ペットより先に絶命したら…“その後の心配”に対する「不安解消の方法」と気になるコスト
もしも体を壊して働けなくなったら、リタイア後の蓄えが尽きたら、あるいは親の介護が必要になったら…。高齢化は健康寿命の伸びが伴うなら決して悲観することはない。だが、単に加齢で衰弱していく人が増えるのだとすれば、不安しかないトレンドだ。
本連載では、貧困問題に詳しい作家の雨宮処凛氏が、将来への不安から、自らの知識を補完も兼ね、お金や介護、死などについて、各専門家へ取材。弱者目線でかき集めた情報を、「もしも」に備え、厳選して共有する。
知は力なり。こんな仕組み・制度があったのか…。知るほどに、孤独や老いによる不安が和らいでいくはずだ。
第3回のテーマは、「死んだ後のペットの世話はどうなる?」。家族のようにかわいがっていたペットよりも先立ってしまった場合の施設や対処法を紹介する。(全3回)
※ この記事は雨宮処凛さんの書籍『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社《光文社新書》)より一部抜粋・構成しています。
人はまだしも、ペットより先に自分が死んだあと誰が世話を…
自分が亡きあとのペットはどうなる?
これまで2匹の猫を看取り、今、一匹と暮らしている私にとって、一番切実なのが「自分に何かあった時のペット」のことだ。
世の中には「ペット信託」というものもあるようで、信頼できる人や業者に託すそうだが、例えば犬で余命10年、月の飼育費が2万円だとすると、240万円くらいかかるようだ(業者により価格には幅がある)。
シニアライフ特化型コンシェルジュサービスを提供するLMNでは、ペットに関するサービスも始めるところだという。
「自分が亡くなったあと、ペットをどうするかというのは切実な問題ですよね。よくあるのは何百万もかかるペット信託なんですけど、私たちは30万円だけ預からせてもらいます。それでその人が亡くなった場合は私たちがペットを一回預かって、次の引き渡し先に送ります」(一般社団法人LMN・遠藤英樹氏)
引き渡し先は指定できるのか
それはその人が指定した引き渡し先だろうか
「それでもいいですし、里親さんのような形で探すこともできます。今までのペット信託って飼育代も信託から渡すという形なんですが、ペットを飼いたい人に飼ってもらえたら飼育費を渡す必要もありません。私たちは、5万円を支度金として次の飼い主に渡します。その飼い主は、高齢者でも大丈夫です。高齢者の方が今、ペットを飼えない状況なので」(同前)
確かに保護猫、保護犬の場合、高齢で一人暮らしの人はまず譲渡先には選ばれない。高齢でなくとも、一人暮らしというだけでNGなところもある。かと言って、ペットブームの中、ペットショップで売られている犬や猫の値段は高騰していてとても庶民に手が出るような価格ではない。このような形で高齢の方でもペットを飼えるというのは、ある意味どちらにとってもいいことだ。しかも、その高齢者が入院したり施設に入ったりしても、またLMNが次の行き先を確保してくれるのだ。
「やはり高齢の方から、飼いたいけど自分が死んだらどうするのかという相談が入り始めたんですよね。そこで、私たちがペットの身元引受もする。例えば飼い主さんが入院する時に1カ月預かるというサービスもやります。そうなると預託金が減ってしまうのでまた補充してもらう。高齢の方にとって、ペットを飼うと楽しみもできるし、犬だったら散歩に連れていくので知り合いもできる。孤独死対策としてもいいと思います」(同前)
始まったばかりのサービスなので、まずは見守っていきたいところだ。
また、ペット信託などを使わずとも、家族や親しい人が引き取ってくれるという場合、それがもっとも安心だろう。
- この記事は、書籍発刊時点の情報や法律に基づいて執筆しております。
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