- (更新:2021年07月15日)
- 国際・外国人問題
日本に住む外国人が亡くなったら、相続はどうなる?
日本に住む外国人が亡くなった場合相続がどの国の法律に従って、処理されるのでしょうか?
この記事では、外国人の相続はどちらの国の法律で行われるのか、という問題を中心に解説します。
1. 被相続人が外国人の場合の準拠法は?
国際的な法律関係についての準拠法は、「法の適用に関する通則法」(通称:通則法)のルールに従って定められます。
通則法の規定に従うと、亡くなった被相続人が外国人の場合における相続の準拠法は、以下のように解されます。
(1)被相続人の本国法が原則
通則法第36条には、「相続は、被相続人の本国法による」と記載されています。
よって、被相続人が外国人の場合は、国籍がある国の法律(本国法)に従って相続を処理するのが原則となります。
相続(遺言書を含む)に関するルールは、各国の法律によって大きく異なるため、現地の法律の内容をよく確認することが大切です。
(2)例外的に日本法が準拠法となる場合とは?
外国人が被相続人である相続について、例外的に日本法が準拠法となる場合が二つあります。
①被相続人が無国籍で、日本に居住していた場合
被相続人が無国籍の場合、「本国法」に当たる法律が存在しません。この場合、被相続人の常居所地法が準拠法となります(通則法第38条第2項)。
被相続人が生前日本に居住していた場合、常居所地法は日本法となりますので、日本法に従って相続が処理されます。
②被相続人の本国法によって、日本法が準拠法に指定されている場合
通則法第36条の規定によって準拠法とされた本国法に従うと、相続の準拠法が日本法とされている場合があります。
この場合、無限ループを防ぐために、準拠法は日本法で確定します(通則法第41条)。このルールを「反致」といいます。
反致は後述するように、不動産の相続においてよく問題となります。
2. 不動産の相続に関する留意点
外国人が被相続人となる相続のうち、特に不動産の相続については、他の資産の相続とは異なる留意点が存在します。
(1)日本法に従って処理される場合がある
各国の法律においては、不動産の相続について、他の資産の相続とは異なる準拠法を定めていることがあります。たとえば米国法や英国法では、不動産相続の準拠法は、不動産の所在地の法律とされています。
通則法第41条に定められる反致のルールにより、不動産の所在地法が日本法となる場合には、不動産の相続に関する準拠法は日本法となります。
よって、亡くなった被相続人がアメリカ人やイギリス人などで、日本に不動産を所有している場合には、その不動産の相続については日本の相続法に従って処理されるのです。
(2)不動産登記法に基づく相続登記が必要
不動産の相続に関する準拠法が本国法か日本法か(あるいは別の地域の法か)にかかわらず、日本に所在する不動産については、登記の問題が発生します。
不動産の所有権は、所有権移転登記を備えなければ、第三者に対して対抗することができません(民法第177条)。
よって、日本に所在する不動産を相続することになった相続人は、日本の不動産登記法に基づき、所有権移転登記を早めに備えておきましょう。
3. 外国人の相続は複雑なため、早めに弁護士に相談を
日本に住んでいる外国人の方が亡くなった国際相続の場合、一般的な相続に比べて、複雑な対応が求められます。具体的にどのようなことが必要になるのか、見ていきましょう。
(1)イレギュラーな書類が必要となる
外国人の方については、相続登記などの手続きにおいて、日本でいう戸籍全部事項証明書・印鑑証明書・住民票などに代わる書類を準備する必要があります。
各国の行政機関に書類の申請を行うのも大変ですし、そもそも上記の各書類に相当する書類が存在しないケースもあります。
(2)相続財産が各国に散在している
外国人の方の場合、日本だけでなく、海外にも資産を保有していることが多いです。日本法と同様に、諸外国の法を準拠法とする場合にも、相続財産は被相続人が死亡当時に保有していた全財産となるのが一般的です。
(3)外国法令の調査が必要
相続の準拠法が外国法の場合、法令内容の調査から行う必要があります。
外国法の内容について調査する場合、現地の弁護士の協力が不可欠です。現地の法律事務所とつながりのある日本の弁護士に相談すれば、外国法の調査もスムーズに対応することができますので、外国人の方がお亡くなりになった場合には、一度弁護士にご相談することをおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2021年07月15日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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松村 大介 弁護士
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