自分の映り込み写真がSNS上に! 削除できるケースなどを解説

自分の映り込み写真がSNS上に! 削除できるケースなどを解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

スマートフォンやSNSの普及により、ネット上には数多くの写真がアップロードされています。

本コラムでは、無断で撮影された自分の映り込み写真について、すぐに削除してもらえるのか、またその判断はどういう基準になるのかについて詳しく解説します。

1. 自分の映り込み写真をSNS上で発見! 肖像権の侵害になる?

近年では、ほとんどの人がカメラ機能のあるスマートフォン端末を持っており、外出先で手軽に写真を撮影できるようになりました。

また現在は、撮ったものをネット上にアップロードする手段としてSNSが発達し、どんな写真も一瞬で世界中に拡散される時代です。それゆえ、自分の顔が映り込んだ写真を無断で投稿されてしまうケースも当たり前に起きています。

当然ですが、他人の顔の無断撮影・投稿が無条件に許されているわけではありません。顔写真が勝手に拡散されることは、肖像権の侵害にあたる可能性があります。肖像権は、法律で定められている権利ではありませんが、裁判によって少しずつ確立されました。

現在、肖像権は主に「プライバシー権」と「パブリシティ権」の2つに分けて考えられています。

(1)プライバシー権

プライバシー権の考え方は、日本国憲法第十三条に規定される「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」に基づきます。これは顔写真のみならず、私生活全般に関わる個人情報などが含まれます。

写真に関しては、平成17年11月10日に「人はみだりに自己の容ぼう、姿態を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有する」と判決が確定しました。

出典:裁判所「最高裁判所判例集

(2)パブリシティ権

パブリシティ権は、主にスポーツ選手や芸能人などの著名人に適用されます。現在は、さまざまな製品やサービスの宣伝を著名人が担うことも多いですが、顔や名前が広く知られている有名人は、その名前を出すだけで経済効果を生み出します。このような顧客吸引力を不当に独占ないし利用されず、守られるための権利としてパブリシティ権が確立されました。

2. 肖像権侵害にあたるケースとあたらないケース

一般市民、著名人問わず権利を侵害されることは許されませんが、全ての写真が肖像権侵害になるわけではありません。撮影や公開をした側にも、表現の自由が認められています。そのため、肖像権の侵害が認められるには、いくつかの判断基準があります。

  1. 投稿された画像や動画から個人を特定できるかどうか

    まず、公開された撮影物に映っている顔が特定の個人と分かるものか、判断が必要です。解像度次第では、自分で自分のことだと分かっても、世間的には判別がつかない場合もあります。逆に、明瞭な画像でモザイク処理などもされていなければ、肖像権の侵害にあたるケースが多いです。

  2. どの場所で撮影されたものか

    無断撮影は、原則として許容されるべきではありませんが、公益性が高いとみなされた場合は、肖像権の侵害が認められないケースが多いです。そのため、撮影場所も大切な判断材料です。自宅や個室など、プライベートな空間で無断撮影された肖像物は、肖像権が認められやすくなります。

  3. 撮影や公開に対し許可をとったか

    肖像権の侵害は、無許可で撮影・公開された場合に発生するため、肖像権の処分権者から許可があれば侵害していることにはなりません。ただし、撮影の許可をとっていても、公開の方法や時期など、許可内容に反してネット上へ投稿した場合、肖像権の侵害に問われる可能性があります。

  4. どこに公開されたか

    投稿されたSNSやサイト、掲示板によっては、あっという間に拡散されることもあります。自分の姿が予期せぬ間にネットで広められていくことは、大きな心理的負担にもつながるため、ほかの要素とあわせて総合的に判断されます。

3. 肖像権の侵害にあたる場合の対応方法

公開された肖像物が権利の侵害にあたると判断できた場合は、すみやかな削除請求が重要です。特に、SNSで急速に拡散されていると、あっという間に取り返しのつかない広がり方をしてしまいます。適切な請求方法はケースバイケースですが、法的措置も含め、いくつかのアプローチ方法があります。

(1)サイトやSNSの運営元へ直接削除依頼を出す

まずは、問い合わせフォームなどから削除依頼を申し入れる方法があります。手軽に行動へ移せるメリットがある一方で、個人からの問い合わせは無視されてしまうケースも少なくありません。この場合、弁護士に依頼して削除請求を出してもらうこともおすすめです。この場合も法的拘束力はなく、対応してもらえる保証はありませんが、個人で削除請求するよりは確率が上がります。

(2)法的措置をとる

サイトやSNSの運営サイドが削除に応じない場合、もっとも強力な方法は、仮処分や訴訟を提起して、裁判所に削除相当であると認めてもらうことです。これらの手続きを個人で行うのは難しいため、専門的な知識のある弁護士へ依頼しましょう。

また、公開した相手が分からない場合は、発信者情報開示請求で特定し、削除請求と並行して損害賠償請求することも可能です。しかし法的手続きは、期間が長くなるほどコストもかかります。弁護士に相談した上で、法的措置に踏み切らずに解決できる道を探すことも大切です。

無断でネットに公開された自分の顔写真を削除したい場合、まずは肖像権の侵害にあたるかどうかの確認が必要です。判断に迷ったときや削除請求を検討する場合は、一度弁護士へ相談してみてください。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2024年06月17日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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