親が介護施設で怪我をした! 施設の責任を問うにはどうする?
自宅での介護に不安があるなどの理由で介護施設を利用している方もいると思います。しかし、介護施設でも転倒・転落などにより怪我をしてしまうことがあります。
このような介護施設で怪我が発生した場合、介護施設にはどのような責任が生じるのでしょうか。
また、介護施設の責任を問うためにはどのような対応が必要になるのでしょう。
本コラムでは、親が介護施設で怪我をした場合における介護施設の責任と法的責任追及の方法について解説します。
1. 介護施設ではどのような事故が起こっている?
介護施設ではどのような事故が起きているのでしょうか。以下では、介護施設で起こりやすい事故とそれに関する介護施設の責任について説明します。
(1)介護施設で起こりやすい事故とは?
介護施設で起こりやすい事故としては、主に以下の2つが挙げられます。
①転倒・転落
介護施設でもっとも多い事故が転倒または転落事故です。ベッドや車いすからの転落や歩行時の転倒などにより、骨折をしてしまうとその後歩行が困難になり状態が悪化するケースもあります。また、転倒・転落時に頭部を強打すると、死亡という最悪の結果が生じることもあります。
②誤嚥・誤飲
高齢者は、食べ物をそしゃくする力や飲み込む力が衰えているため、食事中に誤嚥(ごえん)や誤飲をして、呼吸困難に陥ることがあります。誤嚥・誤飲も重大な障害が残ってしまったり、最悪のケースでは死亡という結果に至ったりすることもあります。
(2)介護施設へ法的責任を問うことができるケース
介護施設は、利用者に対して安全配慮義務を負っていますので、介護施設で怪我をした場合、介護施設に対して法的責任を問うことができる可能性があります。
安全配慮義務とは、介護事業者が施設の利用者の生命・身体・財産を侵害することなく安全にサービスを提供する義務をいいます。このような義務に違反した場合には、安全配慮義務違反を理由として損害賠償請求をすることが可能です。介護施設に対して法的責任を問うことができるケースとしては、以下のケースが考えられます。
- 転倒のリスクの高い利用者に対して付き添い介助の職員を付けず、1人で行動させた結果、転倒して怪我をしてしまったケース
- 食材を小さく切るよう指示があったにもかかわらず、それを見落として調理をした結果、利用者が誤嚥により窒息してしまったケース
2. 親が介護施設で怪我をしたときにすべきこととは?
親が介護施設で怪我をしてしまった場合、以下のような対応を検討しましょう。
(1)介護施設から詳しい説明を受ける
親が介護施設で怪我をした場合、まずは介護施設から詳しい説明を受ける必要があります。
介護施設で事故が発生した場合、施設側は、「介護事故報告書」を作成して、都道府県または市区町村に報告する義務があります。
介護事故報告書には、事故の原因や経緯、再発防止策などがまとめられていますので、介護施設から説明を受ける際には、介護事故報告書の開示を求めるようにしましょう。
また、介護施設から説明を受ける際には、会話内容を録音しておくことで、責任追及の際の証拠として利用することができます。後日「言った言わない」の水掛け論になることを防ぐためにもできる限り会話は録音しておいた方がよいでしょう。
(2)示談交渉(話し合い)をする
介護施設との話し合いの結果、施設側が事故の責任を認め、賠償額などの支払いに応じてくれる場合には、示談書や合意書を作成して、合意内容を明確にしておくことが大切です。
なお、介護施設との話し合いで解決できない場合には、調停の申立てを行い、調停でも解決が難しい場合には最終的に訴訟を提起する必要があります。調停の利用は、義務ではありませんが、話し合いによる解決の余地がある場合には、訴訟よりも早期解決が期待できますので、調停を利用してみてもよいでしょう。
(3)訴訟を提起し損害賠償を請求する
訴訟を提起して施設側の責任を追及していく場合には、被害者側で施設側に安全配慮義務違反があったことを立証していかなければなりません。介護事故では、安全配慮義務違反が主な争点になりますので、訴訟提起前にしっかりと証拠を集めておくことが大切です。
なお、介護施設で怪我をした場合には、主に以下のような損害を請求することができます。
- 治療費
- 慰謝料(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料)
- 逸失利益(後遺障害逸失利益、死亡逸失利益)
- 将来介護費
3. 親が介護事故に遭った場合は弁護士に相談を
親が介護施設で怪我をしたとしても、それだけで施設側の責任を追及できるわけではありません。介護事故を理由に施設側の法的責任を追及するためには、施設側に安全配慮義務違反があることが必要で、それを証拠によって立証していかなければなりません。
また、施設側に損害賠償請求をする場合、専門的な手続きが必要になる上に、時間と手間もかかります。負担を軽減し、適切な賠償を得るためにもまずは弁護士に相談することをおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2024年11月15日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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