お酒の「エナジードリンク割り」はキケン? X投稿が話題の農水省「カフェイン含有量の目安なし」も…“注意喚起”続けるワケ

弁護士JP編集部

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お酒の「エナジードリンク割り」はキケン? X投稿が話題の農水省「カフェイン含有量の目安なし」も…“注意喚起”続けるワケ
カフェインを含むアルコール飲料すべてを、悪く考えているわけではないという(Jag_cz / PIXTA)

先月、農林水産省がX(旧Twitter)に「お酒と一緒にカフェイン入り飲料を飲むことはやめてください」と投稿し、話題となった。

報道によると、同日にお酒とエナジードリンクを一緒に飲むことによる健康への影響に関する問い合わせが相次いだため、Xで注意喚起したとのことだ。

カフェインを含むアルコールは身近な存在

いわゆる「エナドリ割り」になじみがない人でも、お茶割りやコーヒー焼酎などで、カフェインとアルコールを組み合わせたお酒をよく飲む、という人はいるのではないだろうか。

実際に近所のコンビニ数軒で酒類コーナーをのぞいてみたところ、エナジードリンクを使用したカクテルは見当たらなかったが、缶入りの緑茶割りやウーロンハイが1~2種類は売られていることが一般的であるようだった。

また、バーなどへ行くと、エナジードリンクをウォッカ等で割ったカクテルを見かけることも多い。お酒の味を覚えたての頃、甘くて飲みやすいこの種のアルコール飲料を注文していた人も多いのではないだろうか。

酒類を取り扱う大手メーカーのホームページを見ると、こちらもコンビニ同様、お茶割りやウーロンハイをメインに展開しているようだった。取り扱いがないメーカーでも、自社の商品を使ったお茶割りなどのレシピを紹介しているケースが見受けられた。

また、エナジードリンクで知られるレッドブル社のHPでも、看板商品である「レッドブル」を使用したカクテルのレシピが紹介されていた。

カフェイン含有量の目安「なし」も…農水省が“注意喚起”するワケ

Xの投稿から約1か月がたった今、注意喚起した背景や、お酒と一緒にカフェイン入り飲料を飲むことによる健康への影響について、農水省の担当者は以下のように明かす。

「農水省では、エナジードリンクなどのカフェインを多く含む清涼飲料水とアルコールを一緒に摂取しないように注意を呼びかけています。

この注意喚起は日本独自のものではなく、アメリカ等で死者が発生したことを受けてのものです。日本では、まだ死者が発生する事態には至っていませんが、同様のドリンクが販売されていることから、万が一に備えて、海外と同様に注意を促しています」

しかし「カフェインを多く含む清涼飲料水」には“基準”がないという。

「アルコールとの同時摂取を避けるべきカフェインの量については、海外の政府機関でも具体的な数値は出されていないのが現状です。よって、農水省としても明確な含有量の目安を示しているわけではありません」

それでも注意喚起を行っているのには、理由がある。

「カフェインの“感受性”には個人差があります。普段からコーヒーや緑茶を飲むと眠れなくなってしまう人は、アルコールとカフェインを一緒に飲んだ場合、酔いにくくなり、飲みすぎてしまうケースがあります。

また、緑茶やウーロン茶のように天然成分でカフェインが入っている場合には、カフェインの含有量が一定の範囲で収まるのに対して、エナジードリンクなど意図的にカフェインを添加している場合、商品設計により、いくらでも量を増やすことが可能です。

ですので、農水省としてもカフェインを含むアルコール飲料すべてが悪いと考えているわけでも、すべての消費者が注意しなければいけないと考えているわけでもありません。ただし、特にカフェインの感受性が高い方には気を付けていただきたいです」(同前)

健康への影響「そもそも飲みすぎが…」

カフェインを含んだアルコール飲料を、将来的に規制する可能性はあるのだろうか。前出の担当者に聞いたところ、「厚労省でガイドラインを出しているように、そもそもアルコール自体を飲みすぎてはいけないというのが大前提になります」と、もっともな答えが返ってきた。

「カフェイン入りのアルコールを含め、お酒を飲みすぎなければ、基本的には健康への悪影響はありません。よって、農水省から何か上乗せして注意することは今のところ考えていないです」(同前)

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