自首と出頭の違いとは? 法律上の優遇措置や逮捕の可能性について解説
自首というと、刑事ドラマなどで、捜査の追っ手から逃れ続ける犯人が周囲の人からを促されるシーンなどを思い浮かべる人もいらっしゃるでしょう。しかし、刑事ドラマなどで描かれる自首は、法律のうえでは自首にはあたらず、実際には“出頭”として扱われることがあります。
では、自首と出頭にはどのような違いがあるのでしょうか? 自首が認められた場合はどのような扱いを受けるのでしょうか? 詳しく解説していきます。
1. 自首と出頭の違い
自首と出頭は、いずれも犯罪の容疑をかけられている人が自ら捜査機関のもとへと出向くという意味において同じものです。ただし、同じように自ら出向いたとしても、状況によって自首として扱われたり、出頭とみなされたりします。
(1)自首の要件
自首とは、捜査機関が認知していない犯罪について、犯人が自ら捜査機関に犯罪の事実を申告し、処罰を求める行為をいいます。法律おいて規定されている刑事手続きのひとつで、自首が認められた場合は刑事手続きを受けるうえでの優遇措置を受けられる可能性があります。
警察が事件の発生を一切認知していない状況のほか、犯罪の発生は認知しているものの被疑者が判明していない状況でも自首とみなされます。
反対に、すでに警察の捜査が進んで被疑者が特定されており、所在を捜索されている状況であれば、自ら出向いても自首としては扱われません。
また、自首が有効となるのは、捜査機関に自らの犯罪事実を申告して処罰を求める場合であり、ほかの犯罪や犯人を隠すために出向いた、処罰を求める意思はないといったケースでは自首としては無効です。
(2)出頭とみなされるケース
出頭は犯罪の容疑をかけられている人が自ら捜査機関に出向く行為を指す用語です。
すでに捜査機関に被疑者として特定され所在を捜索されている、逮捕状が発付され指名手配を受けているといった状況では、自首ではなく出頭として扱われます。そのため、出頭は法律で定められた刑事手続きにはあたらず、自首のような優遇措置は得られません。
もっとも、出頭したという事実自体は捜査資料として残されます。
2. 自首と出頭の効果とは? 逮捕や刑罰の減軽への影響はあるか
自首が有効に認められた場合は、刑法の定めによる優遇措置を受けられる可能性があります。また、出頭としか扱われない場合でも、法律の定めによる優遇はないものの、刑事裁判で有利な処分を受ける材料になることがあります。
(1)自首の効果
刑法第42条1項によると、自首が有効に認められた場合はその刑を「減軽することができる」と定められています。
減軽が認められると、死刑は無期もしくは10年以上の懲役・禁錮に、無期懲役・無期禁錮は7年以上の懲役・禁錮に、有期の懲役は上限が2分の1に減じられます。罰金の場合も、上限または下限の2分の1へと減じられます。
自首による減軽は、刑法で「することができる」と示されているとおり、必ず適用されるわけではありません。裁判官の判断によっては減軽しないことも可能なので、犯罪の重大性や自首にいたる経緯、反省の程度や自首によってもたらされた捜査経済上の効果などによっては減軽を受けられないおそれもあります。
また、逮捕には被疑者が逃亡・証拠隠滅を図るおそれがあるという要件が設けられているため、自ら進んで捜査機関に出向き処罰を求めることで要件を否定し、逮捕が回避できる可能性があります。
なお、減軽と紛らわしい用語として「減刑」が存在します。刑罰が減じられるという意味では減刑のほうが正しいように見えますが、自首によって得られるのは「減軽」です。減軽は刑事裁判で下される判決が減じられるものですが、減刑はすでに確定している刑罰について減じるもので、恩赦のひとつとして位置付けられています。
(2)出頭の効果
出頭には、刑法による減軽措置が規定されていません。ただし、自ら進んで捜査機関に出向いた事実は情状面で酌量される理由となり、刑事裁判で量刑が軽く傾く可能性があります。
減軽と同じく、必ず有利な処分が得られるわけではありませんが、少なくとも逃亡を続けた末に所在をつかまれて逮捕された場合よりも反省や贖罪(しょくざい)の意思があると評価されやすくなるでしょう。
また、被疑者が自ら出頭して捜査に協力的な姿勢を示すことで、逃亡・証拠隠滅のおそれが否定され、逮捕されず在宅捜査で事件処理が進む可能性も高まります。
弁護士に相談して詳しい状況を説明すれば、自首・出頭のいずれにあたるのかを正確に判断できたうえで、警察署への同行も依頼できます。自首・出頭を検討している場合は、まずは弁護士に相談してアドバイスを求めるのが賢明でしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2021年11月17日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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