フリマアプリで「肥料」販売したら“書類送検”のまさか… 逮捕もあり得る“危ない”出品リスト
レクリエーション、体験学習など多様な目的から、小さな面積の農地を利用して野菜などを栽培する「市民農園」の人気が高まっている。
農林水産省が公開している「市民農園の設置状況の推移 」によれば、統計をとり始めた平成4年度には691か所だった農園は、4211か所と大幅に増加(令和2年現在)。
また、コロナ禍をきっかけに「家庭菜園」を始めた人も多いようだ。タキイ種苗株式会社が行った調査によると、現在家庭菜園を実施している人のうち、約4割が2020年3月以降から菜園を始めたと答えている。
小さなスペースを利用して植物を育てる園芸や農業に関心・人気が高まる中、過去には土づくりに使用する「肥料」を販売した人が書類送検されるという事件が起きている。
2020年6月17日、警視庁はフリマアプリにおいて「無届け」で肥料を販売したなどとして、37~54歳の男女7人が「肥料取締法(正式名称:肥料の品質の確保等に関する法律)」違反の疑いで書類送検された。
7人はそれぞれ余った園芸用の肥料や、木材や落ち葉などを燃やして作る「草木灰」を販売。報道によると、いずれも「違法とは知らなかった」と話したとされる。
あまり聞きなじみがない「肥料取締法」だが、どのような法律だろうか。
肥料の「譲渡」は届け出が必要な理由
「肥料取締法」は肥料の品質を保持し、公正な取引と安全な使用を確保するために制定された法律であり、「農業生産力の維持増進」と「国民の健康の保護」を目的としている。
肥料は化学的方法で作られた「普通肥料」と、たい肥などの「特殊肥料」の2種に大別される。いずれも販売・生産業者の登録、届け出が義務付けられており、”届け出をせず”に肥料を販売・譲渡・生産した場合には罰則が科される。
自分で使うためだけにたい肥などの肥料を作る場合には、登録や届け出は必要ない。しかし、「譲渡する場合」はたとえ無償であっても届け出が必要だ。これには理由がある。
肥料における有害物質の許容含有量は法律で細かく定められている。たとえば、比較的生産しやすい「草木灰」では、原料となる木材の影響などによって国が定めた肥料における有害物質(ヒ素やクロムなど)の許容含有量を超えてしまう場合がある。
また、肥料の生産には、土地利用や自然環境保護、汚染・汚濁の防止など、環境関係法令等に基づく手続きが必要な場合もある。
「無届け」での生産・販売は、これらの法令を順守し、徹底した品質管理を行う正規業者らの努力を踏みにじる行為なのだ。
メルカリ「取引は常時監視」
各フリマアプリでは、法令に違反する肥料の出品は禁止されており、ガイドラインにも記載されている。
しかし、日々大量の商品が出品されるフリマアプリにおいて、違反と知らずに、無届けで肥料を販売してしまう人が今後も現れるのではないだろうか。
それらの対策について、日本最大のフリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリによれば、「365日24時間体制で当社の利用規約に違反する商品の自動検知システムおよびカスタマーサービスの目視により、出品や取引を常時監視し、出品禁止物および禁止行為の排除に努めております」(広報)としている。
さらに、「商品情報や取引にかかわる豊富なデータとAI技術を元に、商品の削除やお客さまへの警告を行う」(同)などとして、ガイドラインに違反している商品の摘発に力を入れているという。
「メルカリ」上で販売されている肥料を確認すると、「商品の説明」欄に届け出番号が記載されているものや、商品と届け出書類の写真が見られるようになっているものなど、正規の販売業者が工夫しながら販売している状況がうかがえた。
無届けで販売している業者・個人から購入しても、現時点では購入者が罪に問われることはない。しかし前述の通り、基準値を超えた有害物質などで、大切な植物や土壌に悪影響が出てしまう可能性なども考えれば、「購入しない」選択が賢明だろう。
「逮捕される」可能性がある“出品物”とは
なお肥料のほかにも、フリマアプリで販売すると逮捕されてしまう可能性のある出品物がある。以下の品を販売する際には充分な注意が必要だ。
①ドラッグストアで購入した「医薬品」やコンタクトレンズなどの「医療機器」、海外で購入した「化粧品」などは薬機法において無許可での販売が禁止されている。
②「酒類」を継続的に販売する場合は税務署長の許可が、「たばこ」の販売には財務大臣の許可が必要。
③「偽ブランド品」などを販売した場合は、詐欺罪と商標法違反に問われる。
④「転売」を繰り返す悪質な出品者が古物営業法違反で書類送検された例もある。
④については、「中古品の売買」などを営利目的として行った場合に起こりえる。都道府県公安委員会の許可がなければ「無許可営業」とみなされるが、「無許可営業」にあたるかどうかは販売している商品ではなく、売買回数や利益額から総合的に判断される。
誰でも簡単に出品できるフリマアプリ。その手軽さ故に、出品者自身も気づかぬうちに法律に違反してしまう可能性がある。利用するフリマアプリのガイドラインには目を通して、”まさか”の逮捕を回避しよう。
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