面会交流が多すぎる! 面会の頻度を減らす方法
離婚や別居によって離れて暮らす親子が定期的に会う面会交流は、親と子どもの双方に与えられた権利です。しかし、子どもに悪影響がある場合や、生活環境の変化などによって、面会交流を拒否したり頻度を変更したりすることは可能です。
本コラムでは、変更が認められる条件や、具体的な法的手続きなどについて詳しく解説します。
1. 面会交流が多すぎる! 減らすことは可能?
面会交流とは、離婚や別居などの事情で離れて暮らす親子が会う機会を設けることを指します。子どもがいる夫婦が離婚や別居をする際は、離れて暮らす親が面会交流を行う頻度や場所、時間など細かいルールを決めておくのが一般的です。
面会交流は原則として親の勝手な事情で拒否できません。親権を持つ親が「面会交流が多すぎる」と思っていても、相手と子どもが望んでいる限り、断ることは不可能です。もし正当な理由なく面会を拒否した場合、相手から損害賠償を請求されたり、親権者・監護権者の変更を申し立てられたりするおそれがあります。
しかし、親の再婚や子どもの成長など、面会交流のルールを決めた時点から事情が変わった場合は、頻度を減らせる場合もあります。以下に詳しく解説します。
(1)子どもにとって面会交流が負担になる場合
面会交流が子どもにとってマイナスになる場合は、拒否することが可能です。たとえば、以下の場合などが該当します。
- 子どもに虐待を行う
- 金銭を要求する
- ギャンブルや飲酒など望ましくない経験をさせる
- 相手が薬物依存などのトラブルを抱えている
- 子どもを連れ去るおそれがある
また、子ども自身が面会交流を望んでいない場合や、面会することによって子どもの精神状態が不安定になる場合なども、面会を断ることが可能です。
(2)子どもの生活環境が変化した場合
子どもが習い事や受験などで多忙になったり、遠方に引っ越して頻繁な行き来が困難になったりした場合も、面会交流拒否の理由として認められます。子どもは成長するにしたがって、親より友人との時間を優先するようになります。子どもの年齢に応じて面会交流の頻度も柔軟に変更することが望ましいです。
(3)親のどちらかが再婚した場合
両親のどちらかが再婚しただけでは面会拒否の理由として認められません。しかし、再婚後も前の親と会いつづけることで新しい家庭になじみづらくなるなどの支障が出る場合は、面会の是非を検討する必要があります。
また、相手側が再婚して子どもが生まれた場合なども、面会を続けることで双方の家庭にとって良い影響を与えない可能性があります。それぞれのケースに対して臨機応変に面会頻度の変更を検討しなければなりません。
2. 面会交流を減らす方法
面会交流を減らすための手続きとして、主に「話し合い」「面会交流調停」「面会交流審判」の3段階があります。以下に詳しく紹介します。
(1)話し合い
まずは当事者同士で面会交流のルール変更について話し合いを行います。子どもがある程度成長していれば、同席させて意見を聞く方法も有効です。双方の合意が得られたら、口約束だけで終わらせるのではなく、公正証書など正式な書面に残しておくことで後々のトラブルを回避できます。
(2)面会交流調停
話し合いで合意に至らなかった場合に取るべき手段が、面会交流調停です。家庭裁判所に申し立てることで実施されます。男女2名の調査委員による仲介で協議が進められ、合意が得られれば当事者双方に調停調書が交付されて調停が成立します。
(3)面会交流審判
面会交流調停が不成立となった場合は、自動的に面会交流審判へと進みます。調査官が作成した調査報告書や双方の主張、証拠などを裁判官が考慮した上で判断します。もし審判に不服の場合は、即時抗告によって不服申し立てを行うことが可能です。
3. 面会交流を拒否する方法
面会交流の回数を減らすのではなく拒否したい場合は、以下の手続きを踏む必要があります。
(1)面会拒否を申し入れる
まずは相手側に面会交流を拒否したい旨を伝え、当事者同士で話し合います。一般的に面会交流の拒否は相手から強い反発を招くため、理由を丁寧に説明しなければなりません。
(2)面会拒否の調停を申し立てる
話し合いで合意に至らなかった場合は面会交流調停を申し立て、拒否の意思を示します。ここでも話がまとまらなければ、面会交流審判に進みます。
4. 調停離婚で取り決めた面会交流は条件変更できる?
通常、面会交流にまつわる条件は離婚調停の際に作成される調停証書に記載します。そのため、後から変更できないと考えている方は多いでしょう。しかし、先述したように環境の変化や子どもの成長などによって、面会頻度や場所などの条件を変更することは可能です。条件変更の交渉は、まずは協議によって行われます。協議には以下の2種類があります。
(1)当事者間の協議
当事者同士が冷静に話し合える関係であれば、直接協議を行ってもよいでしょう。ただし、自身の主張ばかりを押し付けると相手も感情的になってしまい、話し合いが決裂してしまうかもしれません。相手の希望も聞きながら、子どもにとって望ましい条件を定めましょう。
(2)代理人を通じた協議
当事者同士の関係が良好でない場合や、当事者同士の協議が決裂した場合は、弁護士などの代理人を通じて協議する必要があります。第三者が間に入ることで冷静に話し合いを進められるため、合意に至る可能性が高くなります。
5. 離婚に関するトラブルは弁護士へ相談しよう
面会交流など離婚にまつわるトラブルは、弁護士に相談するとスムーズに解決するかもしれません。ここからは弁護士に相談するメリットを紹介します。
(1)相手方との交渉を任せられる
面会交流について取り決めを行う場合は、相手方との交渉が必要です。しかし、離婚した相手と顔を合わせることを苦痛に感じる人も少なくありません。また、当事者同士だと互いに感情的になってしまう可能性もあります。弁護士に依頼することで当事者に代わって交渉を進めてくれるため、直接会うことなく合意に至ることが可能です。
(2)調停・審判のサポートをしてくれる
協議の決裂によって調停や審判に進む場合、法的手続きに不慣れな方は不安を感じることもあるでしょう。弁護士に依頼すれば、調停や審判の申し立てなどの面倒な手続きを任せられます。また、調停や審判の場にも同行してくれるため、初めての人は特に心強いでしょう。条件面でも有利になるよう、法的なサポートも得られます。
(3)適切な面会交流条件を定めることができる
弁護士は法的な根拠に基づいて交渉を行うため、不利な条件を相手から押し付けられる事態を防げます。子どもをめぐる現在の生活状況を考慮しながら、将来を見据えた適切な面会交流条件を定められます。
離婚や別居による、子どもとの面会交流の頻度は、条件によって変更が可能です。交渉や手続きについて第三者を通じて行いたい場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。
- こちらに掲載されている情報は、2024年02月02日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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