愛好者急増“ベランピング”で「賠償請求」!? “楽しみ方”6つの要注意
自宅のベランダで気軽に実践できるアウトドアとして、コロナ禍をきっかけに広まり、未だに根強い人気のある「べランピング」。キャンプに出かける代わりに、ベランダにアウトドアグッズを出して食事やおしゃべりを楽しんでいる人も多いが、そこには「法律の落とし穴」が数多く潜んでいる。
ベランピングで「やってしまいがちな行動」とともに、正しく楽しむために気を付けるべきポイントを、自身もアウトドアを趣味とする林宏子弁護士に聞いた。
①BBQ、コンロを使った調理
集合住宅では、ベランダでの火の使用を禁止していることが一般的だ。もし物件の管理規約に違反した場合はどうなるのだろうか。また、夏に欠かせない蚊取り線香も、バーベキューやコンロと同じように「火気」と見なされるのだろうか。
林弁護士:物件の管理規約に違反した場合の扱いについては、同じく管理規約に書いてあると思います。
管理規約で火気厳禁になっているにもかかわらずBBQを行った場合、まずは口頭や文書で注意を受けることになるのが一般的です。そして、それにもかかわらず繰り返し火を使用した場合には、最悪退去通告を受ける可能性もあると思います。
蚊取り線香についても、火気であることに変わりはないので、規約で火気厳禁となっている場合には使用しないようにしましょう。
②燻製
煙や臭いが多く発生する燻製。「ベランダなら気兼ねなく楽しめる」と考える人もいるかもしれないが、近隣への配慮を十分に考えなければならない。
林弁護士:燻製の臭いは独特なので、臭いを嫌がる人も多いと思いますし、臭いが洗濯物についたりしてクレームが来ることは十分考えられます。管理規約で禁止されていない場合でも、臭いが広がりそうであれば、隣の住民に事前に一言入れておく等の配慮が必要ではないでしょうか。
③おしゃべりや音楽
ついつい開放的な気分になり、BGMが欲しくなったり、話し声が大きくなってしまうこともあるかもしれないが…。
林弁護士:管理規約で禁止されていない場合でも、音のボリューム、時間、頻度等によってはクレームにつながる可能性があるので注意が必要です。
また、極端な例にはなりますが、長期間にわたり、毎日早朝深夜を問わず爆音の音楽をかけ続けた結果、隣人がうつ状態になった場合などは、損害賠償請求が認められる可能性もあると思います。
④タープやランタンなどの落下
手すりにタープを結んだり、ランタンを置いたりする人もいるかもしれないが、落下すれば通行人に当たるリスクがある。
林弁護士:人を死傷させようと思い故意に物を下に落とした場合には、傷害罪や暴行罪、殺人罪や殺人未遂罪に該当する可能性があります。また、故意ではなく過失により落下した場合でも、人に当たって怪我をさせたり死亡させてしまうと、過失傷害罪や過失致死罪に該当する可能性があります。
刑事罰以外でも、管理規約に反している場合には①と同様、最悪の場合は退去通告を受ける可能性があります。また、人や物に当たった場合には、治療費や修理代等の損害賠償請求を受ける可能性もあります。
最近はベランダに布団を干すのも規約で禁止されているマンションが多いので、規約は細かく確認した方が良いでしょう。
⑤道具の置きっぱなし
ベランピングを楽しんだ後、「明日片づければいいや…」と道具を置きっぱなしにするのも危険だ。
林弁護士:避難用ハシゴの上や隣との間の仕切り板付近に物を置いたり、ベランダ全体をふさいでしまうような大きな物を置くと、避難の妨げになるので消防法違反になります。消防設備点検の際に指摘を受ける可能性もあるので撤去しておくべきです。
また、置きっぱなしの物が台風で飛んで損害を与えた場合には、損害賠償請求される可能性もありますので、ベランピングの道具はその都度出して使用するのが良いと思います。
⑥食べ物や飲み物を放置
食べ物や飲み物を放置すれば、悪臭や害虫トラブルに繋がる恐れもある。特に気温と湿度の高い夏は、一層リスクが高まるだろう。
林弁護士:管理規約に定めがない場合でも、その行為により隣の住民に損害を与えた場合には損害賠償請求される可能性があると思います。
せっかくのベランピングが台無しにならないよう、これらのことに気を付けて、思い思いの楽しい時間を過ごしてください。
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