どこからが暴行罪にあたる? 暴行罪の成立要件と傷害罪との違い
ドラマなどで、男性が女性をナンパする際に、女性の腕をつかんで、壁際までひっぱっていくというシーンが描かれることがあります。このとき、女性が嫌がっていれば、暴行事件として逮捕される可能性があることをご存じでしょうか。
暴行罪は、相手が怪我をしておらず、大きな力を加えていなくても成立する可能性があります。どのような場合に暴行罪に問われるか、また、暴行罪と傷害罪との違いについても整理しておきましょう。
1. 暴行罪にあたるのはどこから?
(1)暴行罪とは
暴行罪は、刑法第208条で定められている刑罰です。
「暴行」とは、人の身体に対して不法な有形力を行使することをいいます。簡潔に説明すると、人に対して意思に反して何らかの物理的な力を加える行為といえます。具体的には、次のような行為は暴行とみなされます。
- 殴る
- 蹴る
- 物を投げつけてぶつける
- 上から物を落下させて相手の身体に当てる
- 髪の毛をひっぱる
- 首を絞める
- 胸ぐらをつかんで引っ張り上げる
- 腕や肩を強くつかむ
- 衣服やカバンなどの持ち物を強くひっぱる
- 髪の毛を無断で切る
また、直接相手の身体に接触しない、次のようなケースも暴行罪に該当することがあります。
これらを、間接暴行といいます。
- 目の前に花瓶を投げつける
- 相手の前で棒を振り回す
- 水やお茶などの液体をかける
- あおり運転をする
(2)暴行罪の刑罰
暴行罪に規定されている法定刑は、2年以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。
初犯であり悪質でない場合は、懲役刑ではなく、罰金刑で終わる可能性も十分にあります。ただし、罰金刑だとしても前科はつくため、けっして軽んじるべきではありません。
(3)暴行罪で逮捕されたらどうなる?
暴行罪は、暴行をしている現場で現行犯逮捕される可能性があるほか、被害者が警察に被害届が出したことによって、後日に通常逮捕される可能性があるでしょう。
逮捕されると、すぐに警察で取り調べが始まります。逮捕後は釈放されるまで、自由に外出することはもちろん、外部に連絡することや携帯電話を利用することもできません。
逮捕後の拘束期間は、警察での48時間、検察に送致された後の24時間と、最長で72時間です。ただし、勾留請求が認められた場合は、最長で請求から20日間にわたって身柄を拘束されることになります。
捜査や取り調べの結果、検察は起訴・不起訴を判断します。起訴されれば刑事裁判で判決を受けることになります。
(4)示談の重要性
暴行事件を起こした場合は、被害者に謝罪した上で謝罪金などを支払う、「示談」をすることが重要です。起訴前に被害者と示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。また、たとえ起訴されたとしても、処分が軽くなることが期待できるでしょう。
ただし、示談交渉を加害者本人や家族などが直接行うことは得策とはいえません。まず、被害者が知り合いではないケースでは、相手の連絡先を入手すること自体が難しく、当然ながら捜査機関が連絡先を開示してくれることはありません。
また、たとえ知り合いだったとしても、相手は恐怖心や怒りを抱いていて当然です。話し合いを拒まれる可能性が高いでしょう。何より、被害者の言葉に影響を与えるのは罪証隠滅行為となり、逮捕の可能性を高めてしまうため、得策ではありません。
このように聞くと、打つ手がない……と考えるかもしれませんが、弁護士に相談することで、突破口が開ける可能性があります。捜査機関は、弁護士であれば加害者の連絡先を開示してくれることがあります。
また、弁護士が代理人となることで、被害者が交渉に応じるケースも少なくありません。示談交渉をスムーズに進めたいと考える場合は、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。
2. 傷害罪との違い
暴行罪に類似した犯罪に、傷害罪があります。傷害罪の傷害罪の刑罰は、「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」(刑法204条)と、暴行罪の刑罰に比べると、かなり重い刑罰が予定されています。では、暴行罪と傷害罪は、どのような違いがあるのでしょうか。
(1)暴行罪の傷害罪の行為様態は同じ
暴行罪も傷害罪も、加害者が被害者の身体に有形力を行使するという点では共通しています。実際に、暴行罪と傷害罪の行為様態は同じです。
たとえば、人を殴ったり、ほっぺたを平手打ちしたり、物を投げつけてぶつける、といった行為は、暴行罪にも傷害罪にも該当する可能性があります。
(2)相手が怪我をしたら傷害罪になる
暴行罪と傷害罪との違いは、被害者が暴行により怪我を負っていたか否かという点にあります。相手に腹が立って殴ってしまったものの、相手が無傷の場合は暴行罪が成立し、相手が怪我をした場合には傷害罪が成立することになります。
なお、この場合の怪我とは、骨折といった重症である必要はありません。内出血や軽い打撲、擦り傷程度でも傷害事件にあたります。実際に被害者が怪我をしたかどうかは、被害者の自己申告と怪我の写真、病院での診断書などで判断されます。
- こちらに掲載されている情報は、2021年07月07日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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