置き引きは窃盗罪にもなる! 他人の物を無断で持ち去った場合の量刑事例
落下していたり、放置されていたりする他人の所有物を許可なく持ち去ることを「置き引き」と呼ばれます。当然ですが犯罪であるため、相応の罰を受けることになる可能性がある行為です。
たとえその場に置き忘れられた物であっても、故意に自分の物にしてしまえば罪に問われます。この記事では、置き引きの刑法上の罪名や量刑について解説します。
1. 置き引きで問われる罪
置き引きをすると、窃盗罪か占有離脱物横領罪に問われる可能性があります。落とし物や忘れ物には必ず所有者が存在します。他人の財物を盗んだ場合に適用される犯罪は、窃盗罪です。所有者の管理下を離れた他人の財物を自分の物にした場合は、占有離脱物横領罪に問われます。いずれの罪に問われるのかは、所有者の管理下から離れているかどうかによって判断されますので、ケース・バイ・ケースです。
(1)置き引きの刑事罰
窃盗罪と占有離脱物横領罪の刑罰は以下の通りです。
- 窃盗罪……10年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 占有離脱物横領罪……1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料
窃盗罪と占有離脱物横領罪とでは、窃盗罪のほうが罪は重くなります。置き引き行為が窃盗罪か占有離脱物横領罪のいずれに該当するかの判断は難しいため、気になる方は弁護士にご相談ください。
(2)置き引きが犯罪に該当するケース
以下のような行為は窃盗罪、もしくは占有離脱物横領罪と判断されて、警察の捜査対象になる可能性があります。
- 銀行のATMに現金が残っていたのを自分の物にした
- 海水浴場でパラソルの下に置かれている他人の荷物の中から、貴重品を持ち去った
- ホテルのカウンターで旅行客が足元に置き忘れていたバッグをこっそり持ち去った
- コンビニの傘立てに置いてある他人の傘を使いそのまま持ち帰った
- 道に落ちていた財布を自分の物にした
2. 置き引きで逮捕された後の手続きについて
置き引きで逮捕されてしまった場合、以下の流れで刑事手続きがおこなわれます。逮捕されると最長23日間も身柄が拘束されてしまい、社会生活に多大なる影響が及んでしまいます。
そして勾留期間満了までに、起訴、不起訴の決定をします。
なお、逮捕から勾留が決定するまでの3日間は、たとえご家族でも面会はできないのが通常です。外部への電話もできないため、弁護活動を依頼する場合はもちろん、仕事のことなど伝言があるときは、弁護士を依頼して接見してもらう必要があります。
3. 置き引きをして、後日捜査対象になる可能性
置き引きは所有者が見ていないところで盗みますので、捜査機関に犯行が露見するまでに時間がかかるケースが少なくありません。また犯人を特定するまでに時間を要することもあり、「犯行から1年後に逮捕される」といったケースも存在します。
したがって、置き引きをしてからしばらくは、警察の捜査対象になっている可能性があることを念頭においておく必要があります。
4. 置き引きの刑の重さはどう判断される?
置き引きでも、他の犯罪と同様に、その行為態様や被害の大きさなど、様々な事情を考慮して刑が決められます。置き引きでは、たとえば以下のような事情があると、刑が重くなるでしょう
- 置き引きをした額が大きい
- 置き引きした物を転売するなど悪質
- 他の置き引きもおこなっている
- 全く反省していない
5. 逮捕・起訴を回避するための被害者との示談交渉
置き引きは占有離脱物横領罪や窃盗罪に該当する犯罪です。犯行当日に逮捕されなくても、後日逮捕されたり、捜査対象になったりしてしまう可能性は大いにあります。また起訴されて刑事裁判が開かれるおそれもあるでしょう。
逮捕や起訴を回避するためにやるべきことは、たとえば「被害者との示談」です。被害者と示談を締結して賠償金を支払えば、不起訴処分になる可能性が高まります。
他にも、前述した刑の重さの判断事情にあわせて、様々な取り組みが考えられます。
6. 置き引きによる逮捕が不安なら弁護士へ相談しよう
置き引きをして窃盗罪や占有離脱物横領罪で逮捕されるのではないかと不安な方は、弁護士に相談をしましょう。弁護士であれば状況を的確に判断をした上で、今やるべきことをアドバイス可能です。
被害者が分かっていれば弁済し、示談成立に向けて働きかけてもらうことができるでしょう。落とし物や忘れ物を届け出ようと思っていたけれどつい先延ばしにしてしまい、言い出せなくなった場合も、弁護士が一緒に警察へ行き、説明をしてくれます。
置き引きは防犯カメラなどの映像が証拠となり、後になって逮捕されることもありますので、「バレないだろう」と考えて何も対処しないことにはリスクが伴います。
- こちらに掲載されている情報は、2021年07月26日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
お一人で悩まず、まずはご相談ください
犯罪・刑事事件に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?
関連コラム
-
- 2024年09月02日
- 犯罪・刑事事件