- (更新:2021年10月06日)
- 学校問題
学校での体罰は法律でどのように定められている?
「体罰」は、子どもを傷つける行為であって、法律上も厳しく制限されています。とはいえ、学校では、生徒をきちんと指導する必要もありますので、どこからが体罰なのか、はっきりしない側面もあります。
実際に、学校で子どもが先生から叩かれたような場合、どこに相談すればいいのでしょうか。そもそも学校の体罰は法律でどのように規制されているのでしょうか。
1. 学校での体罰、法律はどう定めている?
日本では、体罰もしつけのうちという発想が根強く、学校でも体罰が容認される傾向にありました。しかし、現在では、体罰は法律で明確に禁止されています。
(1)体罰を禁止する法律
学校教育法は、体罰の禁止について規定しています。
・学校教育法11条(児童、生徒等の懲戒)
校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。
なお、学校教育法にいう学校とは、小学校、中学校、高等学校、大学、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園のことを指します。したがって、学校の種類や子どもの年齢にかかわらず、学校での体罰は禁止されているのです。
では、具体的に体罰として禁止されるのはどんな行為なのでしょうか。
(2)体罰にあたる行為とは
体罰とは、大まかに、①身体に対する侵害を及ぼすものと、②肉体的苦痛を与えるものという2つに分けられます。
①身体に対する侵害を及ぼすもの
生徒の身体を直接侵害する行為です。一言で言えば、暴力といえる状況です。
【具体例】
- 授業態度について指導したら、反抗的な態度をとった生徒の頬を平手打ちした
- 体育の授業中に、危険な行為をした児童の背中を足で蹴りつけた
②肉体的苦痛を与えるようなもの
直接暴力をふるう以外の方法で、生徒に苦痛を与える行為のことです。
【具体例】
- 生徒を教室以外の部屋に長時間閉じ込めて、一切出ることを許さない
- 放課後に児童を教室に居残りさせ、トイレに行きたいと訴えても、一歩も出ることを許さない
- 生徒が苦痛を訴えているにもかかわらず長距離を休ませることなく走らせる
- 固い床の上で長時間正座させる
(3)体罰にあたらない場合
教師には生徒を指導すべき責任もあります。学校教育法でも、体罰にあたらない程度の懲戒は教師の権利として認められています。つまり、教育や指導に必要な範囲で「やむを得ない」場合には、身体的な接触なども体罰にはあたらないのです。
そして、「やむを得ない場合」にあたるかどうかは、ケースバイケースで判断されます。例えば次のようなケースは、体罰にあたらないと判断される可能性が高いといえます。
【具体例】
- ある生徒が他の生徒に腹を立てて殴りかかっているときに、教師が制止するために腕を強く掴んだ場合
- 生徒が、授業中にふざけて席を立とうとした時、座るように肩を軽くおさえた場合
2. 子どもが体罰を受けたら親としてできること
では、実際に体罰を受けた場合は、親としてどんな対応をとるべきでしょうか。
(1)証拠を集める
子どもが体罰を受けている場合は、本人に確認しながら証拠を集めましょう。もちろん、本人の話に加えて、現場にいた他の子どもの証言も重要です。また、けがをしている場合な病院の診断書も取っておきましょう。
(2)学校に申し入れ
証拠を揃えたら、学校側に事実関係の確認・調査と体罰をやめるように求めましょう。親として一番重要なことは、子どもに対する体罰が繰り返されないように行動することです。黙認することなく、きちんと要求を伝えることが大事です。
(3)教育委員会への調査依頼
体罰を繰り返させないためにも、何が起きたのかしっかり調査してもらう必要があります。そのため、学校への申し入れと同時に、教育委員会に調査の依頼を行います。
(4)いろいろな相談窓口
第三者の相談機関でアドバイスを受ける方法もあります。
①24時間子供SOSダイヤル
24時間SOSダイヤルは、各地方自治体が設ける子どもに関する窓口です。24時間電話対応してくれるため、すぐに相談できる点がメリットです。
②子供の人権110番
子供の人権110番は、法務省が設ける相談窓口です。子どもの体罰はもちろん、いじめ問題や虐待など幅広い相談が可能です。
(5)損害賠償請求
体罰が悪質な場合には、子どもが受けた肉体的・精神的苦痛に対して損害賠償請求を行うことも考えられます。先生・学校に対して直接請求する方法と、裁判所に訴える方法があります。
(6)刑事告訴
損害賠償請求とは別に、体罰を行った教員を警察に告訴するという方法もあり得ます。罪状としては、脅迫罪、暴行罪、傷害罪、監禁罪、強要罪が考えられます。
3. まとめ
体罰は子どもの心を大きく傷つけるものです。体罰をきっかけに精神的な不調に陥ったり、不登校になってしまったりするケースもあります。体罰の形跡を見つけたら、放置することなく、保護者としてしっかりとした対応をとりましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2021年10月06日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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