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外国人が解雇された場合、ビザはどうなる? 更新方法・注意点を解説
新型コロナウイルス感染症の影響などにより、企業が従業員を解雇する事例が増加しています。
外国人の方が会社から解雇された場合、ビザの在留期間や更新との関係で注意しなければならない点がいくつかあります。
ビザが切れて不法滞在とならないように、事前に弁護士に対処法を相談しておきましょう。
この記事では、外国人が解雇された場合のビザの取り扱いについて解説します。
1. 外国人が解雇された場合、就労ビザは有効?
外国人は原則として、活動を具体的に指定された在留資格に基づいて日本に在留しています。
しかし、解雇などで失職した場合には、在留資格において指定された活動を行わない期間が発生します。
この場合でも、就労ビザは引き続き有効なのでしょうか。
2. 解雇後3か月は在留が認められる
就労ビザは、在留資格の取り消し事由に該当しない限り、在留期間中は有効です。
この点、「出入国管理及び難民認定法」(出入国管理法)第22条の4第1項第6号では、在留資格に応じた活動を3か月以上行わずに在留していることが、在留資格の取り消し事由に該当すると定めています。
よって、再就職活動が奏功しなくても、会社から解雇された後3か月の間は、基本的には問題なく日本に在留することが可能です。
3. 再就職活動の実績があればビザの在留期間中は有効
また、解雇後3か月以上就労していない場合でも、正当な理由がある場合には在留資格の取り消し事由に該当しません(出入国管理法第22条の4第1項第6号括弧書き)。
具体的には、再就職活動の実績があれば、結果的に再就職が実現していなくても、在留期間中にビザが取り消されずにすみます。
よって、在留期間いっぱいまで再就職活動をしながら日本に滞在したい場合には、再就職活動の実績を説明できる資料(会社からもらったパンフレットや履歴書のコピー、メールなど)を保管しておきましょう。
4. 再就職活動中にビザの在留期限が切れそうになってしまったら?
再就職活動中に就職先が決まらないまま在留期間満了日が迫ってきている場合、これまでと同じ在留資格でビザを更新することはできません。
この場合、日本で引き続き再就職活動をすることを希望するなら、在留資格を「特定活動」に変更するための許可を求める申請をしましょう。
特定活動の在留資格が認められた場合、最長6か月間、引き続き日本に滞在することが可能です。
特定活動の在留資格は原則として更新が認められませんが、新型コロナウイルス感染症の影響で、雇用が悪化している場合には、特例として在留資格の更新が認められます。
詳しくはお近くの出入国在留管理局などにご確認ください。
なお、再就職活動の結果として復職に成功した場合、速やかに「特定活動」から新たな在留資格への変更を申請する必要があります。
5. 再就職活動と並行してアルバイトをしても良い?
外国人は、在留資格において指定された活動に含まれていない限り、日本でアルバイトをすることは原則、認められません。
もし再就職活動期間中に生活資金が必要となり、アルバイトをすることを希望する場合には、出入国在留管理庁に対して「資格外活動許可」を申請しましょう(出入国管理法第19条第2項)。
資格外活動が許可されると、週28時間以内のアルバイトをすることが認められます。
この場合の資格外活動期間は、以下の二つのうちいずれか先に到来する日で満了します。
- 許可の日から6か月後の日
- 現に有する在留資格の在留期間の満了日
なお、解雇後に生活資金を確保する方法としては、雇用保険の保険金を受給することも考えられます。雇用保険についての詳細は、ハローワークにご確認ください。
6. 外国人の労働トラブルは弁護士に相談を
外国人であっても、日本で雇用されて働いている以上は、労働基準法や労働契約法の規定により労働者として保護されます。
日本の労働関連法制では、会社が労働者を解雇するハードルは極めて高く、安易な解雇は認められていません。もし勤務先から突然解雇された場合には、まず不当解雇を疑うべきでしょう。
特に外国人の場合、在留資格との関係で、解雇によって受ける生活上の悪影響は甚大です。
最近では新型コロナウイルス感染症の影響もあって、なかなか再就職が実現しない厳しい情勢が続いています。そのため、勤務先から残業代の未払いや不当解雇などの不利益な取り扱いを受けた場合には、労働者としての権利をきちんと主張することが大切です。
弁護士は、労働者の権利を守るために、会社に対する、法的な主張の検討・準備を全面的に支援します。不当解雇などの被害に遭った外国人の方は、お早めに弁護士への相談を検討しましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2021年04月05日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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松村 大介 弁護士
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