米国へ旅行「電子渡航認証」“トラブルあるある”に注意 うっかり「ESTA申請“代行”サイト」に手数料を支払ってしまったら?
6月も半ばとなり、7月に入れば夏休みを取得する予定。円安が続き出費はかさんでしまうが、ハワイなどへのバカンス旅行を計画している人も多いのではないだろうか。
アメリカへの渡航には、事前に「ESTA(電子渡航認証システム)」を申請するが、この際に「詐欺サイト」と揶揄されることもある「申請代行サイト」の利用には充分注意が必要なのはご存知だろうか。
ESTAを申請すれば最大90日間ビザなしで滞在できる
ESTA(Electronic System for Travel Authorization)は、アメリカに渡航する前に、オンラインで渡航認証を取得するためのシステム。ESTAを取得することにより、最大90日間、ビザを申請しなくても観光やビジネス目的で滞在することができる。
同様の電子渡航証システムは、カナダやオーストラリア、韓国でも導入されているほか、2025年にはヨーロッパの一部の国でも導入が検討されている。
通常ESTAは、アメリカ合衆国税関・国境警備局の公式サイトから申請できる。パスポート情報や個人情報などを入力して、クレジットカードで21ドルの申請料金を支払えば、申請は完了。通常、遅くとも3日以内には申請結果が通知される。
また、米国安全保障省では早めの申請を推奨している。
手数料が発生する「申請代行サイト」に注意
上記の通り、ESTAの申請は公式サイト(https://esta.cbp.dhs.gov/)から行うことができる。だが、「ESTA 公式サイト」や「ESTA 申請」などで検索すると、検索結果の一番上には公式とは異なるサイトが表示されることが多い。
これらは、いわゆる「申請代行サイト」。基本的には、申請代行サイトであっても情報を正しく入力すれば、ESTAは取得できる。しかし、申請料金の21ドルに加えて「代行手数料」を追加で支払うことになる。
また、申請代行サイトには国旗や鷲や自由の女神像などの写真やイラストが用いられており、公式サイトと似たデザインになっている。
「検索結果の一番上に表示されるなら公式のものだろう」と判断、そのまま代行サイトを通じて申請してしまい、追加料金を請求される羽目になった人は後を絶たない。
国民生活センターも「ESTA等の電子渡航認証トラブルあるある」と、X(旧Twitter)上で注意喚起を行っている。
}【 #ESTA #エスタ #海外旅行 】
— 国民生活センター (@kokusen_ncac) February 20, 2024
はじめてのハワイ!楽しみすぎる😍!
パスポートは準備OK!ESTAも申請しなきゃ😝!
ネットでESTAを検索して申請完了😎!
あれ?もしかして手数料が請求されている!
あのサイト、申請代行サイトだったの?😳
⇒消費者ホットライン188に相談!https://t.co/mwIccAxDnV pic.twitter.com/MZZkuspK8p
申請代行サイトは「詐欺サイト」なのか?
検索結果の上位に表示され、サイトのデザインも類似しており、公式のものと間違えるのには仕方がない面もある。代行するつもりがなかったのに追加で手数料を支払わされた人からすれば、「詐欺」と表現したくなるのも無理はないだろう。
しかし、消費者詐欺被害に詳しい佐久間大地弁護士は「ただちに違法性がある、とするのは難しい」と語る。
「公式サイトと全く同じように装っている場合は、人を欺く意図が明らかですので、違法性があると言えます。しかし、ただ単に“国旗や鷲などの写真やイラストがある”、“検索サイトの一番上に表示される”といっただけでは、「人を欺く意図」があるとは言えません」(佐久間弁護士)
また、代行手数料の返金を求めることも、法律的には難しい。
「運営しているのが海外の業者の場合、利用規約上で返金が認められていない場合は返金交渉は難しい可能性が高いでしょう。
国内の法律でいえば、今回のケースは「特定商取引法」の「通信販売」にあたるかと思います。通信販売はクーリング・オフ制度がなく、「法定返品権」というものはありますが、特約が定められている場合はそちらに従うので、このケースでも、利用規約上で返金が認められていなければ返金交渉は難しいでしょう」(佐久間弁護士)
では、これから申請を行う渡航者が、間違えて代行サイトを利用することを避けるためにはどうすればいいのか。
「検索した結果出てきたサイトでいきなり申請するのではなく、まずは渡航する国の大使館ホームページから公式の申請サイトを確認して、そこから申請を行うのが確実かと思います」(佐久間弁護士)
海外に渡航する際には数多くの準備や手続きが必要になる。時間的にも余裕がなくなり、つい焦ってしまう場面では、間違えて代行サイトを利用してしまうおそれがある。しかし、余計な出費を避けるためにも、落ち着いて対応することが肝心だ。
- この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。
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