- (更新:2024年04月23日)
- 労働問題
労働問題を弁護士相談すべき理由と、相談のときに準備しておくもの
ハラスメント、給料・残業代の未払い、不当解雇などの労働問題を解決するためには、弁護士に相談した方がよいケースが少なくありません。
本コラムでは、労働問題を弁護士に相談するメリットと、弁護士相談をスムーズに進めるために事前に準備しておきたいことについて解説します。
1. 労働問題を弁護士に相談するメリット
給料未払いや不当解雇などの労働問題に悩んでいても、労働関係法令や各種制度など難しいことが多く、どのような対応したらよいか分からないという方もいらっしゃるでしょう。
労働問題の相手方は、多くの場合会社(使用者)です。使用者側は組織であることも多く、そのような場合には、ノウハウがある何人もの人たちを相手にしなければなりません。不十分な知識のままでは交渉を誤り、未払い給料を回収できなかったり、不当解雇の無効を主張できなかったりすることもありえます。
したがって、労働問題への対応は法的な知見はもちろんのこと、慎重な交渉や対応が必要なのです。そのためには、弁護士にサポートを求めることが重要です。
労働問題全般について、会社との交渉や裁判による解決実績が豊富な弁護士であれば、各種の法律に関するアドバイスはもちろんのこと、代理人として会社と交渉などを行い、よい方向の解決に導いてくれることが期待できます。多勢に無勢の状況の中で、弁護士は心強いパートナーとなりうるのです。
なお、労働問題は社会保険労務士にも相談ができますが、法定代理人として使用者側と交渉できるのは弁護士だけです。労働基準監督署でも相談ができアドバイスをしてくれますが、代理人として未払い賃金や損害賠償金を請求してくれるわけではないことを知っておきましょう。
2. 弁護士相談の前に準備・確認しておくこと
労働問題を弁護士に相談する場合、相談内容を上手く伝えられるか不安になることもあるでしょう。初回の法律相談を無料で承っている法律事務所もありますが、ほとんどの場合時間が設けられているため、的確なアドバイスを得るためにも相談前に準備をしておくことが大切です。
(1)証拠を集める
ご自身に何らかの労働問題が起きていると気づいた段階で、証拠の収集を始めましょう。証拠は、会社との交渉の場はもちろんのこと、裁判に発展したときに重要かつ必要不可欠なものになります。
証拠として挙げられるものは、以下のとおりです。
①ハラスメントの場合
- LINE
- メール
- 日々の記録
- 録音
②残業代未払いの場合
- タイムカード
- パソコンのログ記録
- 会社のパソコンから送信したEメール
- 業務日報
- 出勤簿
もし、労働問題が原因で心身を病んでしまった場合は、医師の診断書も有力な証拠となりえます。
また、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと規定されており(労働基準法第15条第1項および労働基準法施行規則第5条)、以下が記載されたものは原則として書面で交付されます。
- 契約期間に関すること
- 期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること
- 就業場所、従事する業務に関すること
- 始業・就業時刻、休憩、休日等に関すること
- 賃金の決定方法、支払時期等に関すること
- 退職に関すること(解雇の事由を含む)
これらの資料は、労働問題全般において会社と交渉する際に重要な証拠となります。可能な範囲で用意しておきましょう。
弁護士に相談をする時点で十分な証拠がそろっていなくても、証拠としてふさわしいものや証拠の集め方を弁護士がアドバイスしてくれます。そのため、労働問題に悩んでいる場合には、無料相談を利用して早い段階で弁護士に相談をすることをおすすめします。
(2)時効を迎えていないか確認する
時効は、未払い賃金があるときに問題となります。使用者に対して労働者が未払い賃金を請求する権利は、賃金支払日の翌日から3年で時効となり消滅してしまいます(ただし、2020年3月31日までに発生した残業代については2年)。
もし、使用者との交渉が訴訟などで長期化しそうな場合には、本来、支払いを受けることができる賃金に時効が成立してしまうことが考えられます。したがって、直ちに時効を中断させなくてはなりません(これを「完成猶予」といいます)。
時効の完成猶予が認められるためには、使用者に対して未払い賃金の支払いを求めるため、内容証明郵便で「催告」を送ります。そして、使用者に内容証明郵便が送達されてから6か月以内に訴訟を提起する必要があります。
(3)解雇の理由などを確認する
労働契約法第16条の規定により、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、無効となります。
使用者から解雇を言い渡されたときは、使用者に対して労働基準法第22条で規定する「解雇理由証明書」の交付を請求しましょう。解雇理由証明書は、解雇の有効性を争う際の重要な証拠となります。
(4)出来事を時系列でまとめておく
弁護士に相談をする前には、相談内容に関する出来事を、問題の発生から現在まで時系列でメモにまとめておきましょう。時系列に沿って話をすることで、弁護士に事態を正確に把握してもらい、適切なアドバイスをしてもらうことができます。
(5)弁護士費用を確認する
弁護士に相談したときにかかる相談料については、ご相談内容によって初回は無料としている法律事務所は少なくありません。しかし、実際に依頼をすると、弁護士報酬が必要となります。弁護士報酬の内訳は、相談料、着手金、実費、および使用者から支払いを受けた未払い賃金や損害賠償額に対する成功報酬です。
弁護士費用は、どの弁護士へ依頼するかのひとつの判断基準となりますので、事前にホームページなどで確認しておくようにしましょう。
労働問題の相談において事前にご用意いただきたいものは事案によって異なります。詳細は弁護士にご確認ください。
- こちらに掲載されている情報は、2024年04月23日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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