危険運転とはどのような行為? 罰則や逮捕された後の流れ
テレビニュースや新聞などで大々的に報じられる交通事故では、ドライバーの行為が「危険運転」であったのかが争点となるケースが目立ちます。
ここでいう危険運転とは、単に周囲の人の目から見て「危ない」と感じるような運転を指すのではありません。法律によって定められた明確な基準があります。
危険運転にあたる行為や罰則、逮捕された場合の流れを確認していきましょう。
1. 危険運転とは?
周囲のドライバーや歩行者の目から見て「危ない」と感じる運転行為を広く危険運転と呼ぶことがありますが、どのような運転行為が「危ない」と感じるのかは人それぞれです。
そこで、法律では「危険運転」にあたる行為を明確にし、厳しく罰することを規定しています。
(1)自動車運転処罰法によって定義されている
「危険運転」を罰する法律は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称:自動車運転処罰法)」です。
この法律が施行されるまでは、危険運転によって交通事故を起こして人を死傷させると刑法に定められた危険運転致死傷罪によって処罰されていました。
ところが、刑法による定めでは処罰できないような悲惨な交通事故が多発し、厳罰化を求める声が多く寄せられたため、刑法から分離するかたちで別の法律として制定されたという経緯があります。
(2)危険運転にあたる8の行為
危険運転にあたる行為は、自動車運転処罰法第2条・第3条に定められています。
ここで挙げる8の行為によって被害者を死傷させた場合は自動車運転処罰法の「危険運転致死傷罪」または「準危険運転致死傷罪」が成立します。
- アルコールまたは薬物の影響により正常な運転ができない状態で走行させる行為
- 進行を制御するのが困難な高速度で自動車を走行させる行為
- 進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
- 人または車の通行を妨害する目的で、重大な交通の危険を生じさせる速度で走行中の自動車の直前に侵入し、その他通行中の人又は車に著しく接近する行為
- 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
- 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
- アルコールまたは薬物の影響により、正常な運転ができないおそれがある状態で運転する行為
- 自動車の運転に支障がある病気の影響により、正常な運転ができないおそれがある状態で運転する行為
1〜6は自動車運転処罰法第2条に規定されている「危険運転致死傷罪」、7・8は同法第3条の「準危険運転致死傷罪」となります。
なお、4~6は「あおり運転」に関する規定です。
令和2年6月に改正道路交通法が施行されて「妨害運転罪」が新設されたことに伴い、同年7月に自動車運転処罰法も規制行為を拡大した改正が施行されています。
2. 危険運転で死傷事故を起こした場合の罰則
危険運転にあたる行為が原因で交通事故を引き起こし、被害者を死傷させてしまうと、自動車運転処罰法の規定に基づいて厳しい刑罰が科せられます。
(1)被害者を負傷させた場合
危険運転にあたる8の行為のうち、1から6にあたる運転行為によって被害者に怪我を負わせてしまった場合は、15年以下の懲役が科せられます。
さらに、無免許でこれらの行為をはたらいた場合は、6か月以上の有期懲役となり、最大20年の懲役が科せられるおそれがあります。
また、7・8にあたる運転行為によって被害者を負傷させた場合は、12年以下の懲役です。
無免許で7・8にあたる運転行為があれば、15年以下の懲役に加重されます。
危険運転にあたらない、不注意が原因による交通事故の場合は「過失運転致傷罪」となりますが、この場合は7年以下の懲役または100万円以下の罰金であり、被害者の負傷が軽い場合は刑が免除される可能性があります。
このように比較すると、危険運転であるとみなされるだけで格段に重い罪が科せられることがよくわかるでしょう。
(2)被害者を死亡させた場合
危険運転が原因の交通事故によって被害者を死亡させた場合は、1~6では1年以上20年以下の有期懲役、7・8では15年以下の懲役が科せられます。
1〜6については無免許の加重はありませんが、7・8では6か月以上20年以下の有期懲役に加重されます。
不注意による交通事故は「過失運転致死罪」となり、最大でも7年の懲役にとどまるため、危険運転で被害者を死亡させた場合の罪はきわめて重いといえるでしょう。
3. 逮捕後の流れ
危険運転によって交通事故を引き起こすと、事故現場で警察官に現行犯逮捕されるか、あるいは警察署に任意同行されたうえで逮捕状の発付を受けて通常逮捕されるおそれが高まります。
逮捕後は、警察の段階で48時間以内、検察官の段階で24時間以内の身柄拘束を受けます。
さらに検察官による勾留の請求が認められると、最長20日間の身柄拘束を受けるため、逮捕から23日間にわたって社会と隔離されてしまうおそれがあります。
早期釈放や処分の軽減を期待するなら、被害者・遺族との示談交渉や深い反省を示すための対策が欠かせないので、ただちに交通事件の解決実績が豊富な弁護士に相談するのが最善策となるでしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2022年03月01日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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