- (更新:2024年07月12日)
- 犯罪・刑事事件
少年院には何歳から何歳までの人が入る? 改正少年法で18・19歳は?
「民法の一部を改正する法律」が令和4年4月1日から施行され、民法上の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることになりました。同日から、「少年法等の一部を改正する法律」も施行されることになりました。20歳未満の者を「少年」とすることに変更はありませんが、18歳以上20歳未満の者を「特定少年」とし、20歳以上の者と近い手続を経るように変更されています。これにより、少年院に収容される者の年齢も引き下がるのでしょうか。
今回は、改正少年法の内容を踏まえて少年院に収容される者の年齢について解説します。
1. 少年院とは
少年院とは、犯罪を予防するため教育的な措置を行うための施設です。通常の刑事施設が刑罰を科すことを目的としているのに対して、少年院は刑罰ではなく矯正教育を行うことを目的とした施設であるという違いがあります。少年院には以下の者が収容されることとなっています。
- ①家庭裁判所の審判の結果、少年院送致の保護処分を下された少年
- ②家庭裁判所の審判の結果、2年間の保護観察の保護処分を下された特定少年のうち、重大な遵守事項違反があり少年院に収容する旨の決定がされた者
- ③家庭裁判所の審判を受けずに通常の裁判をした結果、実刑を受けることになった16歳未満の少年
②については今回の「少年法等の一部を改正する法律」で新たに追加されました。
①から③の少年が少年院に収容される具体的な流れは、後述3.で説明します。
2. 少年院の種類と、少年院に収容される年齢
少年院にはいくつか種類があり、収容される年齢も種類ごとに異なります。改正により、少年院が5種類に増え、前述1.②の少年を収容する、第五種少年院ができました。結論から言えば、少年院に収容されることが予定される年齢は、改正前も改正後もおおむね12歳以上26歳未満で変わりありません。
現在の少年院の法律上の種類と、それぞれの少年院に収容される者の特徴は以下の通りです。
- 第一種少年院
少年院送致の保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害のないおおむね12歳以上23歳未満の者。 - 第二種少年院
少年院送致の保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害のない犯罪的傾向が進んだ、おおむね16歳以上23歳未満の者。 - 第三種少年院
少年院送致の保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害のあるおおむね12歳以上26歳未満の者。 - 第四種少年院
14歳以上16歳未満少年院において刑の執行を受ける者。 - 第五種少年院
「特定少年」(18歳以上20歳未満)のうち、2年間の保護観察の保護処分を受けた者のうち、保護観察中に重大な遵守事項違反があった者。少年院収容の期間は1年以下の範囲で定められることになっているため(少年法64条2項)、今後18歳以上おおむね23歳未満の者が収容されると見込まれます。
3. 少年院に収容される流れ
どのような流れで少年院に収容されるのか、大まかな流れを説明します。
(1)事件の捜査
家庭裁判所に送られる少年は犯罪の疑いがあるケースが多いです。このような場合、まず、捜査機関が捜査し、少年を逮捕・勾留することもあります。その後家庭裁判所に事件が送られます。
(2)家庭裁判所の調査
家庭裁判所は、審判をする必要がある少年については、調査をすることとなっています。通常、家庭裁判所は家庭裁判所調査官に命令し、少年について生活環境面を含めた調査をさせます。さらに、少年を少年鑑別所という施設に送致して、少年自身の資質面に重点を置いた調査をさせることもあります。少年鑑別所に送致された場合には、通常4週間以内、一定の重大事件の場合は8週間程度少年鑑別所に収容されることになります。
(3)家庭裁判所の審判不開始決定
実は、家庭裁判所に送致された少年事件のうち、審判が開始されない事件は多いです。令和3年版犯罪白書を参照すると、半数弱の事件は審判が開始されません。理由は様々ありますが、手続きが進行する中でされた教育的働きかけにより、少年の内省が深まり審判を開始する必要がなくなった場合が含まれます。
(4)家庭裁判所の少年審判
審判が開始されると、非公開の審理がされ、家庭裁判所は最終的に以下のいずれかの処分を下すことになります。
- 保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致の3種類があります。)
- 不処分
- 検察官送致
- 児童福祉機関への送致
少年院送致の保護処分は、18歳以上20歳未満の「特定少年」も対象です。
今回の改正で、罪を犯した特定少年が原則として検察官送致される事件の範囲が拡大されましたが、これによって特定少年が検察官送致以外に少年院送致などの処分を受けなくなったわけではありません。
また、「特定少年」が2年間以内の保護観察の保護処分を受けた場合、当該期間内に重大な遵守事項違反をすると、1年以内の期間を定めて少年院送致がされることがあります。
(5)検察官送致がされた場合
検察官送致がされた場合には、通常の刑事手続に乗ることになります。
16歳になるまでの受刑者については、少年院に収容されて教育的な措置を受けることができる場合があります。
- こちらに掲載されている情報は、2024年07月12日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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