イタズラ電話は犯罪? 万が一逮捕されたらどうするべき?
個人的な恨みや、面白半分でイタズラ電話をしてしまうと、思いがけず犯罪になり、逮捕されてしまうかもしれません。イタズラ電話をしたことにより、実際に逮捕されたケースもありますので、心あたりがある場合は、逮捕されないための対策をすることをおすすめします。
本コラムでは、イタズラ電話で問われる罪や実際に逮捕された事例、逮捕されてしまった場合の対応などを解説します。
1. イタズラ電話はどんな罪になる?
イタズラ電話で問われる可能性がある罪は、相手が個人なのか、企業や団体などなのかによって異なる点に注意が必要です。
(1)個人が相手の場合
個人が相手の場合は「なぜイタズラ電話をするのか?」という目的によって問われる罪が変わります。
まず、恋愛感情や恋愛感情が満たされないことに対する恨みから何度も無言電話をかけたり、拒否されたのにもかかわらず、連続してイタズラ電話をかけたりした場合、ストーカー規制法の「つきまとい等」になります。
つきまとい等には罰則はありませんが、これを反復した場合「ストーカー行為」となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
恋愛感情に起因するものを除き、特定の者に対する恨みなど悪意の感情を満たす目的でイタズラ電話を繰り返すと、都道府県が定める「迷惑防止条例」の違反です。
自治体によって適用の条件や罰則に差がありますが、東京都の場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
(2)企業や団体などが相手の場合
企業や団体などを相手にイタズラ電話を繰り返すと、刑法第233条の「偽計業務妨害罪」に問われるおそれがあります。
偽計業務妨害罪とは、だます・誘惑するといった方法で、他人の業務を妨害した場合に成立する犯罪ですが、本来の業務とは関係のない執拗(しつよう)なクレームや無言電話なども本罪の処罰対象です。
また、実際に業務が妨害された事実は問わないため、実害がなくても処罰の対象となり、偽計業務妨害罪が成立すると、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
ほかにも、危害を加える内容を告げれば刑法第222条の脅迫罪に、「今すぐ謝罪しろ」など相手の義務ではないことを強いる内容を告げれば刑法第223条の強要罪に、脅すとともに「慰謝料を払え」など金銭を要求すれば刑法第249条の恐喝罪に問われる可能性があります。
2. 実際にイタズラ電話で逮捕された事例3つを紹介
犯罪になるといわれても「たかがイタズラ電話くらいで大げさだ」と思ってしまうかもしれません。
しかし、イタズラ電話を受けている側からすると、悪質な行為に対して厳正に対処し、法律の定めに従って罰してほしいと望むのは当然です。
ここでは、実際にイタズラ電話で逮捕された事例を紹介します。
(1)全国の警察に1万回超のイタズラ電話をして逮捕
令和4年6月、警視庁本部や全国の警察署の代表電話に、半年の間で1万回を超えるイタズラ電話をかけていた男が、偽計業務妨害罪の容疑で逮捕されました。
電話口で「対応が悪い」と大声でわめいたり、無言のまま保留中の音声を再生したりするといった内容のイタズラ電話だったそうです。
(2)建築設計会社に対して何度もイタズラ電話をして逮捕
平成30年7月、建築設計会社のお客さまサービス室にあてて、約2か月の間に合計57回のイタズラ電話をかけた男が、偽計業務妨害罪の容疑で逮捕されました。
警察官や国土交通省職員の名をかたって、うその内容の電話をかけたり、無言電話を繰り返したりし、警察の調べには「イタズラ電話くらいでは業務妨害にならないと思っていた」と供述しています。
軽い気持ちでイタズラ電話を繰り返していると思いがけず大変な事態になることもあるという一例です。
(3)知人女性に対してイタズラ電話を繰り返して逮捕
令和4年10月、知人女性に対して2か月間で約90回の電話をかけた男が、迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されました。
逮捕された男は、イタズラ電話のほか、被害者女性の自宅にも押しかけるなどの行為があったようです。
3. 逮捕や刑罰を避けたい! どうすれば解決できる?
イタズラ電話を繰り返し、逮捕されてしまった場合は、逮捕から起訴・不起訴の判断までに最大で23日間にわたる身柄拘束を受けてしまいます。
さらに、起訴されて刑事裁判が開かれることになれば、裁判所が認めない限り刑事裁判が終わるまで釈放されません。
示談が成立すれば、被害届や刑事告訴が取り下げられて検察官が不起訴とする可能性が高まるため、イタズラ電話に関する容疑で逮捕されてしまった場合は、被害者との示談交渉を進めるのが最善です。
不起訴が決まると身柄を拘束する必要もなくなるので、直ちに釈放される運びとなるでしょう。
ただし、被害者との示談交渉を進めるのは簡単ではありません。すでにイタズラ電話を繰り返していることで被害者の警戒心が高まっていると考えられるため、示談の申し入れさえも相手にしてもらえない可能性があります。
被害者との示談交渉は、専門家である弁護士にすべてまかせたほうが安全です。逮捕や厳しい刑罰を避けるには素早い対応が欠かせないので、できるだけ早く弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2023年06月20日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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