう。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2021年12月14日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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