大麻所持の罪|起訴の可能性は? 大麻取締法違反の罰則を解説
昨今では、薬物犯罪は身近なものになりつつあります。このコラムを読んでいる方の中にも、自分や知人が薬物犯罪に関係している人がいるかもしれません。
本コラムでは、大麻の所持や栽培などを取り締まる大麻取締法の概要をはじめ、逮捕や起訴・不起訴に至るケースなどについて解説します。
1. 大麻取締法とは
日本では、「大麻取締法」という法律によって、大麻の所持や栽培などについて厳しく規制されています。しかし、そもそもここでいう「大麻」とはどのような植物を指しているのでしょうか。また、違反した場合にはどのような罰則を受けるのでしょうか。
(1)大麻の種類と禁止されている行為
大麻取締法で規制されている「大麻」とは基本的に、カンナビスやサティバ、エルといった「大麻草」や、それを使用した製品を指します。なお、マリファナは大麻の別名です。
これらの大麻草については、都道府県知事から特別な許可を受けた免許取得者(大麻取扱者)でなければ、栽培や所持、譲受・譲渡(売買)、研究利用をしてはいけません。同様に、輸出入についても厳しく制限されています。
ちなみに、大麻を取り扱う免許は、大麻を含む違法薬物の中毒者や禁錮以上の刑を受けた前科者などは取得できません。免許取得者についても違法行為を行った場合は免許を取り消されることがあります。
(参考:「大麻取締法」第1条~5条(e-Gov法令検索))
(2)大麻は所持しているだけでも刑罰を受ける
大麻は所持しているだけでも刑罰の対象です。大麻所持に対する罰則の重さは、所持している目的によって異なります。具体的には、大麻を個人使用目的で所持しているのであれば、罰則は5年以下の懲役です。
他方で、営利目的で所持しているのであれば、さらに重い罪に問われ、最高で7年以下の懲役が科されます。なお、営利目的の場合、200万円以下の罰金も科される可能性があります。
なお、大麻を譲受・譲渡した場合は、所持と同じく営利目的であれば7年以下、そうでなければ5年以下の懲役刑です。また、栽培や輸出入に関しては、個人使用目的であれば7年以下の懲役、営利目的であれば10年以下の懲役が科されます。所持と同じく、営利目的の場合は罰金刑(300万円以下)が適用されることもあります。
(出典:「大麻取締法」第24条(e-Gov法令検索))
2. 大麻所持で逮捕される?
大麻の所持は違法行為であり、発覚した場合は原則として逮捕されるリスクが高いです。これは職務質問や家宅捜索で大麻が見つかった場合などによく見られます。
(1)逮捕されないケース
ただし、事実としては大麻を所持していた場合でも、必ずしも逮捕されるわけではありません。たとえば、証拠隠滅のおそれがないと警察が判断したり、尿検査で陽性反応が出ても実際に大麻が見つからなかったりした場合などです。
しかし、これらはあくまでまれなケースであり、一般的なケースではないことは留意しておかなければなりません。というのも、薬物犯罪とは元来、証拠隠滅や関係者間の口裏合わせなどを行いやすい犯罪であり、警察はそのリスクを重々承知しているからです。そのため、大麻の所持が発覚した場合、逮捕のリスクは高いと言わざるを得ません。
(2)大麻取締法には大麻使用に対する罰則規定がない
「大麻の陽性反応が出ても大麻が見つからなければ逮捕されない可能性がある」と上記で述べましたが、これは大麻取締法では基本的に「大麻の使用」に対する罰則がないことが関係しています。これは尿検査の陽性反応は、大麻(違法薬物)でなくても出てしまうこともあり、「陽性反応=大麻の不正利用」とは断定しがたいことが理由のひとつです。
ただし、大麻取扱者が目的外の使用をした場合や、一般人が研究利用した場合は罰則の対象になります。それに、大麻の使用をするには、当然ながら所持が前提になるので、現実的には逮捕のリスクから完全に逃れられるわけではありません。
3. 大麻所持で逮捕された後の流れ
日本の法律では、逮捕後の流れは一定の手順に沿って進められます。これは大麻所持の場合も同様です。ここではその大まかな流れと、どのような状況で起訴・不起訴や実刑・執行猶予となるのかの基準などについて解説します。
(1)逮捕後の流れ
警察に逮捕されると、最大23日間、起訴の可否を決めるための勾留がされます。勾留とは警察署やそれに類する施設で拘束されることです。この勾留期間中に検察官が、証拠が十分にあるかどうか考慮して、起訴・不起訴を決定します。
ここで検察に起訴されると、1か月ほどで刑事裁判に移行します。ここで有罪が確定すると、大麻取締法に基づいた刑罰を科されます。
(2)執行猶予になるケースと実刑になるケース
裁判で有罪判決を受けたとしても、必ずしも実刑が科されるとは限りません。たとえば初犯の場合、個人使用目的だったと判断された場合などは、執行猶予になる可能性が高くなります。これは、刑務所に行くことなく、罪を犯さないで一定期間を過ごすことで刑が免除されることを意味します。
他方で、営利目的の所持など悪質性が高いと判断された場合は、初犯でも実刑判決が下される可能性が高くなります。また、再犯者に対しても、裁判所は一般的に重い刑罰を科す傾向があります。さらに、大麻の所持量や流通への関与度、更生の意思の有無なども刑罰の重さに影響を与えます。
もしも大麻所持による逮捕を回避したい、または起訴された後の実刑を避けたい場合は、早急に弁護士へ相談することが重要です。弁護士は法律の専門家として、あなたの状況を分析し、最善の対策を提案できます。保釈請求なども弁護士の助力を得れば通りやすくなります。薬物犯罪に関わってしまった場合は、一刻も早く弁護士に相談しましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2024年02月27日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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