迷惑系「撮り鉄」マナー対策、鳥取県で“独自ルール”制定 「鉄道愛好家として好意的な印象」山添拓議員も納得の中身とは

弁護士JP編集部

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迷惑系「撮り鉄」マナー対策、鳥取県で“独自ルール”制定 「鉄道愛好家として好意的な印象」山添拓議員も納得の中身とは
全国各地に出掛け撮影を楽しむ撮り鉄たちだが、一部の迷惑行為が問題視されている(※写真はイメージ daysgoby_JPN / PIXTA)

「撮り鉄」に対してマナー啓発や駐車場の提供などを行い、トラブルを防いだとして、JR西日本が6月20日、鳥取県日野町の住民団体らに感謝状を贈ったことが地元メディアなどで報じられた。

撮り鉄を巡っては、近年、私有地への立ち入りやごみの不法投棄など、一部の迷惑行為が問題視されており、鳥取県内でも線路内への立ち入りや、停車中の特急列車に抱きつくといった行為がこれまでに確認されている。

こうした迷惑行為を受け、鳥取県や鳥取県警、鉄道会社らからなる「鉄の道」マナーアップ協議会は4月に5か条のルール「鉄則」を制定していた。

新旧「やくも」目当ての撮り鉄らに、マナー守るよう呼びかけ

同県には、岡山駅―出雲市駅間を走る「特急381系やくも」(6月15日に定期運行を終了)や、約40年ぶりにリニューアルし、今年4月にデビューした新型の「同273系やくも」の撮影のため、多くの撮り鉄が訪れている。

そうした背景を受け制定された「鉄則」は、全5条で構成されており、各条文は以下の通りだ。

・第1条 立入禁止の場所や私有地へは入らず、良識に従って行動しましょう
・第2条 地元のおすすめスポットなど安全な場所で、ルールに従って撮影しましょう
・第3条 他の撮影者と譲り合って気持ちよく撮りましょう
・第4条 鉄道会社や地域と連帯して、大切な鉄路と風景を守りましょう
・第5条 列車はもちろん観光や食など地域の魅力も満喫しましょう

「鉄の道」マナーアップ協議会は、鉄則の公表に際し「鉄道写真を撮影される皆様におかれては、鉄道会社や地域と連帯していただき、大切な鉄路と風景を守っていきましょう」と呼びかけている。

山添拓議員「大切な取り組みだと思う」自身も“撮り鉄”を公言

自身も鉄道の撮影が趣味であり、Instagramにも写真を投稿している山添拓氏(弁護士・参議院議員)は、この「鉄則」について「当然のことと言えば当然のことが書かれていますが、大切な取り組みだと思う」と評価した。

「これをもとに鉄道写真の愛好家を厳しく取り締まろうという内容ではなく、マナーやルールを守ることで安全な運行を確保しつつ、撮り鉄の人も安全に撮影を楽しんでほしいという思いが表れているように感じます。

『撮り鉄がたくさん来るから厄介だ、追い出したい』『撮影禁止だ』ということではなくて、この場所ならではの、のどかで美しい風景を生かして『撮影を楽しんでほしい』という姿勢は、ひとりの愛好家としても好意的な印象を抱きました」

Zoom取材に応じる山添拓議員(弁護士JP編集部)

自身の“反省”踏まえ教訓にしていること

温かい取り組みを歓迎する一方、撮り鉄側も「『撮影させてもらっている』という立場で臨むことが大事」と山添議員は語る。

実は山添議員自身、2020年に鉄道写真の撮影で埼玉県長瀞町を訪れた際、横断禁止の線路を許可なく渡ったとして鉄道営業法違反や軽犯罪法違反の疑いで書類送検(のちに不起訴)された経験がある。これを踏まえ、自身の反省と教訓についてこう話す。

「私自身、非常に軽率な行為をしてしまったと反省していますし、大変多くの方にご心配をおかけしました。

そのうえで教訓とすべきことは、基本的なことになりますが、やはり安全な運行を害するような行為は決してあってはならないということです。これは、撮影に限らず鉄道を趣味とする者ならば、なおさら肝に銘じなければいけません。

迷惑駐車をしたり、木が切られたりする事例も時々報じられます。こうした行為は、沿線住民にとって当然受け入れがたいことだと思います」(山添議員)

これらの行為は「鉄則」に反するだけでなく、罪に問われる場合もあり得るという点でも注意が必要だ。

鉄道施設内や線路内に無断で立ち入った場合は鉄道営業法に違反する可能性があるほか、営業時間外の駅や、他人の私有地に無断で入るという行為は住居侵入罪・建造物侵入罪に該当するおそれがある。

ほかにも、過去の事例では器物損壊罪や、業務妨害罪、往来危険罪などの容疑で撮り鉄が書類送検や逮捕されている。

こうしたトラブルを起こすことで、他の撮り鉄にも悪い影響を及ぼしてしまうと山添議員は指摘。

「一度トラブルが生じると、 その場所では二度と同じように撮影することができなくなるかもしれません。

周囲への配慮はもちろん、『この場所で撮影をしたい』と願う同じ趣味を持つ人のためにも、ルールやマナーを守ったうえで鉄道写真の撮影に臨むことが必要だと思います」

鉄道の撮影通じて「人間として豊かに」

「鉄則」ではマナーを守ること以外にも「列車はもちろん観光や食など地域の魅力も満喫しましょう」(第5条)と定められている。

「第5条の内容も、とても大事なことだと思います。撮り鉄の皆さんは鉄道に対する愛が深く、たとえ遠方であっても全国各地にフットワーク軽く出掛けていきます。

その際に、訪れた先で各地の景色やその土地の人々、風物に接し、観光したり食を楽しんだりといった地域の魅力を満喫することは、人間を豊かにするものと思います。

こうした側面も含めて、多くの人が鉄道の撮影を楽しめるといいなと思います」(山添議員)

6月15日に定期運行を終えた381系やくもだが、今後も繁忙期などに臨時列車として運行予定だという。

何かと批判が集まりがちな「撮り鉄」だが、「鉄則」を守り、安全に楽しみながら地域の魅力にも接すれば、地域住民や鉄道会社との関係も、より良いものになるのではないだろうか。

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