都内で白タク摘発も「極めてレアなケース」… ライドシェア解禁で監視強化のはずが“撲滅“にはほど遠い理由

弁護士JP編集部

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都内で白タク摘発も「極めてレアなケース」… ライドシェア解禁で監視強化のはずが“撲滅“にはほど遠い理由
夜の銀座では白タクと客の利害関係が一致している(まちゃー / PIXTA)

今月14日。警視庁は無許可で車両に乗客を乗せるいわゆる〝白タク〟営業を行ったとして、無職・関口明男容疑者(72)を道路運送法違反容疑で逮捕した。関口は元銀座の飲食店従業員で、銀座を中心に白タク営業を行っていたという。

「関口は銀座の元従業員という前歴を利用し、飲食店のホステスなどを客にしていました。ですが、約2年前に関口の車に乗車した客の男性が、料金メーターがないことを不審に思い、警察に通報。警察から指導・警告を受けていました」(警視庁担当記者)

しかし、警察から指導を受けたにも関わらず関口は、懲りずに車両のナンバーを代えて白タク営業を継続。銀座で白タク営業を警戒していた警察に不審がられたことが今回の逮捕のきっかけとなった。

売り上げは1日1~2万円

「7月31日午後11時50分ごろ。ホステスとホステスの客を乗せた関口を白タク営業の警戒をしていた警察が発見。調べると、以前、指導・警告を受けていた人物であることが発覚し、容疑を認めたため逮捕に至りました」(同前)

関口容疑者は白タク営業で1日1~3組の客を乗せ、1万円から2万円を稼いでいたという。

現役ドライバーが「逮捕は極レア」と証言する理由

現役の白タクドライバーは、今回の関口逮捕について「極レアなケース。よほどのことがない限り警察に捕まることはない」と証言する。

ドライバーが続ける。

「銀座の白タクドライバーは通常、グループで客を回しあっていて、基本は100%紹介や口コミ。信頼のある客しか乗せないので警察に通報されることはめったにありません。昨年7月にも銀座周辺で4人の白タクドライバーが捕まりましたが、彼らは路上で声掛けをしていたために通報され、現場を押さえられたために逮捕されたんです」

あからさまな営業行為をしたり、紹介・口コミ以外の客を乗せたりでもしない限り、警察に職務質問を受けたとしても、「いくらでも言い逃れはできる」と前出のドライバーは不敵に明かす。

「私も後部座席に客を乗せていたところを警察に職務質問されたことがありますが、〝友人です〟といえば、金銭授受の現場でも見つからない限り警察もそれ以上追求できません。ですから事故でも起こさない限り、捕まるリスクはほとんど感じていませんね」(前出のドライバー)

白タクがなくなりそうにない現状

コロナ渦以降、慢性的なドライバー不足やインバウンド増加により、今年4月には日本でも一部の地域でライドシェアが解禁。それに伴い、仲介アプリ取り締まりなど、”白タク対策”も強化された。

さらに、一般ドライバーが運転するライドシェアは犯罪などが起こるリスクもあることなどから、日本では安全性担保のため、ライドシェアを行うには個人が法人タクシー事業者を介して申請を行う、独自スタイルが採用されている。

その結果、ドライバーにとっては自由度が制限されることに加え、煩雑な手続きも必要となり、そうしたことを敬遠する個人事業者も少なくないという。

こうした現状ではタクシー不足解消はおろか〝白タク業者〟がなくなる日が来ることはないのかもしれない……。

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