撮り鉄が迷惑行為で逮捕される例とは? 厳しい処分を受ける可能性も
「撮り鉄」とは、鉄道車両の写真や動画撮影を楽しむ鉄道愛好家をいいます。趣味の範囲で楽しんでいるのであれば特に問題はありませんが、一部の過激な撮り鉄により線路や私有地に無断で立ち入るなどの迷惑行為が行われることもあります。
このような迷惑行為は、犯罪に該当し厳しい処分を受ける可能性もありますので気を付けて行動しなければなりません。
本コラムでは、撮り鉄が迷惑行為で逮捕される例と逮捕されてしまった場合の対処法などについて解説します。
1. 「撮り鉄」によるトラブルの事例
撮り鉄によるトラブルにはどのようなものがあるのでしょうか。以下では、撮り鉄の定義と撮り鉄によるトラブルの事例を説明します。
(1)撮り鉄とは?
撮り鉄とは、鉄道車両の写真や動画などの撮影を楽しむ鉄道愛好家のことをいいます。珍しい鉄道車両や美しい背景をバックに走行する鉄道車両などを写真や動画に収めるために、全国各地を渡り歩く人もいるようです。
近年このような撮り鉄によるさまざまな迷惑行為が問題になってきています。なかには逮捕者が出るようなトラブルもありますので、撮り鉄を趣味としている方は、十分に気を付けて行動しなければなりません。
(2)撮り鉄の起こしたトラブルの事例
撮り鉄が起こした実際のトラブルとしては、以下のようなものがあります。
①列車を撮影するために線路内に侵入した事例
令和3年9月9日、列車を撮影するために線路内に立ち入ったとして、20代の無職の男性2人が鉄道営業法違反で書類送検されました。
男性らの撮影により、列車は緊急停車をすることになり、この影響で約30分間運転を見合わせる事態となりました。
②線路内のロープを切断し逮捕された事例
令和6年1月11日、JR東海道線の線路内で、上下線を区切るロープを切断したなどの疑いで、大学生ら3人が器物損壊容疑で逮捕されました。
これも撮り鉄による迷惑行為だったようです。
2. 「撮り鉄」の迷惑行為で問われうる責任
撮り鉄の迷惑行為があった場合、どのような責任が問われるのでしょうか。以下では、刑事上の責任と民事上の責任について説明します。
(1)逮捕される可能性のある罪とは?
撮り鉄による迷惑行為があった場合、以下のような罪に問われる可能性があります。
①鉄道営業法違反
正当な理由なく停車場や線路に立ち入ると鉄道営業法違反となります(鉄道営業法37条)。
鉄道営業法違反の法定刑は、1000円以上1万円未満の科料となります。
②建造物侵入罪・住居侵入罪
列車を撮影するために営業時間外の駅構内に侵入したり、他人の敷地内に侵入したりすると建造物侵入罪・住居侵入罪に問われる可能性があります(刑法130条)。
建造物侵入罪・住居侵入罪の法定刑は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金となります。
③威力業務妨害罪
撮り鉄による迷惑な撮影行為を制止しようとした駅員に対して、暴言を吐いたり、暴行を加えたりした場合には、威力業務妨害罪が成立する可能性があります(刑法234条)。
威力業務妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役または50万円罰金となります。
④往来危険罪・過失往来危険罪
列車の撮影のための脚立や三脚が列車に接触するなどして、衝突などの往来の危険を生じさせた場合には、往来危険罪(刑法125条1項)または過失往来危険罪(刑法129条1項)が成立する可能性があります。
往来危険罪の法定刑は2年以上の懲役、過失往来危険罪の法定刑は30万円以下の罰金となっています。
⑤暴行罪、傷害罪
撮影を注意した駅員や一般の人との間でトラブルになり、殴ったり突き飛ばしたりするなどの暴行を加えた場合には、暴行罪が成立します(刑法208条)。また、暴行により相手に怪我をさせた場合には傷害罪が成立します(刑法204条)。
暴行罪の法定刑は2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料、傷害罪の法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。
(2)民事上の責任を負う可能性も
撮り鉄による迷惑行為は、刑事上の責任だけでなく民事上の責任を問われる可能性があります。
たとえば、車両や駅構内の設備を損壊した、駅係員や周囲の客を負傷させた、列車を緊急停止させたなどの損害を与えた場合は、民事上の責任として、高額な損害賠償請求を受けるおそれがありますので注意が必要です。
3. 逮捕されてしまったらどうなる?
撮り鉄が迷惑行為で逮捕されてしまった場合、その後の流れはどうなるのでしょうか。以下では、逮捕後の流れと早期の身柄釈放を目指す方法について説明します。
(1)逮捕後の流れ
撮り鉄が迷惑行為で逮捕された後の流れを簡単に示すと以下のようになります。
- 警察署の留置施設で身体拘束をされ、警察による取り調べを受ける
- 逮捕から48時間以内に検察官に送致される
- 検察官による取り調べを受ける
- 引き続き身体拘束をするのであれば、検察官が送致から24時間以内に勾留請求を行う
- 裁判官が勾留請求を許可すると10日間の身体拘束となる
- 検察官から勾留延長請求があり裁判官が勾留延長請求を許可すると、身体拘束が最大10日間延長される
- 勾留期間満了までに検察官が起訴または不起訴の判断をする
(2)早期の身柄釈放を目指すには
逮捕後、勾留請求されるまでの最大72時間は、弁護士以外の人と面会や連絡をすることができません。勾留請求されてしまうと原則10日間、最大20日間もの身体拘束を受けることになりますので、勾留請求を阻止することが重要となります。
弁護士であれば、逮捕された旨の連絡があればすぐに被疑者と面会を行い、早期の身体解放に向けて被害者との示談交渉を開始することができます。
勾留の必要がないことなどを主張して検事や裁判官と交渉して勾留を回避することができる可能性がありますし、被害者との示談を成立させることができれば不起訴処分を獲得できる可能性が高くなりますので、すぐに弁護士に依頼するようにしましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2024年10月25日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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