解決事例
労働問題
未払い残業代と始業後の待機時間を労働時間に含めるよう弁護士が交渉を行い、手待ち時間を含めた労働時間分の賃金の支払いを受けることで合意した事案
相談前
ご依頼者のG.Sさんはドライバーで、主に夜間にトラックで貨物を運搬する長距離輸送の業務を行っていました。ご相談時は退職から1年ほど経っていましたが、少しでも残業代を回収できればというお気持ちでご依頼いただきました。
相談後
退職から1年ほど経過してからのご依頼だったため、未払い残業代が時効(ご相談当時は時効期間2年。現在は法改正により3年。)により消滅しつつある状況でした。そのため、まずは時効中断のため、相手方である会社に内容証明郵便で未払い残業代の支払いを請求するとともに、資料開示を求めました。
内容証明郵便送付後、相手方にも代理人弁護士が就任し、業務日報とタコグラフが開示されました。相手方は当初、タコグラフからわかるトラック運転開始時刻を始業時刻としていました。しかし、実際には、出発前に点呼がなされ、点呼後にご依頼者のG.Sさんは、トラック車内で待機を行う必要があったことから、タコグラフ上は動きのない待機時間も労働時間に当たるとして交渉を行いました。最終的には点呼後の待機時間も労働時間に組み込んでの合意を行うことができました。
三浦 知草 弁護士からのコメント
本事例では、相手方が当初から資料開示やある程度の支払いに応じる姿勢を見せていたため、合意による解決を見込んで金額交渉を行い、最終的には手待ち時間を含めた労働時間分の賃金の支払いを受けることで合意できました。
また、ご依頼後すぐに内容証明郵便を発送して時効による請求権の消滅を最小限にとどめることができましたが、早期に請求を行うことで、より多くの残業代が時効にかからずに請求できるので、残業代請求をお考えの方は、退職後すぐや退職予定が決定した段階での弁護士へのご相談をおすすめします。
業務時間がわかる証拠が乏しいなか、ご依頼者が毎日の詳細な勤務記録をつけていた書類をもとに会社と残業代請求の交渉を行い、和解した事案
相談前
ご依頼者のK.Sさんは運送ドライバーで、深夜業務を含むかなり長時間の運送業務を行っていました。
業務が立て込んでいるときには、夜勤明けにそのまま日勤での配送業務にあたるときもあり、配送中にまとまった休憩時間をとることもままならない状態でした。
K.Sさんの手元には業務日報やタコグラフなど、労働時間がわかる証拠が全くない状況で、会社側もそれらの資料を開示してこない状況でした。
しかし、K.Sさんは、日報などを書く際の備忘のため、1日ごとに配送先の場所と、各行先への到着時間を記載したメモを毎日作成していました。
このメモが、単に出退勤時間を書いただけにとどまらない詳細なものだったため、メモをもとに残業代を算定して、それなりの金額を獲得できるという見込みが立ち、交渉に入りました。
相談後
受任後、すぐに相手方に内容証明を送付し、資料の開示を促しましたが、業務時間のわかる日報などは開示されませんでした。
そのため、ご依頼者のK.Sさんのメモと聞き取りに基づいて、2年分の残業代を算出し、請求を行いました。
相手方からは、「メモの内容は予定であり、実際の労働時間はもっと短いはずだ。各種の手当の支払いで残業代は既払いになっているので、未払い賃金は生じていないはずだ。」といった反論がありました。しかし、当方から、会社指示でメモどおり長時間の労働を行っていたことなどを主張し、交渉を行いました。
三浦 知草 弁護士からのコメント
交渉当初、相手方はゼロ回答でしたが、最終的に300万円を支払うという和解案を示してきたため、審判や訴訟は行わず、和解の合意をしました。
また、相手方からは、就業中にK.Sさんに不正行為があった等の主張も出ていましたが、「K.Sさんと相手方との一切の問題を解決する」清算条項を入れた合意を行いました。