子どもの養育費、相場はいくら? 計算方法と取り決め方
子どもの生活費・教育費などを含めた養育費の金額相場は、父母双方の収入バランスや、子どもの人数・年齢によって決まります。
今回は養育費の金額相場の計算方法や、養育費の取り決め方などを解説します。
1. 養育費の相場を計算する方法
養育費の金額相場を計算するには、養育費計算ツール・養育費算定表・標準算定方式などを用います。
(1)養育費計算ツールを用いる
法律事務所のウェブサイトや弁護士ポータルサイトなどでは、養育費の計算ツールが掲載されている場合があります。義務者(支払う側)・権利者(受け取る側)の年収、給与所得・事業所得の別、子どもの人数・年齢を入力すると、自動的に養育費の金額が出力される仕組みです。
簡易的に養育費の金額相場を知りたい場合には、養育費計算ツールを活用するのが便利でしょう。ただし、どのような方法で養育費の金額を計算しているのか一見して明らかではないため、参考程度にとどめるのが賢明です。
(2)養育費算定表を用いる
裁判所が公表している養育費算定表を用いれば、養育費の金額相場を大まかに把握できます。
(参考:「養育費・婚姻費用算定表」(裁判所))
まず、子どもの人数と年齢に応じた表を選択します。表の縦軸は義務者の年収、横軸は権利者の年収です(給与・自営が区別されている点にご注意ください)。実際の義務者・権利者の年収が交差するポイントの金額が、養育費の相場となります。
ただし、養育費算定表を用いる方法では、養育費相場の厳密な金額を知ることはできません。また、年収が一定水準(給与:2000万円、自営:1567万円)を超える場合や、子どもが4人以上いる場合には、養育費算定表を用いた計算はできない点にご注意ください。
(3)標準算定方式を用いる
実証的研究に基づいた「標準算定方式」を用いると、養育費の金額を詳細に計算できます。
標準算定方式に基づく養育費は、以下の式によって計算します。
養育費=子の生活費×義務者の基礎収入÷(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)
基礎収入=義務者の総収入×基礎収入割合
子の生活費=義務者の基礎収入×子の生活費指数合計÷(100+子の生活費指数合計)
①給与所得者の基礎収入割合
0~75万円 | 54% |
~100万円 | 50% |
~125万円 | 46% |
~175万円 | 44% |
~275万円 | 43% |
~525万円 | 42% |
~725万円 | 41% |
~1325万円 | 40% |
~1475万円 | 38% |
②自営業者の基礎収入割合
0~66万円 | 61% |
~82万円 | 60% |
~98万円 | 59% |
~256万円 | 58% |
~349万円 | 57% |
~392万円 | 56% |
~496万円 | 55% |
~563万円 | 54% |
~784万円 | 53% |
~942万円 | 52% |
~1046万円 | 51% |
~1179万円 | 50% |
~1482万円 | 49% |
~1567万円 | 48% |
③子の生活費指数
- 14歳以下:1人当たり62
- 15歳以上:1人当たり85
(例)
- 義務者の年収:500万円(給与)
- 権利者の年収:200万円(給与)
- 子ども1人(13歳)
義務者の基礎収入
=500万円×42%
=210万円
権利者の基礎収入
=200万円×44%
=88万円
子の生活費
=500万円×42%×62/162
=80万3704円
養育費
=80万3704円×210万円/298万円
=56万6368円(年額)
→月額養育費は4万7197円
2. 養育費を取り決める手続き
養育費の金額は、まず父母間の協議により合意を試み、不成立に終われば調停・審判・訴訟によって決定します。
(1)父母間で合意する
公正証書を作成すべき
父母間で話し合い、納得の上で養育費の金額を合意できるのであれば、それがもっともスムーズかつシンプルな方法です。
養育費に関する合意内容は、公正証書にまとめて締結しておきましょう。合意内容が明確になることに加えて、公正証書に強制執行認諾文言を記載しておけば、万が一不払いが発生した際は直ちに強制執行を申し立てることができます。
(2)調停・審判・訴訟
養育費についての協議による合意が成立しなければ、法的手続きを利用しましょう。
これから離婚するに当たって養育費を取り決める場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて、不成立に終わった場合は離婚訴訟を提起します。
(参考:「夫婦関係調整調停(離婚)」(裁判所))
これに対して、すでに離婚していて養育費のみを取り決める場合は、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てます。調停が不成立に終わった場合は、家庭裁判所が審判によって養育費の金額等を決定します。
(参考:「養育費請求調停」(裁判所))
このように、離婚の前後によって手続きが異なる点にご注意ください。
3. 養育費の交渉などは弁護士にご相談を
適正な水準によって養育費を取り決めるには、弁護士へのご相談をおすすめいたします。
弁護士に相談すれば、法的な観点から適正な養育費の金額を計算した上で、相手方との協議を代行してもらえます。調停・審判・訴訟の手続きについても、弁護士に一任すれば大幅に労力が軽減されるでしょう。
配偶者との離婚をご検討中の方、離婚した元配偶者との間で養育費を取り決めたい方は、弁護士にご相談ください。
- こちらに掲載されている情報は、2023年01月31日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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