要注意!「割増手当て」つかない「休み」もある…2種類の休日を理解していないと、休日出勤で思わぬ不利益も
ゴールデンウィーク(GW)に突入した。前半の3連休は終わったが、明日3日からは後半がスタートする。そんな中、「GWこそ稼ぎ時」と仕事でびっしり、あるいは休日出勤を頼まれてしまったという人もいるだろう。こうした場合、例えば法的にどのようなフォローがあるのか。
まずは、休日に出勤を命じられた場合。本来は労働義務がないとされている日に仕事をするので、休日手当として割増賃金が発生する。割増率は労働基準法で通常の賃金の35%以上と定められている。つまり、通常の賃金の1.35倍以上が支払われることになる。
ところが、休日出勤でも場合によっては割増手当が「ゼロ」となることもある。
法定休日と法定外休日
その前に、「法定休日」という言葉を聞いたことがあるだろうか。実は休日には「法定休日」と「法定外休日」の2種類がある。
法定休日は、労働基準法によって規定されている休日だ。労働基準法第35条には「雇用主は労働者に対して、 毎週少なくとも1日、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」とその最低ラインが定められている。
もしも、最低ラインを下回る法定休日しか設定していない場合、企業は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられる可能性がある(労働基準法第119条1号)。
一方、法定外休日は、法定休日以外に会社が定める休日をいう。労働基準法上は、週に2日以上の休日が設定されていれば、原則としてどちらか1日を「法定休日」、それ以外を「法定外休日」となっている。
会社はこの原則に沿って定めた法定休日および、法定外休日を就業規則や雇用契約書などで明確にしておく必要がある。従って、労働者が自分に与えられている休みの種類を判別したければ、就業規則をみるとよい。
割増賃金がつかない「休日」
休日には2種類あり、それぞれ違いがあることは理解できただろう。問題は、休日の種類によって、割増手当の有無があることだ。
休日手当がつくのは、実は「法定休日」の場合のみ。休日の種類を考慮せず、「休日手当がつくからラッキー」と勤務依頼を受けたものの、実際にはその日が法定外休日なら、まさに安請け合いかもしれない…。
頻繁に休日勤務をしている人も、やはり一度、就業規則をしっかり確認した方がよいかもしれない。
大型連休に働く人多い自治体が独自の休暇制度スタート
暦通りに休む会社員とは別に、サービス業などに従事する人ではカレンダーの祝日休日を稼ぎ時として、休まずに働くことも珍しくないかもしれない。仕方がないといえばそれまでだが、子どもがいる場合、家族そろってレジャーを楽しむことが難しいという悩ましさがある。
そうした中、観光産業が軸の栃木県日光市が4月から、独自の休暇制度「ちょこっとスタバケ日光」をスタートしている。スタバケとは、「スタディー」と「バケーション」を組み合わせた造語で、親子一緒に体験や学びの活動をすることがその取得条件となっている。子どもは年に3回まで活動休暇を取得できる。
具体的な活動例としてあがっているのは自然観察やスポーツ・アウトドアだが、家族旅行でもOKだ。愛知県や大分県別府市などでは、同様の制度を昨年度から取り入れている。
制度導入の背景について、同市観光経済部商工課は「当市の産業は観光をはじめとするサービス業が盛んであり、携わる人口比も高い。祝休日に働いている人が多い特殊性があり、平日の休暇日に子どもと一緒に過ごすことが難しい家庭が少なくない。そこで市内の各産業で働く人の休み方改革推進とともに、市内小中学生を対象に平日の活動休暇を認めることで、平日の家庭における親子での学びとふれあいの機会を増やすため制度化した」と説明している。
選択的週休3日制が可能になるフレックスタイム制導入の自治体も
休みの取り方をよりフレキシブルにする自治体も増えつつある。茨城県は条例改正等によって、4月から「選択的週休3日制」も可能なフレックスタイム制を導入している。総労働時間を変えず、勤務時間を増やし、働く日数を減らすことが可能になる制度だ。対象は教員や交代勤務の職員らを除く全職員となっている。
同県大井川和彦知事は、同制度について「時間給じゃない年俸制の職場の在り方というのも経験している身からすると、時間で縛るというのは合理性に欠ける部分が高い。職種によっては特に。国や他県に先駆けて新しい働き方の見本になるような職場をぜひ目指していきたい」と3月末の定例会見で語っている。
休みや休み方についてじっくりと考えることはあまりないかもしれない。だが、ここであげたトピックスのように、思わぬ落とし穴もあれば、有用な活用の仕方もあり、ときには意識してみてもムダではないかもしれない。
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