解雇予告手当をもらえない場合の対処法は? 支払われる条件と計算方法も解説

解雇予告手当をもらえない場合の対処法は? 支払われる条件と計算方法も解説

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

解雇は、労働者の生活に多大な影響を及ぼすことから、会社が労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前に解雇の予告をしなければならない、とされています。もし、解雇の予告が30日に満たない場合には、会社は不足する日数分の平均賃金を支払わなければなりません。これを「解雇予告手当」といいます。

今回は、解雇される可能性がある労働者に向けて解雇予告手当を正しくもらう方法について解説します。

1. 解雇予告手当が支払われる条件

解雇予告手当は、どのような場合に支払われるのでしょうか。以下では、解雇予告手当に関する基本的事項について説明します。

(1)解雇予告とは

会社は、労働者を自由に解雇することができるわけではなく、解雇をするためには、客観的に合理的な理由と解雇が社会通念上相当であるといえることが必要になります(労働契約法16条)。

そして、このような条件を満たして解雇をする場合であっても、解雇の手続きとして、少なくとも30日前には、解雇予告をしなければなりません(労働基準法20条)。

(2)解雇予告手当はどのような場合に支払われるのか

解雇の予告は、少なくとも30日前にしなければならないとされており、解雇の予告をしない場合や解雇の予告が30日に満たない場合には、「解雇予告手当」として不足する日数分の平均賃金を支払う必要があるとされています。

たとえば、3月31日付で解雇する場合には、遅くとも3月1日までに解雇予告をしなければなりません。3月11日に解雇予告をして、3月31日に解雇をする場合には、10日分の解雇予告期間が不足しますので、会社は、労働者に対して10日分の平均賃金に相当する解雇予告手当を支払う必要があります。

なお、解雇予告手当の平均賃金は、以下のように計算します。

解雇予告手当(1日分)=直前3か月の賃金総額÷3か月の暦の日数

ただし、日給制、時給制、出来高払制の労働者の場合には、以下の金額を下回ってはなりません。

直前3か月分の賃金の総額÷3か月の間に労働した日数×60%

(3)解雇予告手当の支払いが不要な場合

解雇予告および解雇予告手当の支払いが不要なのは、以下のような場合です(労働基準法20条1項)。

  1. 「天災事変その他やむを得ない事由によって事業の継続が不能になつた場合」
  2. 「労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合」(例:懲戒解雇)

ただし、上記の事情によって会社が解雇予告および解雇予告手当の支払いを免れるためには、労働基準監督署による除外認定を受ける必要があります。

(4)解雇予告の適用除外

解雇予告および解雇予告手当に関する規定の適用が除外される場合としては、以下の場合があります(労働基準法21条)。

  1. 「日日雇い入れられる者」(1か月を超えて引き続き使用された場合は解雇予告の対象)
  2. 「二箇月以内の期間を定めて使用される者」(契約で定めた期間を超えて、引き続き使用された場合は解雇予告の対象)
  3. 「季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者」(契約で定めた期間を超えて引き続き使用された場合は解雇予告の対象)
  4. 「試の使用期間中の者」(14日を超えて引き続き使用された場合は解雇予告の対象)

2. 解雇予告手当が支払われない場合の対処法

解雇予告が支払われる条件に該当しているのに、会社から解雇予告手当が支払われない場合には、以下のような対処をしましょう。

(1)解雇に関する証拠の収集

解雇予告手当は、会社から解雇された場合に支払われるものですので、自己都合退職の場合には支払われません。

会社から解雇されたことや解雇日を明確にするためにも、会社に対して、解雇通知書や解雇理由証明書を発行してもらうように求めましょう。

(2)会社に対する請求

解雇予告手当が支払われていない場合には、解雇予告の日数に不足する日数分の平均賃金を計算して会社に対して請求をします。口頭での請求だけだと、後日請求したかどうかで争いになることもありますので、内容証明郵便によって請求をした証拠を残しておくようにしましょう。

(3)労働基準監督署や弁護士に相談

会社に対して請求したものの、解雇予告手当が支払われない場合には、労働基準監督署や弁護士に相談をすることをおすすめします。

労働基準監督署では、解雇予告手当の支払いをしない会社に対して、指導や勧告をしてくれますので、それによって会社からの解雇予告手当の支払いが期待できます。

弁護士であれば、解雇された従業員の代理人として会社と交渉をすることができます。法的見地から適切な主張を行うことによって、会社も任意に応じてくれる可能性がありますので、早期解決が期待できるでしょう。

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  • こちらに掲載されている情報は、2021年09月13日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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