- (更新:2024年05月16日)
- 家族・親子
児童相談所の一時保護に納得いかない! 不服申し立てはできる?
虐待や育児放棄の疑いがあった場合、保護者による同意を得る必要なく児童相談所の権限で子どもを一時保護できます。しかし突然子どもと引き離され、親としては納得いかないかもしれません。
本コラムでは、一時保護に対する不服申し立てや、一時保護が延長された場合の対処法、一時保護されないためにできることについて、詳しく解説します。
1. 児童相談所による一時保護の流れ
児童相談所による一時保護とは、児童福祉法第33条1 項に基づき行われる措置で、虐待などが疑われる子どもの身柄を児童相談所が保護し、一時的に保護者と子どもを引き離すことを指します。
一時保護が行われるまでの流れは以下のとおりです。
- 近隣住人や学校・保育所、警察などから虐待を疑う通報
- 通報から48時間以内に子どもの安全確認、子ども・保護者への面接
- 必要があれば立ち入り調査
- 児童相談所で一時保護の決定
一時保護は原則として子ども本人や保護者の意見を確認した上で行われますが、法律上は子どもや親権者(保護者)の同意は必要とされていません。もし緊急性が高いと判断されれば、子どもの安全確保と状況の確認を行うため、当事者の同意なく強行される場合もあります。
子どもが一時保護されると、児童相談所から親権者に「一時保護決定通知書」が交付されます。
(参照:「児童福祉法」(e-Gov法令検索))
2. 一時保護の不服申し立てはできる?
交付された一時保護決定通知書には、決定に納得できない場合、不服を申し立てられる旨が記載されています。
(1)不服申し立ての手続きは2種類ある
一時保護決定通知書に対する不服申し立てには、「行政不服審査」と「行政事件訴訟」の2種類があります。
- 行政不服審査
児童相談所が行った一時保護の正当性について、審査庁に指名された審理員が審査を行います。 - 行政事件訴訟(取消訴訟)
一時保護の決定に対し、裁判所にその取り消しを求める手続きです。
行政事件訴訟を行うには専門的な知識が求められるため、利用手続きが行いやすいのは行政不服審査です。しかし行政不服審査の審査には半年程度の期間を要します。一時保護の期間は、2か月を超えないものと児童福祉法第33条3項に定められており、審査の結果が出る前に一時保護期間が終了する可能性が高くなります。
そのため、行政不服審査は少しでも早く子どもを取り戻したい保護者にとっては有効な方法とはいえません。手続きを行うかどうかは慎重に判断したほうがよいでしょう。
(2)一時保護が延長された場合
一時保護は2か月を超えない期間と定められていますが、引き続き保護が必要な場合は延長も可能です。しかし一度目の一時保護と違い、延長するには親権者の同意が必要です。もし親権者が同意しない場合は、家庭裁判所の審判によって承認を得なければなりません。
この審判では、家庭裁判所は親権者の陳述を聴かねばならないと、家事事件手続法236条に定められています。親権者は一時保護延長に不服の場合、一時保護の延長が不当であるという意見書の提出や主張が可能です。
それでも一時保護の延長が決定してしまったら、親権者としては不服の申し立て(即時抗告)を行い、高等裁判所に審判を求めます(家事事件手続法第238条)。なお、即時抗告が行える期間は、承認審判の告知から2週間以内と同法第86条に定められています。
(参照:「家事事件手続法」(e-Gov法令検索))
3. 一時保護されないために
児童相談所に一時保護されると、保護期間が2か月以上に及ぶ場合もあり、長く子どもに会えなくなってしまいます。その後、児童養護施設に入所することになると、子どもを取り戻すためにさらに煩雑な手続きが必要になります。
一時保護は、近隣住民や学校・保育施設からの通報がきっかけになっていることがほとんどです。勘違いによる通報がまったくないわけではありませんが、一時保護により児童の安全確保や虐待の防止に貢献していることも事実です。
子どもが一時保護されないためには、虐待や育児放棄を疑われるような要因が消失するよう、家庭環境を整えることが重要です。もし何か誤解があるのであれば、児童相談所の職員が面会に来た際に、子どもの安全や健康が脅かされる環境ではないことを、根拠を示しながら冷静に説明しましょう。
このとき、子どもを取られまいといたずらに敵対する姿勢を見せては、逆効果になりかねません。説明をしても子どもが一時保護されてしまったら、いち早く自宅に戻れるよう、児童相談所などと粘り強く交渉を行うことが重要です。
子どもが一時保護された場合、不服申し立てとして審査請求も行えますが、早期の段階で一時保護の解除に向け児童相談所と交渉するのが最善となる可能性もあります。また、一時保護の延長や児童施設への入所をめぐって審理が行われる場合、陳述や即時抗告の手続きには法律のプロによるサポートがあると心強いでしょう。
一時保護された子どもを速やかに引き取りたければ、ぜひ弁護士にご相談ください。いち早く自宅に戻れるためのアドバイスを得られます。
- こちらに掲載されている情報は、2024年05月16日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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