解決事例
遺産相続
行方不明の相続人がいたため、弁護士が不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申立てて遺産分割協議を進め、スムーズに協議を成立させた事案
相談前
ご相談者Z.Tさんの弟の相続が発生したところ、異母兄弟やその子(ご相談者から見て甥姪)が多数おり、法定相続人が10人以上いることに加え、その中に行方不明者がおり、どのように遺産分割すればよいか分からなかったため、当事務所へご相談に来られました。
行方不明の相続人について、家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申立て、裁判所から選任された不在者財産管理人と遺産分割協議を行いました。
不在者財産管理制度は、家庭裁判所の監督の下で不在者の財産を管理する制度です。財産を管理する不在者財産管理人は、利害関係人等の申立てに基づき家庭裁判所により選任され、不在者の財産の管理を行います。
不在者財産管理人には、親族又は弁護士、司法書士などの第三者が選任されます。
相談後
受任後、行方不明の相続人に関して、事情をよく知る親族に聞き取りを行いました。その結果、長らく自宅アパートに戻っておらず、勤務先にも出勤していないこと、既に警察へ行方不明の届出をしているが見つかっていないことが分かりました。
親族の協力を得て、裁判所に行方不明となっている事情を説明した結果、無事に不在者財産管理人を選任してもらうことができました。
村田 羊成 弁護士からのコメント
相続人が多数いましたが、法定相続分に基づいて遺産分割案を作成したところ、全ての相続人から同意を得ることができました。
また、不在者財産管理人からも分割内容に同意を得られたため、不在者財産管理人選任後は、スムーズに遺産分割協議を成立させることができました。
なお、不在者財産管理人は不在者の利益を守るため、基本的に法定相続分を下回る遺産分割協議には応じられず、また、裁判所の許可がないと遺産分割に応じられませんが、本件では、不在者財産管理人や裁判所から反対されることなく進められました。