長谷川岳議員“パワハラ”騒動の余波続く…一部議員団は緊急で要請を実施

小林 英介

小林 英介

長谷川岳議員“パワハラ”騒動の余波続く…一部議員団は緊急で要請を実施
長谷川岳議員オフィシャルサイトより(https://www.hasegawagaku0216.com/)

自民党の長谷川岳参議院議員が、札幌市や北海道の職員に対して威圧的な言動などをしたとして騒動になっている。騒動を受けて札幌市は、長谷川議員とやり取りをする際は全て録音する方針を決めたほか、共産党の議員団は4月17日、実態の解明を求めて北海道側に緊急要請を行った。

「態度が横柄な政治家は長谷川岳さんでしょうか」CAの訴え

「吉さんがYouTube内でおっしゃっていらした『態度が横柄な政治家』の方は、長谷川岳さんでしょうか。非常に高圧的な言い方をされます。到着が遅れることに関しては、鬼の首を取ったような言い方でクレームをされます。長谷川さまは異常な程の剣幕でクレームをおっしゃり、とても政治家とは思えません」(一部略)

すべてはこれがきっかけだった。3月19日、歌手の吉幾三さんが公式YouTubeチャンネルを更新し、2023年5月12日に公開していた動画「私は怒ってます!」の事実確認が取れたとして、「横柄な態度」を取っていた人物が長谷川参議院議員だったと明かした。動画内では、とあるCA(キャビン・アテンダント)が吉さんに宛てた手紙を静止画で公開。なんとその中に「長谷川岳」の名前があったのだ。

「吉幾三チャンネル【公式】」より

動画受けてブログ更新?「その場で発言させていただきました」

長谷川議員は1971年に愛知県で生まれ、94年に北海道大学経済学部を卒業した。在学中には「YOSAKOIソーラン祭り」の実行委員会を発足させている。一部報道では、小学生のときに「スパルタ教育」で知られる戸塚ヨットスクールに入校していたとの話もある。

長谷川議員はその後、自民党北海道参議院選挙区第3支部長に就任し、2010年7月の第22回参議院議員選挙で初当選。14年からは第2次安倍改造内閣・3次安倍内閣で総務大臣政務官、18年には党法務部会長、翌年には総務副大臣を努めるなどしてきた。

騒動を受けてなのか、3月21日、長谷川議員のオフィシャルブログには「本日は航空政策および飛行機の遅延についての考え方を述べたいと思います」と題する記事が掲載されており、

(1)飛行機が遅延した原因は管制の指示ではなく貨物の搬入作業の途中であり、これを航空当局の責任にすりかえ、それを情報として流すのは許されるものではない
(2)飛行機の大幅な出発遅延があった際、「出発準備に時間が生じている」とアナウンスされたが、その理由は搭乗手続きミスであり、その理由を伏せていた
(3)飛行機が「10分ほど遅延する」ことになり、乗客の1人が飛行機を降りることになった。離陸許可を得るには50分近くの時間がかかるはず(実際は1時間近くの遅延)。正しい時間の見立てを伝えることができれば、乗客の予定変更などにも対応できたはず

との意見を主張。「その場で発言させていただきました」としているが、これが冒頭に触れた「異常なほどの剣幕」「高圧的な態度」なのかは定かではない。

「ありがとうも、クソも、メールもない!」、横柄な態度を取るのが国会議員なのか

長谷川議員は、札幌市との会合で「札幌市の連中!!」「ありがとうも、クソも、メールもない!ありがとうもない!結果もない」と威圧的な言葉で挑発。長谷川議員に会うことを目的とした出張では、副知事を含んだ北海道の幹部に23年度で15回もの出張をさせていたこと、予算成立時などに長谷川氏へメールを送るよう伝えていたことも分かっている。

3月28日、長谷川議員のオフィシャルブログには、「報道を受けて」と題した記事がアップされた。その中で、「私の過去の表現方法をめぐる報道がなされ、不徳の致すところ。私の表現方法が時代にそぐわないものであることを痛感した。以後、時代に即した表現方法に変えてまいる」などと釈明した。

長谷川議員のオフィシャルブログより(https://ameblo.jp/hasegawa-gaku/)

本稿記者が長谷川議員の事務所に電話をかけたところ、「本日の営業は終了しました。お名前とご用件をどうぞ」と自動音声が流れている状態だった。自民党道連にも電話をかけたが、「(苦情の)電話を受けることはあるが、ただそれを上に伝えているだけだ」とのみ回答。それ以上の回答はなく、自民党側も神経を使っていると感じたが、国民に対して最低限の説明をする必要はあるのではないか。

「長谷川議員が高圧的な態度を取る」という話は、本稿記者は以前からよく聞いていた。取材で訪問したとある会社では「長谷川議員には困っている」といった困惑の声を聞いたことがある。

当の長谷川議員は「時代に即した表現方法に変えていく」というが、根本はなかなか変えられないもの。横柄な態度で人を萎縮させるのではなく、国会議員として汗をかき、国のために働く。それが国会議員の使命なのではなかろうか。

  • この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。

編集部からのお願い

情報提供をお待ちしております

この記事をシェア