無免許運転が発覚したら…罰則と弁護士相談のメリットを解説
無免許運転で逮捕されてしまうと、初犯でも罰則(刑事処分)を受ける可能性が高いです。もし無免許運転で逮捕されたら、速やかに弁護士へ相談しましょう。
本コラムでは、無免許運転に対して科される罰則・行政処分や、ケース別の量刑などを解説します。
1. 無免許運転で逮捕されることはある?
無免許運転をしていると、交通違反や交通事故などをきっかけに発覚し、逮捕されてしまうことがあります。
(1)無免許運転とは
「無免許運転」とは、公安委員会の運転免許を受けないで、自動車または一般原動機付自転車(=自動車等)を運転することをいいます。また、免許停止処分を受けている状態で自動車または一般原動機付自転車を運転することも無免許運転にあたります。
無免許運転は、道路交通法によって禁止されています(道路交通法第64条第1項)。運転技能が不十分な者が自動車等を運転すると、交通に危険を生じさせるおそれが大きいため、自動車等の運転にあたっては免許の取得が義務付けられています。
なお、運転免許を受けているものの、運転免許証を携帯しないで自動車等を運転することは「免許証不携帯」と呼ばれます。免許証不携帯も道路交通法に違反する行為ですが(同法第95条第1項)、無免許運転にはあたりません。
また、運転免許の条件に該当しない自動車等を運転する「免許条件違反」も、道路交通法違反にあたりますが(同法第119条第1項第20号)、無免許運転とは異なります。
(2)無免許運転がバレることはある?
無免許運転は、交通違反や交通事故などをきっかけに発覚することがあります。
警察は日頃から、交通違反の取り締まりを行っています。たとえば、警察が一時停止義務違反を見とがめた際には、運転者に対して免許証の提示を求めます。その際に免許証を提示できないと、警察が免許の状況を確認し、無免許運転が発覚することになります。
また、交通事故を起こした場合にも、警察に免許証の提示を求められます。この場合も、免許証を提示できなかったために警察が調査を行った結果、無免許運転が発覚してしまいます。
このように、無免許運転はいつ警察にバレてもおかしくない、リスクの高い行為です。
(3)無免許運転に対するペナルティー|罰則・行政処分
無免許運転をした者は、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」に処されます(道路交通法第117条の2の2第1項第1号)。
また、自動車運転処罰法に定められた交通事故に関する犯罪については、無免許運転の場合は以下のとおり刑が加重されます(自動車運転処罰法第6条)。
罪名 | 法定刑(原則) | 法定刑(無免許運転時) |
---|---|---|
危険運転致傷罪(第2条) | 15年以下の懲役 | 6か月以上の有期懲役 |
危険運転致死罪(第3条) | 15年以下の懲役 | 6か月以上の有期懲役 |
危険運転致傷罪(第3条) | 12年以下の懲役 | 15年以下の懲役 |
過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪 | 12年以下の懲役 | 15年以下の懲役 |
過失運転致死傷罪 | 7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金 | 10年以下の懲役 |
さらに、無免許運転は違反点数25点に相当し、前歴がなくても最低2年間、前歴がある場合は最長5年間の運転免許欠格となります(運転免許を保有している場合は、免許取消となります)。
欠格期間においては、運転免許を受けることができません。
2. 【ケース別】無免許運転で逮捕された場合の量刑
無免許運転で逮捕された場合に見込まれる量刑を、ケース別に解説します。
(1)無免許運転のみの場合|初犯・再犯
違反が無免許運転に限られる場合、法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です(道路交通法第117条の2の2第1項第1号)。
初犯であれば、懲役刑を受ける可能性は低いでしょう。略式手続き(略式裁判)を通じて、罰金刑を受けるケースが多いです。
これに対して、再犯の場合は反省していないと評価され、公判手続き(正式裁判)を通じて懲役刑を受ける可能性が高くなります。執行猶予が付されることは十分あり得ますが、実刑となる可能性も否定できません。
(2)無免許運転+交通事故の場合
無免許運転の状態で交通事故を起こすと、自動車運転処罰法に基づく、重い処罰の対象となります。
一般的な交通事故では「過失運転致死傷罪」が成立しますが、無免許運転時の法定刑は「10年以下の懲役」です。初犯であっても実刑判決を受ける可能性があり、再犯の場合は実刑判決を避けることが困難でしょう。
さらに、被害者を救護しない「ひき逃げ」をした場合には、救護義務違反(道路交通法第72条第1項)によってさらに刑が加重されるおそれがあります。
(3)無免許運転+飲酒運転の場合
酒に酔った状態で自動車等を運転した場合は「酒酔い運転」の罪が成立します。酒酔い運転の法定刑は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」です(道路交通法第117条の2第1号)。
また、呼気1リットルあたりのアルコール濃度が0.15mg以上の状態で自動車等を運転した場合は「酒気帯び運転」の罪が成立します。酒気帯び運転の法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です(同法第117条の2の2)。
無免許運転の罪と酒酔い運転・酒気帯び運転の罪は「観念的競合」(=1個の行為が2個以上の罪名に触れること)の関係にあり、もっとも重い刑により処断されます(刑法第54条第1項前段)。
したがって、「無免許運転+酒酔い運転」の法定刑は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」です。情状によりますが、初犯でも実刑判決を受けるリスクがあります。
「無免許運転+酒気帯び運転」の法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。初犯で実刑となるケースは少ないと考えられますが、罰金刑は避けられないでしょう。また、再犯の場合は実刑の可能性が高くなります。
(4)無免許運転の車に同乗していた場合
自分が無免許運転をしたのではなくても、無免許運転となることを知りながら、運転者に要求・依頼して自動車等に同乗した場合には、道路交通法違反により罰せられます(=同乗罪。同法第64条第3項、第117条の3の2第1号)。
同乗罪の法定刑は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」です。比較的軽い罪なので、初犯であれば起訴猶予(不起訴)となる可能性もあります。
(5)未成年者が無免許運転をした場合
20歳未満の者が無免許運転をした場合は、少年法に基づき、家庭裁判所の審判によって保護処分を受けるのが原則です。保護処分の種類としては、保護観察や少年院送致などが挙げられます。
ただし、無免許運転の状態で重大な交通死亡事故を起こした場合などには、成人と同様の刑事裁判で審理が行われることもあります。
20歳未満の者に対して懲役刑または禁錮刑を科すときは、執行猶予が付される場合を除き、不定期刑が言い渡されます(少年法第52条)。
3. 無免許運転で摘発されてしまったら弁護士に相談を
警察に無免許運転が発覚すると、重い罰則を科されるおそれがあります。
重罰を避けるためには、早期に弁護士へ相談することが大切です。弁護士が適切に弁護活動を行うことにより、逮捕・起訴の回避や量刑の軽減につながります。
無免許運転の疑いで取り調べを要請された方や、家族が無免許運転で逮捕されてしまった方は、お早めに弁護士へご相談ください。
- こちらに掲載されている情報は、2024年09月19日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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