SNSでの個人間融資は違法性が高い! ヤミ金トラブルに注意
個人間融資とは、個人間でお金を貸し借りすることです。近年はSNSで個人間融資をかたり、違法な貸し付けを行う事例が増えています。
この記事では、SNSでの個人間融資がどのようにトラブルを招くのかを解説します。リスクをしっかりと把握し、怪しげな融資の誘いには乗らないよう注意しましょう。
1. トラブルが相次ぐ個人間融資の違法性
インターネットが普及したことで、SNSや掲示板などを利用して、見ず知らずの相手との間でお金の貸し借りが行われるケースも増えています。しかし、このような個人間融資は、法律上の問題やトラブルのリスクが高く、非常に危険です。
(1)個人間融資とは
個人間融資とは、消費者金融やクレジットカード会社などの金融機関を通さず、個人同士でお金の貸し借りを行うことです。正規の金融機関からお金を借りられない人や、手続きが面倒だと感じる人が利用する傾向にあります。しかし、個人間融資には以下のようなデメリットがあります。
- 利息が高い
- 取り立てが厳しい
- 個人情報が流出する
- 犯罪に巻き込まれる
個人間融資は、法律に抵触していたり、ヤミ金業者が個人を装っていたりすることがあります。上記のデメリットを避けるためには、最初から関わらないことが大切です。
(2)個人間融資でのトラブルが絶えない理由
ここでは、個人間融資でトラブルが起こる主な理由を把握し、個人間融資のリスクについて理解を深めましょう。
①取り立て規制の対象にならないから
正規の金融機関は、貸金業法に基づいて営業を行っています。貸金業法では、債務者に対する取り立て行為について厳しく規制しており、例えば以下のような取り立ては禁止されています。
- 正当な理由なく21時から翌朝8時までの時間帯に電話や自宅訪問をする
- 正当な理由なく債務者以外の家族や勤務先に連絡をする
- 債務者の自宅や職場に貼り紙を貼ったり看板を立てたりして借り入れの事実などを明らかにする
- 以上のような行為をすることを告げる
これらの取り立て行為は行政処分や罰則の対象になります。しかし、貸金業法の適用外に当たる場合は、取り立て規制も適用されません。そのため個人間融資では、「貸金業法の適用外なので行政処分や罰則の対象にならない」などとして、上記のような取り立てをしてくる可能性があります。
②個人間融資は賃金業法以外の法律にも抵触している可能性が多いから
個人間融資は、貸付利率の上限を定めた出資法と利息制限法にも違反している可能性があります。
出資法では、貸金業者が年20%以上の利息を取ることを禁止しており、違反すると刑事罰に処されます。利息制限法では、同じく貸金業者に対して年15%~20%(貸付額によって異なる)の上限利率があり、これらを超えた利息は無効です。
個人間融資では、「貸金業者ではないから」という建前で、高金利での貸し付けをしているケースが多々あります。しかし、貸金業の登録をしていない個人でも、反復継続の意思を持って貸し付けをしている場合は上記の上限利率が適用されるため、高金利による貸し付けは違法です。
③ヤミ金業者や詐欺業者につながっている可能性があるから
個人間融資は、ヤミ金業者や詐欺業者につながっている可能性があります。
ヤミ金業者とは、無登録で非合法に貸し付けを行っている業者のことで、違法な高金利や脅迫的な取り立てを行う悪質な業者です。詐欺業者とは、お金を貸す名目で個人情報や預金口座を聞き出し、それらを悪用して被害者からお金をだまし取る業者です。
ヤミ金業者や詐欺業者と関わってしまうと、次のようなトラブルに見舞われ、多額の借金や個人情報流出といった被害に遭いかねません。
- 高額な手数料や保証料を要求される
- 身分証や預金通帳などの重要書類を奪われる
- 返済できない金額や期間で強引に貸し付けられる
- 返済のために仕事を強要される
- 家族やパートナーなど身内の個人情報を要求される
④警察が介入できない可能性があるから
個人間融資でトラブルに巻き込まれた場合、警察に相談しようと思う人もいるかもしれません。しかし、警察には「民事不介入の原則」があり、相談したところで対応してもらえない可能性もあります。
民事不介入の原則とは、民事上のトラブルにあたって、当事者どちらかの権利や主張に助力できないというものです。お金の貸し借りは当事者同士の問題であり、警察が裁定を下すことができません。双方の話し合いで解決するか、民事訴訟で裁判所に判断してもらう必要があります。
ただし、脅迫や暴行、威力業務妨害などは刑事罰の対象なので、こうした行為を貸主から受けた場合は、警察に相談しましょう。
2. SNSでの個人間融資トラブルが増えている
個人間融資は、インターネットを通じて相手を探すことが多くなっています。特に、SNSや掲示板などを利用して、個人間融資の募集や応募を行うケースが増えています。しかし、このようなSNSでの個人間融資は、相手の素性がわからず、非常に危険です。
SNSで見られる相手のプロフィールや口コミなどは、簡単に偽装できます。また、相手と直接会わずにメッセージや電話でやり取りすることが多く、相手の信用度や信頼性を判断することも満足にできません。そのため、SNSでの個人間融資では、相手が本当に個人なのか、ヤミ金業者や詐欺業者なのかを見分けることが困難です。
(1)個人間融資が行われているSNS
個人間融資の場とされやすいSNSの例としては、以下のものが挙げられます。
- X(旧Twitter)
- LINE
- Telegram
- その他インターネット掲示板
いずれも日常的に使われるSNSで、身近なところに個人間融資のリスクが潜んでいることがわかります。
(2)SNSでの個人間融資を利用しないようにしよう
トラブルに巻き込まれないためには、SNSでの個人間融資を利用しないことが大切です。お金に困ったときは、正規の金融機関から借りることを検討しましょう。また、家族や友人など身近な人に相談することも大切です。場合によっては、生活保護や生活福祉資金貸付制度の利用、借金があるのであれば、債務整理を検討する必要もあります。
3. 個人間融資でトラブルに巻き込まれたら
個人間融資でトラブルに巻き込まれた場合、自分で解決しようとせずに、弁護士や司法書士などの専門家に相談することが重要です。弁護士や司法書士に相談すれば、適切なアドバイスや対処法を提供してくれます。弁護士や司法書士は守秘義務がありますので、相談内容が外部に漏れることもありません。
弁護士に相談するメリットには、以下のようなものがあります。
- 個人間融資の契約内容や利息が適正かどうかを判断してくれる
- 個人間融資の貸主との交渉を依頼できる
- 個人間融資の貸主がヤミ金業者や詐欺業者である場合、警察や消費者センターなどに連絡してくれる
- 個人間融資の貸主が違法な取り立てや嫌がらせを行ってきた場合、損害賠償請求や差止請求などの訴訟を起こしてくれる
- 個人間融資の返済に困っている場合、任意整理や自己破産などの債務整理を手続きしてくれる
個人間融資でトラブルに巻き込まれた場合は、早めに弁護士や司法書士に相談することが大切です。相談することで、トラブルの解決に向けて一歩前進できます。
- こちらに掲載されている情報は、2023年10月16日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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