【毒親の相談先】警察や弁護士に相談するとどうなる?
世の中には親として不適切な行動をとる「毒親」が存在することも事実です。親という立場を免罪符にする毒親ですが、その行為の中には警察などの介入を要する不法行為が含まれていることもあります。
本コラムでは、毒親の特徴や毒親にとれる法的措置、そして警察や弁護士に相談するメリットを解説します。
1. 毒親とは? 関係に悩んだときの相談先は?
「毒親」という俗語は、「子どもの成長に悪影響を与える親」という広い意味で使われるのが一般的です。
毒親が犯しがちな行為としては、子どもへの過干渉・過保護・過度の支配や否定的な言動、価値観の押し付けなどが挙げられます。これらはいずれも子どもの成長や自立を阻害する行為にほかなりません。また、時には暴力や性的虐待、子どものお金の窃盗や使い込みなど、れっきとした犯罪行為をしてしまう親も存在します。
こうした毒親を持った子どもは、子ども時代はもちろん、成人して就職してからも、さまざまな形で苦しみ続けてしまうことが少なくありません。
(1)毒親になる原因
親が毒親になってしまう背景にはさまざまな要因が考えられます。
①親自身が過去に虐待などを受けた経験がある
親自身の過去の経験から、自分の子どもにも同じような行動をとってしまうパターンです。この場合、過去のトラウマや親子関係に関する認識の歪みが毒親行為の原因になっていると考えられます。
②子どもに対して過度な期待を持っている
こうした親は自分と子どもを過度に同一視しています。そのため、自分が過去に挫折した夢を子どもに押し付けたり、「自分はこうだったのだから子どもも同じはず」と子どもの意見や個性を無視したりしやすい傾向です。
③親自身が強いストレスを抱えている
たとえば夫婦関係や仕事がうまくいかないなどの難しい状況があり、そのストレスを子どもへの不適切な行動で発散しているケースです。中には、そうした報われない状況を盾にして自分の行動を正当化したり、子どもの同情を引いて自分から離れないようにしたりする毒親もいます。
毒親は、しばしば「しつけ」や「愛情」の名のもとに行為を正当化しようとしますが、その実態は子どもの心に深い傷を与える誤った行為であり、決して正当化されるものではありません。
(2)毒親との関係に悩んだときの相談先
親子関係の問題は、他人にはなかなか相談しにくいものです。しかし、第三者に相談したり介入してもらったりすることで、親子関係の改善や、毒親との絶縁ができる可能性もあります。
毒親に関して悩んだときには、以下のような相談先を頼ってみましょう。
①行政の相談窓口
厚生労働省は、心の悩みに対応する相談窓口「よりそいホットライン」をホームページ上に開設しています。まずはこうした行政の相談窓口を頼ってみましょう。また、18歳未満ならば「児童相談所」、20歳未満ならば「子どもシェルター」に相談や保護を求めるのもひとつの手です。
こうした相談先は、毒親か否かの判断も含めて専門家が相談に乗り、必要に応じて保護や他の機関への取り次ぎをしてくれます。
②警察
毒親行為が暴力、脅迫、性的虐待など、明らかに犯罪行為に該当する場合は、警察に相談しましょう。特に身の危険を感じている状況では110番通報もためらわないでください。
警察へ相談する際には、できれば被害を証明できるような証拠を集めておくのがおすすめです。たとえ逮捕や起訴に至らなくても、警察に相談した記録を残しておけば、さまざまな法的措置を進めやすくなります。
③弁護士
法的措置を具体的に考えている場合は、弁護士に相談するのも非常に有効です。弁護士は、相談者から聞いた被害内容に照らして、毒親に対してどのような対応をとればいいか助言をしてくれます。もちろん、毒親との交渉や法的な手続きを代行してもらうことも可能です。
そのほかでは心療内科やカウンセラーなどに相談することで、親や自分の心をケアし、親子関係を改善するきっかけをつかめる可能性があります。もちろん、親戚や友人など信頼できる身近な相手に相談するのもよい選択肢です。いずれにしても、ひとりだけで問題を抱え込まないようにしましょう。
2. 毒親のことを警察に相談したらどうなる?
先述のとおり、毒親の行為が法律に抵触するようなものである場合は、警察に相談することも選択肢のひとつです。
警察の対応が望める犯罪行為としては、暴行や脅迫、性的虐待、名誉毀損などが挙げられます。これらの犯罪を立証できれば、警察に被害届を受理してもらい、場合によっては親を逮捕してもらうことも可能です。
ただし、「親にお金を盗られた」「預貯金を使い込まれた」などのケースでは、刑法第244条によって「家庭内で解決すべきこと」として罪に問えないことになっているため、民事訴訟で損害賠償請求などをすることになります。この場合、民事不介入の原則によって、警察からの協力は期待できません。
出典:e-Gov法令検索「刑法」また、暴行など本来は刑事事件に該当するケースでも、一般的な親子げんかや家庭内不和と混同されてしまうと、やはり民事不介入の原則によって、警察が積極的に介入してくれないおそれがあります。
そのため、警察に相談する場合は、身の危険や問題の深刻さが警察にしっかり伝わるように、可能な限り証拠を用意して説明することが大切です。
3. 毒親にとれる法的措置と弁護士に相談するメリット
上記のように、家庭内で起きた問題に対しては、警察の対応が期待できないこともあります。また、いくら毒親とはいえ、いきなり警察に通報するのはためらってしまう方も多いでしょう。そこでおすすめしたいのが弁護士へ相談することです。
弁護士は法律の知識やノウハウを用いて、警察への告訴や民事訴訟の可能性も含めて、毒親に対してどのように対応するのが最善か一緒に考えてくれます。弁護士のサポートを得れば、刑事訴訟や民事訴訟に持ち込むことのみならず、以下のような対処もスムーズに進めやすくなります。
(1)毒親に対して弁護士名で内容証明郵便を送付する
弁護士という第三者の介入や法的な対応の可能性を示すことで、毒親がその後問題行動を控えることが期待できます。内容証明郵便では、「今後問題行動をやめるように」といった趣旨の文書を送ります。
(2)裁判所に申し立て、毒親に対して「接近禁止仮処分命令」を出してもらう
親子間ではストーカー規制法やDV防止法に基づいて接触を法的に禁ずるのは難しいですが、著しい損害が生じた場合や危急の事態に際しては、裁判所に申し立てて「接近禁止仮処分命令」を出してもらえます。ただし、損害や危険の度合いおよび事実を証明する証拠をそろえることが必要です。
(3)「親族関係調整調停」を行う
親族関係調整調停とは、家庭裁判所に申し立てて親族内の問題を話し合いで解決する場を設ける制度です。調停後に調停調書を作成し、今後の行動について親に誓約してもらうことで、親子関係の清算や改善ができる可能性があります。
弁護士はこうした選択肢の中から、どの方法が最も適切か助言し、法的な手続きの代行など実務面でのサポートもしてくれます。また、毒親との交渉においても弁護士に仲介に入ってもらうことで、精神的な負担を減らすことが可能です。
相手が親だからこそ、自分で対処しようとすると、どんどん深みにはまってしまうおそれがあります。毒親で悩んでいる方は、ぜひ弁護士に相談してください。
- こちらに掲載されている情報は、2024年07月10日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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