30代男が「小6女子」になりすまし“わいせつ画像”送らせる…ネット上で起きた未成年の性被害、警視庁が明かす卑劣な手口
〈母親が下着の店で働いているから、下着のサンプルをあげる〉
警視庁生活安全部のXによると、友人を名乗るアカウントからこのようなメッセージを受け、話に乗ったところ〈骨格を確認してサイズを決めたい〉などとビデオ通話に誘導、裸を撮影されたという被害の報告が、女子学生やその保護者から寄せられているという。
最近このような手口で、裸の動画や写真を撮られる被害が増えています!気をつけてください!
— 警視庁生活安全部 (@MPD_yokushi) September 11, 2024
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あれ?Aちゃんのお姉ちゃんからDMだ~
アカウント変わったんだ~!
うそ?!#サンプル下着 くれるの?うれしみ~
サイズ知りたいから、#ビデオ通話 しようだって!#下着姿でビデオ通話 #知人なりすまし pic.twitter.com/bqC7JPTzPX
こども家庭庁の調査によれば、小学生(10歳以上)から高校生までの平日1日当たりのインターネット平均利用時間は5時間に迫っている(令和5年(2023年)「青少年のインターネット利用環境実態調査」)。
数十年前とは比較にならないほどインターネットが普及し、ICT教育の導入も進む。未成年者であっても、インターネットを全く使わずに生活するのは難しくなっているのが実情だろう。
しかし、冒頭で一例を紹介した通り、インターネット、特にSNSを介した児童の性被害は深刻だ。警察庁も統計の中で、SNSに起因する児童の性被害件数について「令和元年(2019年)から4年連続減少しているものの、依然として高い水準で推移している」と指摘している。
警視庁の担当者「常に新たな手口の犯罪が発生」
SNSを介した性被害に遭わないために、未成年者とその親はどのような対策をとる必要があるのだろうか。
警視庁の担当者は、まず未成年者自身がすぐにできる具体的な対策として、以下4点を挙げる。
・SNSのアカウントには鍵をかける(SNS上のみで知り合った人を安易にフォローしない、フォローさせない、やり取りをしない)
・個人情報や写真は送らない、送らせない
・SNS上のみで知り合った人には直接会わない
・怪しいアカウントからの接触はブロック・運営会社等に通報する
次に、保護者がすべき対策としては、以下を挙げた。
・ペアレンタルコントロール(保護者による管理)機能を利用し、子どものアプリなどを管理すること
・フィルタリングを利用すること
・家庭内のルールづくりをすること
・相談できる親子関係づくりを心掛けること
その上で、インターネットを介した性被害の実態について、「多くはお子さんが利用しているようなプラットホーム(ゲームやカラオケアプリ、オープンチャット、写真投稿型SNSなど)で相手と出会い、そこから個人間のクローズドなやりとりに移行し、発生しています」と説明。
有名なサイトやアプリであっても絶対に安全とは言い切れず、「インターネット上では、常に新たな手口の犯罪が発生しています。日頃から、保護者の方が、インターネットの機能やインターネット上で発生している犯罪について最新の知識を収集しながら、お子さんと共有してください」と呼び掛ける。
架空アルバイトの面接に誘い出し…被害の“実態”
では、最新の「インターネット上で発生している犯罪」にはどのようなものがあるのか。未成年者に対する性犯罪の手口に絞り警視庁に聞いたところ、実際の事例として以下のようなものが発生したという。
《なりすましによる被害事例》
30代男が「小学校6年生の女の子」になりすまし、SNS上のダイレクトメッセージで女子小学生(9歳)と知り合った。男は、同女児に対し、「胸が小さいことを悩んでいる」と送信するとともに、いずれかで入手した別の女児の画像(胸部が露出したもの)を送りつけ、「そっちも送って」とわいせつ画像を送信するよう要求し、同女児のわいせつ画像を自己のスマートフォンに送信させた。
《脅迫による被害事例》
20代男が、SNSで知り合った女子中学生(12歳)に対し、児童の年齢を知った上で、わいせつな画像を送信するように要求して画像を送信させ、さらに同画像を拡散する旨を申し立て脅迫し、電子マネーを送金させた。
《架空アルバイトを装った被害事例》
30代男が、SNSの書き込みやプロフィールの内容から18歳未満であると思われるアカウントに狙いを定め、架空のアルバイトを募集するメッセージを送った。返信のあった女子高校生(17歳)に対し、面接と称して誘い出し、プロフィール用写真と偽って裸を撮影し、性交した。
《なりすましによる被害事例》
20代男が、SNS上で女性になりすまし、知り合いの男子中学生(14歳)に「わいせつな画像の交換しよう」「わいせつな行為を動画で撮って送って」などと要求し、自己のスマートフォンにそれらを送信させた。さらに、男は女性になりすましたまま「画像を拡散させたくなかったら、これから男をそっちに行かせるから、その男とわいせつ行為を撮って送信しろ」等と脅し、女性になりすましている男が直接会いに行き、公衆便所内でわいせつな行為をした。
《オンラインゲームを介しての被害事例》
30代男が、オンラインゲームで知り合った男子中学生(13歳)にゲーム用機器を供与して、自動車内でわいせつな行為をした。
いずれも悪質なケースばかりで、目を覆いたくなった人もいるのではないだろうか。未成年者が性別や年齢に関係なく狙われ、被害を受けていることがわかる。
警視庁が教える「被害に遭ってしまったら」
先に紹介したような方法で被害を未然に防ぐことが何よりも大切だが、万が一、実際に被害が起きてしまった場合は、どうすればよいのだろうか。
警視庁の担当者は、まず未成年者に対し、「(被害が発生した場合)自分一人でどうにかしようとせずに、すぐ保護者、もしくは信頼できる先生や親戚に相談してください。また、警察署や各都道府県の電話相談窓口『ヤング・テレホン・コーナー』など(地域によって名前は異なる)でも相談できます」と呼び掛ける。
「被害に遭ったことで自分を責め、保護者からも叱られるのではないかとためらうかもしれませんが、周りの大人はあなたを守るための行動をとることができるので、いち早く被害を打ち明けることが、さらなる被害を防ぐことにつながります」(警視庁担当者)
警察署や各都道府県の電話相談窓口への相談は匿名でも可能。保護者が同席していなくても受け付けているという(ただし、捜査などで必要な場合には、保護者へ情報共有することがある)。
大人が被害児童に“すべきこと”“すべきでないこと”
子どもの被害を知った保護者などの大人も「すべきこと」と「すべきでないこと」があるという。
「性被害を申告されたら動揺されると思いますが、お子さんは勇気を出して被害を打ち明けてくれています。まずは『よく話してくれたね』とねぎらってあげてください。
その上で、どういう被害に遭ったのかをできる範囲で確認し、証拠となるやりとりを保全してください。また、安全を確保するために、警察へ被害相談をし、さらなる被害に遭わないために、事案に応じた対処(やりとりをそれ以上させないなど)をお願いします。
逆に、動揺したままの状態で頭ごなしに叱ったり、被害を受けたことを自業自得と責めたりすべきではありません。被害を受けたことで、お子さんはすでに自分を責めていますので、親御さんからの叱責はさらに追い打ちをかけてしまうことになります。『悪いのは加害者』というスタンスでお子さんと話をしてあげてください」(警視庁担当者)
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