警察からの呼び出しは拒否できる? 拒否した場合と逮捕される可能性
心当たりの有無にかかわらず、警察からの呼び出しを受けてしまえば誰でも不安になるでしょう。とくに、なんらかの犯罪の心当たりがあれば「そのまま逮捕されるのではないか」と不安を感じてしまうでしょう。
ネット上では「警察からの呼び出しは任意なので拒否できる」といった情報もありますが、果たして本当なのでしょうか? 呼び出しを拒否することで不利な状況に陥ることはないのでしょうか? 警察から呼び出しをする目的と、呼び出しを拒否した場合について解説します。
1. 警察・検察が呼び出しをする目的
警察・検察といった捜査機関が呼び出しをする目的は、犯罪の被疑者・参考人・身元引受人など、それぞれの立場によって異なります。
(1)被疑者として呼び出す場合
捜査機関から犯罪の嫌疑をかけられている人のことを“被疑者”と呼びます。
捜査機関が被疑者を呼び出す目的は、容疑がかかっている犯罪について取り調べを実施するためです。取り調べを強制的に進めるために、逮捕状の発付を受けたうえで被疑者を呼び出し、そのまま逮捕することもあります。
(2)参考人として呼び出す場合
“参考人”とは、刑事事件についてなんらかの情報を知っている人のことを指します。
犯行の目撃者や被疑者のことを知っている人のほか、犯罪を証明するために必要な専門知識を持っている人が該当するでしょう。また、犯罪の被害者も、参考人に含まれます。目撃者や被害者といった立場で呼び出されるのであれば、逮捕されることはありません。
ただし、まずは参考人として呼び出し嫌疑を確かめたうえで、被疑者としての取り調べに切り替えられるケースもあります。このように、犯罪の疑いが濃厚であるとされる参考人を“重要参考人”といいます。
(3)身元引受人として呼び出す場合
取り調べた被疑者を逮捕せず帰宅させる場合には“身元引受人”を呼び出すことがあります。
身元引受人として呼び出しを受けた場合は、被疑者を監督して必要がある場合は必ず出頭させる旨を誓約する身元請書への署名を求められるでしょう。つまり、身元引受人として呼び出されるのは、家族や上司といった被疑者を監督できる立場にある人です。身元引受人が呼び出しに応じて被疑者の出頭を誓約すれば、今後も任意での取り調べが可能であると判断され、逮捕の危険は低くなります。
なお、被害者や目撃者として呼び出されたケースでも、未成年者から事情を聴取した場合では身元引受人が呼び出されることがあります。
2. 捜査機関からの呼び出しは拒否できるのか
警察・検察といった捜査機関からの呼び出しを拒否することは可能なのか、また、呼び出しを拒否したために不利益とのなる場合はあるのか、併せて解説します。
(1)呼び出しの拒否は可能
捜査機関からの呼び出しには強制力がないので、呼び出しに応じられない理由があれば、拒否しても違法になることはありません。被疑者・参考人・身元引受人といった立場に関係なく、すべて拒否が可能です。
(2)むやみな拒否は逮捕の危険を高める
参考人として呼び出しを受けたのであれば、呼び出しを拒否しても何ら問題はありません。ただし、被疑者や身元引受人として呼び出しを受けた場合に拒否すると、被疑者の逮捕の危険を高めてしまうことを心得ておきましょう。
被疑者が正当な理由なく出頭を拒んだ場合は、逃亡・証拠隠滅のおそれがあると判断されてしまい、逮捕状の発付を受けたうえで逮捕されてしまう可能性が高まるからです。また、罪から逃れたい、事情を取り調べられても答えたくないといった理由で拒否していると、仕事などを言い訳にしても捜査機関が逮捕に踏み切る危険が大いに高まるでしょう。
身元引受人が拒否した場合も、やはり被疑者の出頭が期待できなくなるため逮捕の可能性を高めてしまいます。
捜査機関からの呼び出しを受けてしまい、どのような取り調べを受けるのか、逮捕の可能性があるのかといった不安を感じているなら、すぐに弁護士へ相談することをおすすめします。取り調べにおいて注意すべきポイントや逮捕を避けるための対策についてアドバイスが得られるほか、弁護士が警察署に同行することも可能です。弁護士の同行によって、今後の出頭確保による逮捕の回避や、捜査機関への牽制による不当な取り調べの防止が期待できるでしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2021年11月22日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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