「拾った貝をBBQ」で逮捕!? “密漁”増加、レジャー客の摘発も…「知らなかった」では済まされない“海のルール”

弁護士JP編集部

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「拾った貝をBBQ」で逮捕!? “密漁”増加、レジャー客の摘発も…「知らなかった」では済まされない“海のルール”
“高級食材”である特定水産動植物を採ると逮捕の可能性も…(弁護士JP編集部)

すでに夏日の予報が出ている日もあるほど、今年も暑くなりそうなゴールデンウイーク。レジャーとして磯遊びや潮干狩りなど海に行く人も多いだろう。

磯や海水浴場などによっては、一般の人が簡単に入れるエリアで「アワビ」「ナマコ」など高級食材が見つかることもある。

しかし、これらを許可なく採捕(採取、捕獲すること)した場合は個人でも摘発され、場合によっては逮捕されることもあるため、注意が必要だ。

海水浴客など「漁業者以外」による密漁の実態

水産庁によれば、令和4年の海面における「密漁」の検挙件数は1527件。そのうち「漁業者以外」によるものが1329件に上る。

2020年12月より改正漁業法が施行され、「アワビ」「ナマコ」等の特定水産動植物の許可等に基づかない採捕が禁止された。「3年以下の懲役又は3000万円以下の罰金」が法定刑となるなど、大幅に罰則が強化されたが、密漁による検挙件数は増加。暴力団等による組織的かつ大規模に行われる密漁が摘発される一方、海水浴客等による「個人消費目的」の密漁も摘発されている。

水産庁の担当者によれば、「漁業者以外」による検挙事案では、近年いわゆる“手掴み”による「徒手採捕(としゅさいほ)」や、くま手・磯がねといった「はくは具類」、「釣り具類」を用いて行われる密漁が増加傾向にあるという。

水産庁「密漁の現状について(R6)」より

また、よく採捕されるものとして、水産庁の担当者は“貝類”を挙げ、以下のように説明する。

「徒手採捕が増えているというお話をしましたが、まさに貝類は手で簡単に採れてしまいます。レジャーで海を訪れた人が、密漁の意識のないままに、磯などで採ってしまうということもあると思います」(水産庁担当者)

約6割は「貝」を密漁して検挙されている(水産庁「密漁の現状について(R6)」より)

アサリ、ワカメ…“高級食材”じゃなくてもアウトの可能性

冒頭で「アワビ」「ナマコ」などの“高級食材”である特定水産動植物を採ると逮捕される可能性があると述べたが、実は、アサリやワカメといった身近な水産動植物も勝手に採捕すれば刑罰の対象となる場合がある。

日本のほとんどの沿岸部には、漁業を排他的に営む権利である「漁業権」が設定されている。そのため、漁業者以外が漁業権の対象となっている場所で水産動植物を採捕する行為は、漁業権(または組合員行使権)の侵害に当たり、100万円以下の罰金が科される場合がある。

この罰金も、従来20万円以下だったものが、2020年の改正漁業法の施行時に引き上げられている。政府広報オンラインでは、こうした罰則強化の背景について「アワビやナマコなどの高級食材を狙った組織的な密漁だけでなく、個人の消費を目的としたレジャー感覚での密漁も増加していることから」と説明している。

「略式命令」「有罪判決」の事例も

昨年4月に千葉県の海岸で、アワビ、トコブシ、ウニを密漁した男性に対し、館山簡易裁判所は今年1月、罰金20万円の略式命令を下した。また、昨年12月に北海道でナマコを密漁したグループの主犯格の被告に対し、函館地方裁判所は今年3月、懲役2年執行猶予4年、罰金250万円の有罪判決を言い渡した。

逮捕されるか、されたとして起訴されるか、またその後どのような判決が下されるかは、個別の事案の悪質性等によって異なる。しかし、法改正されてもなお検挙件数が減らない現状で、取り締まりの目が緩むことは考えにくく、「レジャー密漁」による逮捕は今後も増えることが予想される。

水産庁の担当者は、レジャーで海に遊びに行く人に向け、次のように注意を促した。

「お休みのシーズンでは、海辺で『そこに貝がいたから採ってバーベキューしようかな』など気軽な気持ちから逮捕に至ってしまうケースもあると考えられます。

魚や貝、海藻の採捕には、漁業権の他にも漁業調整規則など都道府県ごとに細部のルールが定められています。磯遊びや潮干狩り、釣り等を楽しんでいただく前には、都道府県のホームページ等で都道府県ごとのルールをよく確認してから海でのレジャーを楽しんでいただければと思います」(水産庁担当者)

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