「老後破産」とは? 原因と対策、生活が苦しい場合の相談先を解説
定年後の年金生活で生活資金が足りず「老後破産」に陥る方は少なくありません。
本コラムでは老後の暮らしに不安を抱く方へ向けて、老後破産の概要と主な原因について解説します。さらに老後破産を防ぐための対策と今の生活が苦しい場合に知っておくべき相談先について紹介します。
1. 老後破産の主な原因は?
まずは老後破産の概要と老後破産に陥る主な原因について解説します。
(1)老後破産とは
老後破産とは、定年後の生活資金が不足し、経済的に困窮している状態を指します。「破産」という言葉が使われていますが、実際に自己破産するかは別として、あくまでも高齢者の貧困を表す言葉であり、高齢化が進む日本において老後破産は大きな社会問題となっています。
(2)老後破産に陥る主な原因
老後破産が起こる主な原因として、以下の5つが挙げられます。
①老後資金が足りない
老後の生活を支える資金は主に公的年金と退職金を含む貯蓄です。しかし、老後生活に不安があるものの十分な貯蓄ができないまま定年を迎えてしまう方も少なくありません。特に自営業やフリーランスの場合、会社員と異なり退職金がなく、老後に受け取れる公的年金も老齢基礎年金のみのため、貯蓄が少ないと老後の資金が足りなくなる可能性があります。
②収入と支出が合っていない
一般的に定年後は現役で働いていたときよりも収入が減ります。しかし、老後も、収入があった現役の頃と同じ生活水準をキープし続けると、毎月の支出が多くなり、老後破産の引き金になるケースがあります。
③住宅ローンが残っている
定年後も住宅ローンが残っていると、公的年金や貯蓄でローンを返済し続けなければならないため、経済的負担がかかります。賃貸の場合も、家賃や管理費などを生活費とは別に用意しておかなければ、毎月の生活費を削ることになり老後破産に陥りやすくなります。
④子どもへの出費が多い
晩婚化に伴い、定年後でも子どもが高校生や大学生で教育費がかかる家庭は少なくありません。また、近年では中高年の引きこもりも増えており、自立しない子どもが家庭にいる場合、子どもへの費用がかかることで老後破産につながるケースもあります。
⑤医療費や介護費用がかかる
年を重ねれば重ねるほど病気やけがのリスクが増えるため、医療費が大きな負担になることもあります。また、自分やパートナーに介護が必要となった場合、介護費や家のリフォーム代などの支出が家計を大きく圧迫する可能性があります。
2. 老後破産を防ぐための対策
では、老後を見越して今からできることはあるのでしょうか。ここでは支出面、収入(貯蓄)面に分けて老後破産を防ぐための対策について解説します。
(1)支出面
はじめに、将来に向けてまとまったお金が必要な場面を洗い出しましょう。たとえば、親の介護や子どもへの支援など、いつ、どれくらいのお金が必要になるかを予想し、可能な限り貯蓄しておくことで対応できます。また、お金が必要なときに利用できる制度がないか確認することも大切です。たとえば、高額療養費制度や、各自治体、各学校などが行っている教育費負担に関する支援制度を利用することで、医療費や教育費の出費を抑えられる可能性があります。
(2)収入(貯蓄)面
老後破産を防ぐためには収入面での対策も欠かせません。まずは、できるだけ早いうちから資産形成を検討しましょう。たとえば、給与や賞与の一定額を必ず貯蓄に回したり、リスクを把握した上で株式投資や投資信託などを行ったりして、老後の蓄えをしておくことが大切です。
また、定年後も健康であれば働き続けることを検討しましょう。現役よりも得られる収入は低いかもしれませんが、それでも毎月安定した収入があることは重要です。しかも仕事を継続することで、体力づくりや認知症などの病気予防になるため、老後の健康維持にも役立ちます。
3. 現在生活が苦しい場合は外部に相談を
老後の生活が苦しい方はもちろん、定年前の今の生活が困窮している場合には、お住まいの自治体に相談してみましょう。また、将来のお金について相談したい場合には、ファイナンシャルプランナーがおすすめです。専門家目線から住宅ローンや保険料の見直しなどができ、老後資金についてのアドバイスももらえます。
さらに、現在借金を抱え、生活が苦しい状況であれば、弁護士に相談してみましょう。弁護士に相談することで、任意整理や個人再生、自己破産といった「債務整理」によって、借金の利息をカットしたり、元金を減らしたりするなどして、借金の負担を減らせる可能性があります。
ただし、負債額や困窮状況は人によって異なります。個人に合った債務整理をするためにも経験豊富な弁護士に依頼しましょう。弁護士に依頼することで手続きの代行などもしてもらえ、経済的な立ち直りができるでしょう。
老後破産は決してひとごとではなく、自分も近い将来そうなるかもしれないと考え、早くから対策を講じることが大切です。そしてすでに生活が苦しい場合には、ファイナンシャルプランナーや弁護士などの専門家に相談してみましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2024年01月09日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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