「2度と接触もしたくない」DV男や毒親に居場所知られず、生活する方法…警察へ依頼すると有効な「ある申し出」も
もしも体を壊して働けなくなったら、リタイア後の蓄えが尽きたら、あるいは親の介護が必要になったら…。高齢化は健康寿命の伸びが伴うなら決して悲観することはない。だが、単に加齢で衰弱していく人が増えるのだとすれば、不安しかないトレンドだ。
本連載では、貧困問題に詳しい作家の雨宮処凛氏が、将来への不安から、自らの知識を補完も兼ね、お金や介護、死などについて、各専門家へ取材。弱者目線でかき集めた情報を、「もしも」に備え、厳選して共有する。
知は力なり。こんな仕組み・制度があったのか…。知るほどに、孤独や老いによる不安が和らいでいくはずだ。
第1回のテーマは、「DV男や毒親に居場所がバレたくない」。不幸にもパートナーに「問題あり」だった場合の対処法を紹介する。(全3回)
※ この記事は雨宮処凛さんの書籍『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社《光文社新書》)より一部抜粋・構成しています。
まず相談すべきところは?
独り身でも恋人がいる人は多いだろう。いない場合も、これから先できる可能性がある。そんな時、相手がDV男だったら――。
「配偶者暴力相談支援センターに相談してください。電話やメールで相談できる上、性別は問わないので男性も相談できます。暴力から逃れるための住まいや経済的な支援制度の利用などについてサポートを受けることができます」(社会福祉士・横山北斗氏)
でも、「配偶者」とついているから恋人は対象にならないのでは?
「名称が悪いですよね。でも、パートナーでも大丈夫です。24時間受付で、DVについて相談できます。全国共通ダイヤル『#8008(ハレレバ)』に電話をかけると、最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながります」(同前)
それ以外にも、国が行っている相談窓口には「DV相談+(プラス)」がある。24時間、電話、メール、チャットで連絡をすることができて、電話番号は 0120‐279‐889。
今すぐにでもDVから逃げたいという場合は?
さて、DVから今すぐ逃げたいという場合はどうなるのだろう。
「緊急の場合、一時保護施設 (シェルター)や婦人保護施設、 母子生活支援施設に入ることもできます。一時保護施設はDV被害に遭った女性が身を守ることができる一時的な施設で、これから先の生活に関する相談をすることができます。婦人保護施設、母子生活支援施設はDVやストーカー被害、経済的な困りごとによってサポートが必要な場合に利用できる施設です」(同前)
ちなみにこれらの施設が想定しているのは被害を受けた女性とその子ども。
施設では携帯電話が使えないことも
さて、そうして婦人保護施設などに入ったら、携帯が使えなくなるケースもあることは覚えておいてほしい。
「どこにその施設があるかバレてはいけないとか、夫・彼氏が連れ戻しに来る可能性があるということで、携帯を施設がお預かりするということはあります。ただ、今は少し変わってきているとも聞いています」(同前)
このようにして命からがらDV男から逃げ、支援を受けて引っ越したとしても、結婚していたら、住民票や戸籍の住所を見ることができる。そのために住民票が異動できなかったり、異動したら新住所が夫にバレたなんて話は枚挙にいとまがない。 これについては「毒親」から逃げる場合も同様だ。親子関係であれば、やはり住民票や戸籍を見られるので同様のことが起きてしまう。
「このようなことに対しては、戸籍や住民票の閲覧交付を制限する措置ができます。DVや虐待被害者の申出により、役所が被害者の住民票や戸籍の閲覧に関して、加害者およびその代理人からの請求を受け付けない対応のことです」(同前)
これを「支援措置」という。過去は「閲覧制限」と言っていた。役所の住民課で「支援措置をかけたいです」と言えばいい。伝わらなかったら、家族に住民票を見られない手続きをしたいと言おう。
「ただ、この措置の期間は原則として申出から1年間なので、延長が必要になれば、期間終了前に延長の申出を行う必要があります」(同前)
メンド臭いけど、背に腹は代えられない。
警察に「捜索願を受理しないで」という申し出も
「もうひとつできることとして、行方不明者の不受理措置というものがあります」(同前)
初めて聞くキーワードだ。
「DVや虐待加害者が捜索願を出すことがあると思うんですけど、警察にそれを受理しないでくださいという申出をしておくことです」(同前) そうすれば、警察が動くこともない。いざという時のために、ぜひ覚えておきたいものである。
また、DVやストーカー、児童虐待に関係する法律相談が無料または安く受けられる制度もある。それは「DV等被害者法律相談援助制度」。窓口は法テラスだ。
- この記事は、書籍発刊時点の情報や法律に基づいて執筆しております。
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