同棲解消によるお金のトラブル|相手に引っ越し費用は請求できる?
交際相手から同棲の解消と退去を求められた場合、せめて引っ越し費用くらいは負担してほしいと望むかもしれません。また、結婚を前提に同棲していたのであれば、慰謝料も請求したいところです。
本コラムでは、同棲解消に際して引っ越し費用や慰謝料を請求することの可否について解説します。
1. 同棲解消をした場合に起こりうるトラブル
同棲解消により生じるトラブルはさまざまですが、とりわけ以下のような金銭絡みの問題は尾を引きがちです。
- 家賃や光熱費などの生活にかかった費用をどちらが負担するか
- 引っ越し費用や部屋の退去費用などはどちらが支払うのか
- (婚約していた場合)2人でためていた結婚資金をどう振り分けるか
- 高額な宝飾品などのプレゼント類や家電はどちらが引き取るか
このうち、家賃をはじめとする生活費用については、本来なら同棲している双方が負担すべきものです。
では、同棲解消によって引っ越しや退去をしなければならなくなった場合、その費用は同棲相手に請求できるのでしょうか。
2. 引っ越し費用は請求できる? その他同棲解消により請求できるもの
(1)原則は請求できない
引っ越し費用や、新居の初期費用は原則として相手に請求できません。なぜなら、そうした費用を請求できるための法的な根拠となる事由がないからです。金銭を請求できる法的な根拠としては、契約や不法行為、不当利得などが挙げられますが、同棲解消に伴う引っ越し費用の請求はいずれにも基づかないと考えられます。
また、引っ越し費用は同棲している双方が負担すべきものとは見なせないことから、費用を負担した側が負担しなかった側へ貸しているとも捉えられません。
(2)例外的に請求できるケースとは
ただし、ケースによっては慰謝料を請求し、引っ越し費用に充てることは可能です。たとえば、内縁関係が成立しており、その解消が一方的であった場合や、相手方の不貞行為による関係破綻の場合には、慰謝料を請求できる余地があります。なお、内縁関係とは、婚姻届こそ未提出であるものの、互いに婚姻意思があり夫婦同然の共同生活を送っている男女関係を指します。
その他、同棲解消によって慰謝料請求ができるのは、以下のようなケースです。
- 一方的な婚約破棄がなされた場合
- 交際相手のDVが原因で同棲解消した場合
- 相手に配偶者や子どもがいた場合
婚約を一方的に破棄されたのであれば、内縁関係が一方的に解消されたケースと同様に慰謝料を請求できる可能性があります。この場合、婚約していたことを示せる証拠として、婚約指輪や結納品、結婚式・披露宴を行った事実の証明書などを用意しておきましょう。
また、同棲相手からの暴力(DV)が原因で同棲解消に至った場合も慰謝料を請求可能です。このケースでも、暴力がふるわれていた事実を証明できる証拠の用意が必要となります。
さらに、「内縁関係や婚約関係にあると思っていたら相手に配偶者や子どもがいた」というケースでも、貞操権の侵害に基づく慰謝料請求をできる可能性があります。
3. 同棲解消による慰謝料の請求方法
同棲解消によって慰謝料を請求する流れとしては、「証拠収集→通知書を送付したうえでの任意の交渉→応じない場合は調停・訴訟」となります。
(1)証拠収集
単なる同棲解消では、引っ越し費用はもちろん慰謝料の請求もできません。そこで、慰謝料の請求根拠となる「精神的苦痛を引き起こした事実」を証明できる証拠の収集が必要です。
たとえば、内縁関係や婚約関係があったことの証拠や、それらの関係が一方的に解消・破棄されたことを示す証拠が挙げられます。また、同棲相手から暴力があったことを示す証拠、相手に配偶者がいたことを自分が知らなかったという証拠なども有力です。
(2)内容証明郵便の送付
集めた証拠をもとに、相手方へ請求書を送ります。このとき、普通郵便ではなく内容証明郵便を用いましょう。内容証明郵便とは、差し出した年月日と差出人、受取人、そして文書の内容が謄本により証明される郵便です。郵便局と差出人のもとに控えが残るため、後から証拠として使えるメリットがあります。
(3)調停・訴訟
相手が請求に応じなければ、裁判所に調停を申し立てるか、訴訟を提起することになります。たとえば内縁関係が一方的に解消されたケースでは「内縁関係調整調停」を、裁判に委ねるなら「慰謝料請求訴訟」を、それぞれ活用する形です。
調停が成立するには両当事者の合意が必要であるため、元同棲相手が慰謝料請求を受け入れなかった場合、訴訟することになります。
同棲解消を理由とする引っ越し費用などの請求はできませんが、一定の場合には慰謝料を請求して引っ越し費用に充てられます。調停や訴訟による慰謝料請求にあたっては、弁護士への相談がおすすめです。
- こちらに掲載されている情報は、2024年04月08日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
お一人で悩まず、まずはご相談ください
離婚・男女問題に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?
関連コラム
-
- 2024年10月24日
- 離婚・男女問題
-
- 2024年10月02日
- 離婚・男女問題
-
- 2024年09月27日
- 離婚・男女問題
離婚・男女問題に強い弁護士
-
電話番号を表示する 050-2018-0940現在営業中 6:00〜23:00
-
電話番号を表示する 050-2018-0940現在営業中 6:00〜23:00
-
電話番号を表示する 050-2018-0940現在営業中 6:00〜23:00
-
電話番号を表示する 050-2018-0940現在営業中 6:00〜23:00
-
電話番号を表示する 050-2018-0940現在営業中 6:00〜23:00