危険ドラッグで逮捕されたら|刑罰や逮捕後の流れを解説
身体に害をおよぼす危険性がある薬物は、アロマオイルやお香のような一見無害な形で身近に存在します。
本コラムでは「危険ドラッグ」と呼ばれる薬物の概要と、そのような薬物の使用などで逮捕された後の流れ、弁護士へ依頼した場合に行われる弁護活動を解説します。
1. 危険ドラッグとは
そもそも所持や使用が禁じられる危険ドラッグとはどのようなものか、定義と分類を確認した上で、罪に問われるケースと刑罰の重さについて解説します。
(1)危険ドラッグの定義と分類
危険ドラッグは、もともと脱法ドラッグや合法ハーブと呼ばれていました。しかし、こうした名称では薬物の危険性が十分に認識されないため、平成26年7月に国が新名称を公募して「危険ドラッグ」に変更された経緯があります。
危険ドラッグに法律上の厳格な定義はありません。ただ、警察や保健医療局の説明に共通するのは、「大麻や覚醒剤に類似した成分が含まれている」「体内に摂り入れると有害である」というポイントです。すなわち、麻薬などに似た有害成分が含まれる薬物を危険ドラッグと呼びます。
(参考:「危険ドラッグとは」(大阪府警察))
(参考:「危険ドラッグってなに?」(東京都保健医療局))
実際に販売されている製品の形態はさまざまで、アロマやリキッド、お香、たばこ、バスソルトなどが挙げられます。
成分に基づく分類としては、カチノン系やトリプタミン系、ピペラジン系のほか、合成カンナビノイド系、フェンタニル系、フェネチルアミン系などがあります。また、令和4年度には、テトラヒドロカンナビフォロールやヘキサヒドロカンナビノールなど、6種類の物質が新たな指定薬物となりました。
(参考:「危険ドラッグの成分6物質を新たに指定薬物に指定」(厚生労働省))
(2)罪に問われるケースと刑罰
危険ドラッグとの関わり方で罪に問われるのは、主に「所持」と「使用」のケースです。以下、刑罰と共に解説します。
①所持・使用
所持とは、その薬物を取り扱う正当な資格のない者がみだりに持っていることです。実際に身につけている必要はなく、自宅に置いているケースでも所持として扱われることがあります。
使用とは、その薬物を取り扱う正当な資格のない者が使うことです。服用のほか、注射や吸引なども使用にあたります。
②刑罰
危険ドラッグは覚醒剤や大麻とは別の薬物であり、覚せい剤取締法や大麻取締法に基づいて刑罰を科されるわけではありません。刑罰の根拠となるのは、医療品医薬機器等法への違反です。この法律では、危険ドラッグの輸入や所持、譲り受け、使用などを規制し、以下の罰則を定めています。
「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」
(出典元:「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第八十四条」(e-Gov法令検索))
なお、ここでいう併科とは、懲役と罰金を同時に科されることです。このほか、各自治体が定める薬物濫用防止条例に違反したとして、刑罰が科される可能性もあります。
2. 逮捕後の流れ
危険ドラッグの使用などによって逮捕された後は、通常4つの流れを経ることとなります。
(1)逮捕
警察官などに捕まると取り調べられ、48時間以内に送致前釈放と検察官送致のいずれかが行われます。
(2)送致
警察による取り調べの結果、罪を犯しているとの疑いがある場合には、事件が検察官へ送られます。これが検察官送致です。身柄拘束を伴う身柄送検と、書類・証拠のみを送る書類送検とに分かれます。身柄を拘束する場合、検察は原則として24時間以内に起訴・不起訴・釈放のいずれかを決めなければなりません。
(3)勾留または勾留延長
検察が24時間以内に起訴すべきかどうかを判断できず、もう少し取り調べたいと考えた場合は、裁判官に対して勾留請求を行います。勾留とは、逮捕に続く身柄拘束です。原則10日間までで、1度だけ延長が可能であるため、最長で20日間となります。
(4)起訴
取り調べの結果、裁判で事実を明らかにしたほうがよいと検察が判断すれば、起訴されます。裁判には1か月半以上かかると見ておかなければなりません。
3. 危険ドラッグなど薬物の所持・使用における弁護活動
危険ドラッグの所持や使用により逮捕された、もしくは逮捕されそうな場合、弁護士に頼めば弁護活動をしてもらえます。ただ、窃盗や傷害などの被害者がいる刑事事件と異なり、被害者がいない薬物事件では、示談は行えません。そこで、弁護士は以下の活動を行います。
(1)取り調べのためのアドバイス
取り調べにおいて、警察官や検察官への受け答えに対する心構えや、不用意な発言をしないための注意点などをアドバイスしてもらえます。
(2)不起訴や早期釈放に向けた活動
たとえば「危険ドラッグの使用にまでは至っていなかった」「逃亡や証拠隠滅のおそれがないので身柄拘束までは不必要である」などの弁護を行い、不起訴処分や早期釈放を目指します。
(3)起訴後、執行猶予を得るための活動
薬物事件では再犯のおそれの有無が、執行猶予を得られるかどうかに大きく関わります。「危険ドラッグを販売してきた人間との関わりを絶つ」「家族に協力してもらい適切な治療を受ける」などの取り組みを裁判官に示し、執行猶予付きの判決を目指します。
(4)冤罪(えんざい)であれば無罪になるようサポート
知り合いから身代わりにされたなど、冤罪のケースもあります。こうした場合、薬物の所持も使用もしていなかった事実を証拠と共に提示するなど、無罪を勝ち取るべく対応します。
危険ドラッグは、覚醒剤や大麻などと同じように有害な薬物です。そうした薬物の使用などで逮捕されそうな場合には、弁護士への相談をおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2024年02月15日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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