“フジモンの失敗”に学ぶ交通事故を起こした時に絶対すべき3つの対処…「ひき逃げ」「当て逃げ」は絶対NG
昨年10月4日、渋谷区内の交差点で乗用車を運転中に、女性が運転する乗用車に接触し、そのまま逃走する「当て逃げ事故」を起こしていた「FUJIWARA」のフジモンこと藤本敏史さん(53)が、2月より活動を再開させている。
所属事務所の吉本興業の公式ホームページでは、「藤本は2023年10月に自家用車で接触事故を起こし活動を自粛しておりましたが、FUJIWARAのYouTubeチャンネルにて活動を再開させていただきます」、などとつづられていた。
「当たったことに気がつかなかった」
事故から5か月あまりでの復帰。藤本さんは、昨年11月14日に道路交通法違反(事故不申告など)容疑で東京地検に書類送検され、その後、不起訴になっていた。
さらに藤本さんは、3月23日、「さんまのお笑い向上委員会」(フジテレビ系)に出演し、地上波テレビに復帰。番組冒頭、藤本氏は、「本当に申し訳ございませんでした」と謝罪し、「『逃走中』に出ても絶対逃げません。もし呼ばれたとしても、始まってすぐ自首します」と自虐的なギャグを飛ばしていた。
夕刊紙芸能担当記者はこう話す。
「藤本は、当初、『当たったことに気がつかなかった』などと弁明していましたが、これは苦しい言い訳です。ネット上では、あまりに早い復帰に〝本当に反省しているのか〟などと疑問の声もあがっていました。芸能界でも薬物や不倫、金銭トラブルなどのスキャンダルに比べて、人身事故でない交通事故は、復帰しやすい傾向は確かにあります。しかし、フジモンのイメージダウンは計り知れません」(夕刊紙芸能担当記者)
近年の芸能人の交通事故を巡っては、ノンスタイルの井上裕介さん(44)は、2016年12月に、世田谷区内でタクシーに当て逃げ事故を起こした(翌年3月に不起訴)。また、俳優の伊藤健太郎さん(26)は、20年10月、渋谷区の路上でバイクと衝突、「気持ちが動転してパニックになった」などとして、そのまま立ち去ったことで、ひき逃げ容疑で逮捕された(翌年3月に不起訴)。
『道路交通法違反』であれば刑事事件になる可能性も
他の犯罪と違って、われわれ、一般人にとっても、悪意はなくとも、ちょっとした不注意で起こしてしまうのが交通事故だ。しかし、ひき逃げや当て逃げとなれば、それが重大な「犯罪」となってしまうリスクがある。交通事故を起こしてしまった場合、即座に対処するべきことは何なのか。さる弁護士事務所関係者はこう話す。
「まず一般的に、交通事故には物損事故と人身事故がありますが、基本的に〝刑事事件〟になるのは人身事故だけです。しかし物損事故でも、飲酒運転やスピード違反、ひき逃げや当て逃げなどの『道路交通法違反』であれば、刑事事件になる可能性があります。とにかく、第一に大切なことは、事故を起こしたら、〈①逃走などは絶対にせず、すぐに車を止め、即座に警察に連絡すること〉です。さらに誰かをひいてしまい、けが人が出た場合などは、すぐに救急に連絡すべきです」
先のフジモンや伊藤健太郎さんの例のように、「気がつかなかった」「気持ちが動転していた」などと、どんな理由をつけても、現場を離れてしまえば、当て逃げ、ひき逃げの疑いはグッと強まり、逮捕の可能性も高くなる。そもそもドライブレコーダー搭載車が増えている今、逃げ切れるなどとは考えない方が賢明だ。
すぐに停車できない状況であっても、できるだけすみやかに路肩に寄せるなどして、自動車を止めることだ。そして、とにかく、気持ちを落ち着けて、警察に連絡することが大切だ。
「人身事故を起こした場合、自動車運転処罰法により、『過失運転致死傷罪』(7年以下の懲役刑または100万円以下の罰金刑)や、『危険運転致死傷罪』(被害者が負傷した場合には15年以下の懲役刑、被害者が死亡した場合には1年以上の有期懲役刑)が課されます。さらに、道路交通法により、現場から立ち去った場合は、『救護義務違反』(10年以下の懲役または100万円以下の罰金刑)や、物損事故でも当て逃げすると、『報告義務違反』(3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金刑)が課されます」(前出の関係者)
もちろん、飲酒をしていた場合には、道路交通法上の「酒気帯び運転」「酒酔い運転」も課される。近年、飲酒運転で逮捕され、公判請求されて懲役刑となる事例も増加しているというから、注意が必要だ。
「その場から逃げる」は愚の骨頂
芸能界の例でいえば、元「モーニング娘。」の吉澤ひとみさん(38)は、18年9月、中野区の路上で、飲酒運転して赤信号の交差点に進入し、横断歩道を渡っていた2人をはねる事故を起こしてそのまま逃走。ひき逃げ容疑で逮捕、起訴され、懲役2年執行猶予5年と重い判決が言い渡された。吉澤さんは事故後、そのまま芸能界引退を余儀なくされた。前出の弁護士事務所関係者は続ける。
「事故を起こした際には、即座に警察に連絡するのと同時に、〈②できるだけ早く弁護士事務所にも連絡して相談する〉こともおススメします。取り調べに対する適切な対処方法をアドバイスしてもらったりすることで、不必要に不利な供述調書を取られるおそれも低下し、不起訴に持って行きやすいからです。不起訴になれば、刑事裁判による処罰は行われませんので、前科がつくことはありません」(前出の関係者)
さらに、不起訴になるために、〈③できるだけすみやかに相手との示談の可能性を探る〉ことも大切だという。特に相手に重篤なけがを負わせたり、死亡させた場合は、示談は決して容易ではないが、弁護士や加入している保険会社に相談しながら示談の方向を探ることも選択肢のひとつだ。
当て逃げやひき逃げ行為をすれば、相手の心証も悪くなり、示談はより難しくなる。つまり、交通事故を起こした際に、「その場から逃げる」ことは愚の骨頂。そうした行為は、より罪が重くなるだけだということを肝に銘じるべきだろう。
ということで、事故を起こした際には以下の3つが重要だ。
①まずは深呼吸。即座に車を止めて、警察に連絡。被害者がいる場合は、即座に救助にあたる
②できるだけ早く弁護士事務所に相談
③弁護士や保険会社に相談し、すみやかに示談の可能性を探る
ハンドルを握った際にはぜひ、心にとどめておきたい。
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