問題教師を訴える方法。法的な解決に向けた進め方とは?
学校は、生徒の成長のための場所であり、その生徒をさまざまな面からサポートする立場にあるのが教師です。
多くの教師は、その使命を果たすために職務を行っているものでしょう。
しかし残念ながら、その教師という立場を濫用して生徒の心身に被害を与える、いわゆる「問題教師」がいることも事実です。
もし学校に相談しても何らの対応がなされないといったときには、被害にあった生徒やその保護者は法的な解決に向けて行動を起こすこともひとつの選択肢になります。
1. 教師による問題行動
教師による問題行動の一例として、次のようなものがあります。
(1)パワハラ
パワハラ(パワーハラスメント)という言葉は、一般的に、優位な立場にある者がその立場を利用して行う嫌がらせの意味で使われます。
教師と生徒との関係は、指導する立場にある教師の方が圧倒的に優位な立場にあるのが通常です。また大人と子どもでは、経験値や精神的な成熟度も違います。
先生が、その立場を利用して「暴言をはく」「体罰を行う」などの行為をし、生徒の心身を傷つければ、パワハラにあたる可能性があります。
実際に、生徒の頭髪をバリカンで無理やり丸刈りする、部活動のコーチが平手打ちを繰り返して鼓膜を損傷させるなどの事件が起きています。
ただし、校長や教員には、教育上必要があるときには児童に対して懲戒を行うことが学校教育法で認められています(学校教育法11条)。パワハラにあたる理不尽な行為だったのか、教育目的の適切な懲戒であったのかの判断は難しく、違法性を問えるかは慎重に検討する必要があるでしょう。
(2)性暴力
「スカートの中に手を入れられた」「信頼感を利用され性暴力を受けた」
担任や部活動の顧問などという立場を利用して、生徒にこのような問題行為をする教師もいるようです。
生徒自身は恋愛だと思い込まされており、性暴力の被害者としての認識がないケースもあります。
(3)その他
そのほかにも、理不尽なことを要求されたり、個人情報を不適切に使用されたり、他の生徒の前で恥をかかせるようなことをされるなど、問題行動の内容はケースによってさまざまです。
2. 問題教師を訴える方法とは
教師の問題行動に対しては、学校や教育委員会などに被害を訴える方法のほか、法的な解決策として刑事責任・民事責任を追及する方法があります。
(1)学校の責任者(校長など)に相談する
客観的に状況を把握し適切に行動するためには、被害にあった生徒本人の情報だけでなく、目撃者など広く周囲から情報を得ることが大切です。
生徒の友人やその保護者などに状況を聞いたりして学校に相談した方がよいと判断できる場合には、学校に相談し事実関係の調査とともに改善を求めるなどの対応も必要になることでしょう。
学校に相談するときには、学年主任や校長などの当事者の教師を管理監督する立場にある人物に連絡ないし相談への同席を求め、アポイントをとってから来校するなどの対応が必要です。
(2)教育委員会や自治体の私学課などに相談する
学校側に真摯(しんし)な対応が望めないような場合には、国公立の学校であれば、教育委員会に相談することもできます。
教師の問題行動が処分の対象になれば、懲戒免職・停職・減給・戒告などの処分が下される可能性があります。
私立の学校であれば、都道府県に設置されている私学課に相談することができます。
(3)警察に訴える(刑事責任を追及する)
教師の行き過ぎた体罰によって生徒が怪我を負った場合などには、刑法上の暴行罪・傷害罪などに問うことができる可能性があります。
刑事責任を追及したい場合や緊急性の高い場合には、警察に訴えることも、ひとつの方法になります。
(4)裁判で損害賠償を請求する(民事責任を追及する)
パワハラなどの不法行為を受けた場合には、被害者は加害者に対して民事上の責任追及として、損害賠償を請求することができます。
教師に話し合いで請求しても応じなかったり、話し合い自体ができなかったりすれば、最終的に民事裁判で損害賠償請求をすることもできます。
(5)弁護士に相談する
問題教員に対して民事上または刑事上の法的責任を追及するときには、弁護士に相談するとよいでしょう。
弁護士に相談した場合には、刑事告訴したときに罪に問える見込みや裁判で損害賠償が認められる見込みなどが分かります。また弁護士は、代理人として交渉することも可能です。
弁護士に相談するときには、どのようにして受けた被害の回復を図りたいのか、相手方に何を求めたいのか(刑事罰なのか、金銭なのか)を慎重に考えておくと、スムーズに話が進むことでしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2021年08月16日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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