この手術は失敗したのでは? 医療ミスはどこに相談できる?
自分が患者になった時、手術の後に思うような経過をたどらないと、医療ミスを疑う気持ちになることがあります。手術を受けるのは勇気がいることですし、いろいろ考えて決断されたでしょう。しかし、実際に手術を受けているとき、患者自身は何が起きているのかわかりません。手術が終わってから納得がいかない場合には、どこに相談すればよいのでしょうか。
1. 医療事故かもと思ったら
(1)医療事故を疑うときに患者ができること
手術について、医療ミスではないかと思った場合は、まず記録を取りましょう。ポイントは次のような点です。
- 病気と手術に関する医師からの説明の内容
- 手術による副作用やリスクの説明内容
- 麻酔や投薬に関するリスクや説明
- 医療事故ではないかと思った時間とそのきっかけ
- 手術前のスタッフの様子
- 手術後の症状の推移
- 医師以外の医療スタッフ(看護師や技師など)の態度ややりとり
(2)医師に説明を求める
医療事故を疑ったら、医師にも率直に説明を求めましょう。なお、医師との会話では、できるだけ冷静に、落ち着いて話を聞くことが大切です。また、自分が聞きたいこと、確認したいことを先にまとめておいて、整理したうえで聞くとよいでしょう。
わかりにくい専門用語などが出てきたら、その都度説明を求めて構いません。患者の立場では、医師に聞きにくい心理状況になりがちです。しかし、わからないことをあいまいにしたままにせず、率直に聞いてみることが大事です。
(3)カルテを取り寄せる
医療事故においてもっとも重要な証拠は、なんといってもカルテです。患者には、自分のカルテを開示してもらう権利があります。カルテ開示の手続きは病院によって決まっていますので、所定の手続きを取ってできるだけ早くカルテを取得しましょう。
なお、医師側に医療ミスを激しく主張すると、病院側が訴訟などを恐れて、カルテを改ざんしたり不都合な記録を抹消したりする可能性もあります。このような事態を避けるためには、できるだけ早い段階でカルテを取得すること、そして病院にけんか腰で掛け合わず、冷静に対応することが重要です。
2. どこに相談できる?
では、実際に医療ミスではないかと不安になった場合、どこに相談すればよいのでしょうか。
(1)各地方自治体の医療安全相談窓口
お住まいの地域によっては、市役所などの地方自治体が、医療事故に関する相談を受け付けています。医療機関と患者のトラブルについて、患者が自分で解決するための助言を得られる窓口です。
トラブルの解決は患者自身が行うという前提ですので、医療機関への調査や交渉を依頼することはできません。また、医療行為の正当性や、手術の成功・失敗の判断、医師の過失の有無など、重要な点の判断をもらうこともできません。
(2)医療事故情報センター
医療事故情報センターとは、医療事故の再発の防止、医療被害者の救済等の観点から、医療過誤裁判を患者側で担当する弁護士のためネットワークの場として設立された団体です。日本全国から医療事故事件を担当する弁護士が加入し、情報を共有するなどして知見を高めています。
医療事故情報センターは、患者側からの直接の相談は受けていません。しかしセンターのホームページ(HP)には、全国各地で医療事故の経験豊富な弁護士が所属する医療問題研究会の連絡先がまとめて掲載されています。ご自身のお住まいの近くで相談先を探すのに役立つでしょう。
(3)各地域の弁護士会
弁護士会でも、医療問題について相談できる窓口を設置しているところがあります。お住まいの地域の弁護士会に問い合わせて、医療事故について相談したい旨を伝えると、窓口につないでもらえる場合があります。
(4)医療過誤に取り組む法律事務所
上記の方法はいずれも、自分で弁護士を選ぶことができません。実際に弁護士に相談できるまでに時間がかかる場合もあります。また、相談を割り当てられた弁護士と自分とが合わないということもあるかもしれません。
最近は、ホームページ上で、弁護士の専門性を検索できるようになっています。医療過誤事件に取り組んでおり、信頼できる弁護士を探して、問い合わせページや電話などで問い合わせをしてみてもいいでしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2021年11月09日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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