養育費を減額するには? 減額が認められるケースと方法を解説

養育費を減額するには? 減額が認められるケースと方法を解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

離婚時に取り決めた養育費の金額は、その後の事情変更を理由に減額が認められることがあります。養育費の減額を請求したい方は、弁護士に依頼してサポートを受けましょう。

1. 養育費を減額できるケース・できないケース

養育費は、元配偶者との合意や調停・審判・判決によって定められた期限まで、支払いを続けなければなりません。取り決めの内容によっては、子どもが成人して以降も養育費の支払いが続くケースもあります。

養育費の支払いが大変な方は、養育費の減額を請求できるかどうか検討しましょう。

たとえば以下のケースでは、養育費の減額が認められる可能性があります。

【養育費の減額が認められるケースの例】

  1. 義務者(支払う側)の収入が減少した
    ※解雇された場合や、やむを得ない正当な理由により退職した場合など。純粋な自己都合により退職した場合は認められにくい。
  2. 権利者(受け取る側)の収入が増加した
  3. 義務者が再婚し、再婚相手の連れ子と養子縁組をした
  4. 権利者が再婚し、再婚相手が子どもと養子縁組をした

など

これに対して、以下のケースでは養育費の減額が認められません。養育費の減額が認められるのは、あくまでも取り決めたときから事情変更が生じた場合のみです。

【養育費の減額が認められないケースの例】

  1. 借金の返済に充てたいため減額したい
  2. 面会交流に応じてくれないため、支払う養育費を減らしたい
  3. 当初取り決めた金額が、養育費算定表に基づく相場より高かったため減額したい

など

2. 養育費を減額する方法

養育費の減額幅は、裁判所が公表している養育費算定表などを参考に、事情変更の具体的な内容を考慮して決まります。

(参考:「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」(裁判所))

実際に養育費を減額するための方法は、主に以下の3つです。

  1. 元配偶者と話し合って合意する
  2. 養育費減額調停を申し立てる
  3. 養育費減額の審判を受ける

(1)元配偶者と話し合って合意する

養育費の減額を元配偶者との間で合意すれば、合意内容に従って養育費が減額されます。

まずは元配偶者に連絡して、養育費の減額を提案しましょう。元配偶者が応じない場合は、内容証明郵便を送付して話し合いを申し込むことも考えられます。

養育費の減額について合意が成立したら、公証役場で手続きを行い、合意内容をまとめた公正証書を作成しておきましょう。

(2)養育費減額調停を申し立てる

養育費の減額に関する話し合いがまとまらないときは、元配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所に対して養育費減額調停を申し立てましょう。

【養育費減額調停の申し立ての必要書類・費用】

  • 申立書原本、写し各1通
  • 送達場所の届出書1通
  • 事情説明書1通
  • 進行に関する照会回答書1通
  • 未成年者の戸籍全部事項証明書1通
  • 申立人の収入関係の資料(源泉徴収票、給料明細、確定申告書等の写し)
  • 収入印紙1200円(子ども一人につき)
  • 郵便切手(金額は家庭裁判所に確認)
  • 非開示の希望に関する申出書(必要に応じて提出)

養育費減額調停では、中立的な立場にある調停委員が元夫婦双方の主張を聴き取り、歩み寄りを促すなどして話し合いを仲介します。養育費の減額に関する合意が成立すれば、その内容が調停調書に記載され、調停成立となります。

調停が成立した場合には、調停調書で定められた金額および時期に従って養育費が減額されます。

(参考:「養育費(請求・増額・減額等)調停の申立て」(裁判所))

(3)養育費減額の審判を受ける

養育費減額調停が不成立となった場合は、家庭裁判所が審判を行い、減額の可否や金額などについて判断を示します。

審判が確定すると、審判書に定められた金額および時期に従って養育費が減額されます。

3. 養育費減額請求を行う際の注意点

養育費の減額を請求する際には、特に以下の各点に留意して対応しましょう。

  1. 減額すべき理由を具体的に明示する
  2. 勝手に支払う養育費を減らすと、強制執行されるおそれがある
  3. 合意内容は公正証書にまとめる

(1)減額すべき理由を具体的に明示する

元配偶者や家庭裁判所に養育費の減額を認めさせるには、その根拠を具体的に明示することが重要です。

ご自身の収入が減ったこと、元配偶者の収入が増えたこと、再婚や養子縁組などの事情を、証拠資料を提示した上で説得的に主張しましょう。

(2)勝手に支払う養育費を減らすと、強制執行されるおそれがある

公正証書・調停・審判・判決などによって決まった養育費を勝手に減額すると、元配偶者が裁判所に強制執行を申し立て、ご自身の財産が差し押さえられてしまうおそれがあります。

養育費を減額する際には、必ず元配偶者との間で再協議をするか、または養育費減額調停・審判を利用しましょう。

(3)合意内容は公正証書にまとめる

養育費の減額について元配偶者と合意した場合には、その内容をまとめた公正証書を作成するのがおすすめです。

公正証書は、公証人が作成する信頼度の高い公文書です。原本は公証役場で保管されるので、紛失や改ざんなどを防げるメリットもあります。

減額前の金額に基づいて元配偶者が強制執行を申し立てたとしても、減額を合意した公正証書を裁判所に提出すれば、強制執行の手続きを中止することができます。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2025年02月18日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

最新2025年版 養育費計算ツール

Q1.養育費を受け取る側

※1,000万円以内(自営業は763万円以内)を入力してください。

Q2.養育費を払う側

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Q3.子どもの人数と子どもの年齢

1人目
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※4人以上の場合は直接弁護士にお問い合わせください。

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  1. 弁護士JP株式会社(以下、「弊事務所」といいます)が、作成・提供する養育費計算ツール(以下、「本計算ツール」といいます)の計算結果は、あくまでも簡易的な計算による目安を示すものです。実際に請求できる金額は内容によって異なります。
  2. 弊事務所は、本計算ツールにて提供する情報等に関して、その正確性、確実性、有用性、最新性等のいかなる保証も行うものではありません。したがって、本計算ツールにて提供する情報等に関連して、本計算ツールをご利用のお客様または第三者が損害を被った場合においても、弊事務所は一切の責任を負担いたしません。
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