住宅ローンを払えない! 家を手放さずに解決する方法はある?

住宅ローンを払えない! 家を手放さずに解決する方法はある?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

住宅ローンが支払えない場合、最終的には抵当権を実行され、自宅を失ってしまうことになります。自宅を手放すにしても手元に残すにしても、住宅ローンの支払いが困難になった場合には、早めに対策を打っておくことが大切です。

本コラムでは、住宅ローンが払えない場合に発生する事態や、支払い困難な状態を解決し自宅を維持するための方法などを解説します。

1. 住宅ローンを支払えないとどうなる?

住宅ローンを期限どおり支払えないと、遅延損害金が発生し、一括返済を請求された後、最終的には抵当権実行により自宅を失ってしまいます。

(1)遅延損害金が発生する

住宅ローンの支払いが遅延した状態を、法的には「債務不履行」と言います。債務不履行を起こした債務者は、本来の債務の履行に加え、債権者である金融機関(または保証会社)に対して損害を賠償しなければなりません。

借金を返済する債務の不履行に係る損害賠償金を「遅延損害金」と言います。遅延損害金の額は、債務不履行となった金額(元本+利息)に、ローン契約で定められた利率をかけて計算されます。

住宅ローンの場合、遅延損害金の利率は14%または14.6%に設定されていることが多く、一般的な住宅ローン金利よりもかなり高率なので要注意です。

(2)一括返済を請求される

2か月または3か月程度にわたって住宅ローンの支払いを滞納すると、債務者は「期限の利益」を失います。

債務者にとっての「期限の利益」とは、住宅ローンを支払期日まで借りておける権利です。したがって、期限の利益を失うということは、住宅ローンの残債を一括返済しなければならないことを意味します。

数千万円に及ぶ住宅ローンの残債を一括返済する場合、必然的に自宅を手放さざるを得ません。

なお、期限の利益喪失後、住宅ローンの一括払いができないでいると、住宅ローンの保証会社が代わりに返済する「代位弁済」が行われます。これによって、住宅ローンの債権者は金融機関から保証会社へと変わることになります。

(3)信用情報機関への事故情報の記載(ブラックリスト)

住宅ローンを3か月以上滞納すると、金融機関から信用情報機関に「事故情報」の報告がなされ共有されます。いわゆる「ブラックリストに載る」という状態です。

ブラックリストに載ると、新たにローンを組めなくなるのはもちろん、新規の借り入れができなくなる、クレジットカードを利用できなくなるなどの不利益があります。

(4)抵当権が実行され、自宅を失ってしまう

住宅ローンの一括返済請求を受け、残債を一括で支払えない場合には、債権者によって自宅の土地・建物に設定された抵当権が実行されます。抵当権が実行されると、裁判所の手続きに従って、自宅が競売にかけられてしまいます。

競売の申し立てがなされると、裁判所から「競売開始決定通知書」という書面が届きます。そして、裁判所の執行官などが自宅を訪れ、現況調査を行い、競売手続きが進んでいきます。

競売によって自宅不動産が落札されると、自宅の所有権は落札者に移転します。債務者は、自宅に居住する権利を失い、直ちに自宅を立ち退かなければなりません。そのまま引き続き自宅にとどまっていると、落札者から強制執行の申し立てがなされて、強制的に立ち退きが命じられる可能性もあります。

競売では、自分で不動産を売却するよりも低い値付けが行われるケースが多いです。そのため、住宅ローンの残債を返すと手元にほとんど残らないばかりでなく、完済できないおそれもあります。

2. 住宅ローンが払えない場合の解決方法

住宅ローンを期限どおりに支払うのが難しくなった場合、状況を改善するには以下の方法が考えられます。

(1)住宅ローンの借り換えを行う

最近は住宅ローンの低金利化が著しいため、借り換えを行うことによって金利負担を抑えられる可能性があります。月々の返済額を数万円単位で圧縮できることもあるので、低金利を設定している金融機関に相談してみましょう。

ただし、借り換えを行った時点で数十万円程度の手数料が発生するほか、すでに債務不履行を起こしている場合には、借り換えができない可能性が高い点に注意が必要です。

(2)任意整理・個人再生の制度を利用する

借金の返済負担を減らすため、債務整理を行うことが考えられます。

債務整理とは、債権者との交渉や裁判所の手続きにより、債務のカットや返済スケジュールの変更を認めてもらうことを意味します。

債務整理の究極は、債務者の財産を処分することと引き換えにすべての債務を免責してもらう「自己破産」です。

自己破産を選ぶと、自宅は処分しなければなりません。

しかし、自己破産以外に、主に以下の2つの手続きがあります。これらを利用することにより、自宅を手放すことなく返済を続けられる可能性があります。

①任意整理

裁判所を使わず、当事者間の話し合いで返済方法を取り決める方法です。

弁護士等の専門家に交渉してもらうことで、債権者との間で返済条件を合意し直し、将来利息や遅延損害金をカットして返済を続けます。返済期間は3年~5年程度に設定されます。

②個人再生

個人再生とは、民事再生法に基づき、裁判所の関与の下、住宅ローン以外の債権者に対する借金額を大幅に減額して、3年から5年の期間内に分割払いで返済をしていく手続きをいいます。

原則としてすべての債権者との間で、債務のカットや返済スケジュールの変更を取り決めます。

住宅は、債務者にとって生活の基盤となるものですので、それを失うことは債務者の経済的再生を困難にしてしまいます。そのため、個人再生の手続きでは、「住宅資金特別条項」を利用することによって、住宅を維持したまま借金の減額を図ることが認められています。

ただし、住宅資金特別条項を利用したとしても、住宅ローンは減額の対象にはなりませんので引き続き返済を続けていかなければなりません。そのため、個人再生の手続きを利用するには、毎月安定した収入があることが必要になります。

3. 自宅を手放さなければならないなら「任意売却」をめざす

住宅ローンを返済するために自宅を手放さざるを得ないとしても、抵当権実行に基づく競売にかけるのは、前述のとおり、価格面で不利になる可能性が高いです。

そのため、不動産会社と協力して、自分自身で売却先を探して「任意売却」を行うのがよいでしょう。債権者には住宅ローンの返済を待ってもらい、その間に売却先を探して、好条件で任意売却することをめざします。

ただし、債権者が任意売却に同意しない場合は、売却完了を待たずに抵当権が実行されてしまう可能性があります。

4. 住宅ローンの支払いに困ったら弁護士に相談を

住宅ローンの支払いが難しくなってしまった場合は、弁護士に相談すると解決策が見つかる可能性があります。

弁護士は、債務整理など、住宅ローンの返済問題を解決するための方法を、あらゆる角度から提案してくれます。実際の手続きについても、弁護士に一任できるので安心です。

住宅ローン返済にお悩みの方は、一度弁護士へ相談してみましょう。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2024年10月09日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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