- (更新:2021年07月15日)
- 医療・介護問題
美容整形したのにイメージと違う……医療ミスに患者はどう対応できる?
近年流行の美容整形手術にも、常に医療ミス(事故)のリスクは伴います。医師の施術ミスや説明義務違反によって、美容整形の結果が期待とは異なるものになってしまった場合には、早めに弁護士に相談して医療機関に損害賠償請求など検討するべきでしょう。
この記事では、美容整形に関する医療ミスの事例と、患者側としての対処法をご紹介します。
1. 美容整形に関する医療ミスの事例
まずは過去の裁判例から、美容整形に関する医療ミスの2つの事案について、どのような判決が言い渡されたのかを紹介します。
(1)豊胸手術のリスク説明が十分行われなかった
東京地裁平成17年11月24日判決の事案では、豊胸手術を受けた女性が、医療機関に対して胸部への自家脂肪注入のために同人の臀部から過剰な脂肪吸引をしたこと、生理食塩水バックの除去をしたことによる手技上の過失、自家脂肪注入による豊胸術の効果についての説明義務違反があったとして損害賠償を求めました。
原告の女性は、被告の医療機関とは別のクリニックにおける豊胸手術を過去に受けており、生理食塩水バッグが胸部に挿入された状態でした。
原告の女性としては、すでに胸部にある生理食塩水バッグをそのままにして、乳腺下に脂肪を注入することで、乳房の下垂を改善することを意図していました。
ところが、被告医療機関側から施術に関する十分な説明が行われず、2回目の豊胸手術の施術中に、胸部の生理食塩水バッグが抜去され、女性が期待する施術結果は得られませんでした。また、臀部から胸部に注入するための脂肪を吸引したことで、臀部等の皮膚面に凹凸が生じました。
東京地裁は、担当医師らの手技上の過失は認めなかったものの原告に対する説明義務違反を認定し、手術費用・慰謝料・通院交通費・弁護士費用を併せて、総額約357万円の損害賠償を命じました。
(2)医療脱毛時のミスにより色素沈着が残った
東京地裁平成15年11月27日判決の事案では、レーザーによる医療脱毛を受けた男性が、医療機関に対して損害賠償を求めました。
原告の主張は、レーザー脱毛の施術後に、あごや口の周辺に熱傷と見られる水泡や、毛膿炎と見られるかさぶたが生じ、その後口の周辺に比較的大きな色素沈着が残ったことについて、医療機関側の過失を主張するものでした。さらに、原告は上記レーザー脱毛によって精神疾患が生じたとして治療にかかる費用を請求しました。
東京地裁は、原告の主張を一部認めて、医療機関側によるレーザー照射後の冷却について過失があったことを認定し、慰謝料・弁護士費用を併せて、総額15万円の損害賠償を命じました。
2. 医療ミスを疑う場合に患者ができることは?
美容整形によって思い通りの結果が得られなかったり、手術の副作用によって身体に不具合が生じたりした場合、患者の方は大きな怒り・悲しみを感じていらっしゃることでしょう。
弁護士のサポートをしっかり得て、医療機関側に対する損害賠償請求を検討されることをおすすめします。
(1)美容整形時の医療ミスについて賠償請求できる損害とは
美容整形に関する医療ミスに関して、医療機関側に賠償請求ができる損害項目は、以下のとおりです。
①手術費用
医療ミスが認定される場合、病院・医師は契約に基づいて提供すべき手術を提供しなかったことになりますので、手術費用の返金が認められます。
②慰謝料
医療ミスによって被った精神的損害に対する補償が認められます。
③後遺症に関する治療費・通院交通費
医療ミスによって後遺症が残った場合、その治療にかかった費用を全般的に請求できます。
④弁護士費用
医療ミスに関して病院側の責任を追及するために弁護士に依頼した場合不法行為に基づく損害賠償であれば、弁護士費用相当額を補償してもらえます。
(2)弁護士に相談するとスムーズ
上記の各損害について医療機関側に請求する際には、弁護士に相談するとスムーズです。
弁護士は、病院・医師側の過失と、相談者・依頼者が被った損害の内容を、証拠を用いて適切に立証します。
法令や裁判例の内容を踏まえた主張・立証活動を行うことによって、医療過誤訴訟において依頼者が十分な補償を得られる可能性が高まります。
また、訴訟などの専門的な手続きを進めていくのは大きな負担になり得ますが、弁護士に依頼をすれば、各種手続きの進行もすべて任せられるので安心です。
美容整形に関して医療ミスの疑いを持った場合は、一度弁護士の法律相談を検討してみてください。
- こちらに掲載されている情報は、2021年07月15日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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