- (更新:2023年02月14日)
- 労働問題
残業時間の上限規制は「月45時間」。36協定での取り決め
毎月長時間の残業をしている労働者の中には、「法律で残業時間の上限とか決められてないの?」といった疑問を抱くこともあるでしょう。
実は、労働基準法では、法定労働時間といった労働時間の規制だけでなく、残業時間についても上限を定めて規制しています。近年、過労死などが社会問題となっていることを受けて、残業時間の上限についても法律で規制されるようになりました。
今回は、このような残業時間の上限規制について近年の法改正の内容を踏まえてわかりやすく解説します。
1. 残業時間の上限規制
残業時間の上限はどのように規制されているのでしょうか。以下では、労働基準法が定める労働時間と残業時間のルールについて説明します。
(1)労働時間の規制
労働基準法では、労働者の労働時間は、原則として1日8時間、1週40時間までと定めており、これを「法定労働時間」といいます。
普段から残業をしている労働者の方からすると意外に思うかもしれませんが、労働基準法では、法定労働時間を超えて労働者を働かせることはできないというのが原則なのです。
(2)残業時間の規制
上記の法定労働時間については、労働基準法で例外が定められています。使用者と労働者の代表者との間で、時間外労働に関する36協定を締結し、それを労働基準監督署に提出することによって、法定労働時間を超えて労働者を働かせることができます。
もっとも、36協定を締結すれば何時間でも残業を行わせることができるというわけではありません。
法律上は、残業時間については、月45時間、年間360時間以内にしなければならないという規制があります。従来は、大臣告示という形での規制でしたが、平成30年の労働基準法の改正によって、法律上の規制に格上げされることになりました。
このような法規制は、大企業に対しては平成31年4月1日から、中小企業に対しては令和2年4月1日から適用されています。
(3)特別な事情がある場合の残業時間の上限規制
36協定による残業は、法定労働時間の例外ですが、36協定による残業時間の上限規制についてはさらに例外が存在します。
臨時的な特別の事情がある場合には、36協定に特別条項を設けることによって、月45時間、年360時間という残業時間の上限規制を超えて労働者を働かせることが可能となります。
これまでは、特別条項を設けることによって、上限なく残業を行わせることが可能となっていましたが、過労死などが社会問題となっていることを受けて、特別条項による残業時間についても法律上の上限規制が設けられることになりました。
具体的な上限規制としては、以下の内容になります。
- 時間外労働が年720時間以内
- 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
- 対象期間(1年)の初日から1か月ごとに区分した各期間に、当該各期間の直前の1、2、3、4または5か月目の期間を加えた期間(複数月)のそれぞれにおいて、時間外労働と休日労働の合計が、1か月平均で80時間以内
- 時間外労働が45時間を超えることができるのは、年6か月が限度
2. 残業時間が上限を超えていたら
残業時間については上記のような法律上の上限規制があります。ご自身の残業時間が法律上の上限を超えている場合には、以下のような対応を検討しましょう。
(1)会社に相談
長時間の残業が常態化すると労働者のワークライフバランスが崩れるだけでなく、健康上の問題も生じる可能性があります。そのため、ご自身の残業時間が法律上の上限を超えている場合には、会社に対して残業時間を減らしてもらえるように要請してみるとよいでしょう。
(2)労働基準監督署に相談
会社に対して相談をしたとしても長時間の残業が改善されない場合には、労働基準監督署に相談をしてみるとよいでしょう。
残業時間の上限規制に違反した場合には、使用者に対して6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることになります。
このような労働基準法違反の疑いが生じた場合には、相談を受けた労働基準監督署は、会社に対して立ち入り調査などを行います。その結果、違反の事実が認められた場合には、会社に対して是正勧告がなされることになります。
労働基準監督署による是正勧告や労働基準法違反による罰則が適用された場合には、会社の運営にも支障が出ることがありますので、残業時間の改善に応じてくれる可能性が高くなります。
(3)弁護士に相談
長時間の残業が行われている場合には、残業時間に応じた適切な残業代が支払われていないことも多くあります。そのため、弁護士に相談をするということも長時間の残業が行われている場合には、有効な手段となります。
弁護士に相談をすることによって、未払いの残業代が生じているかどうかを調査してもらうことができます。そして、調査の結果、未払いの残業代が生じている場合には、会社に対して未払いの残業代を請求することになります。会社に対する請求についても弁護士が労働者に代わって行ってくれますので、労働者の負担はほとんどありません。
未払いの残業代を請求することによって、違法な残業時間の実態が改善されることもありますので、その点でも残業代請求にはメリットがあります。
- こちらに掲載されている情報は、2023年02月14日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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